状況を確認中
3.
「うう~~~むう・・・・」
ラーラは魔法使いの杖を宿屋のベッドにねかせ、それを見守るようにひざまづいていた。
べつに、具合のわるくなった杖をねかせて看病していたわけではない。
「・・・・ちょっとまってよ・・・」
ラーラはいま、杖をまえにして、いまのこの状況を整理しているところなのだ。
いや、なんとなくはわかっていた。わかってはいたけれど・・・。
ラフィーから《黒魔術》に関する衝撃の事実をきかされ、棺桶をひきずって森をぬけたあとにはいった国は、このドラゴン退治における、『最後に寄った国』ということになるはずだ。大きさはそれほどではないけれど、ドラゴンの巣がある《忘却の山》に近いこの国は、この世でいちばん最初に王様をおいた国だといわれている。
「『王様』がいたってことは、ずいぶんむかしっから治められてたってことだろ?」
宿についてすぐに、ガットがひきずってきた棺桶を蹴ってベッドの下へおしこみながらいうのに、「そうなりますね」とラフィーも背負っていた荷物をおろした。
ラーラの部屋はこの隣だから、ここに荷物はおろせない。
いつもなら、宿屋にはいったところで、リミザがラーラの荷物を部屋まではこんでくれて、そのままふたりでお茶をのんだりしながら、街のどこをまわるか計画したり、名物は何かと宿屋のひとにききに行ったりして、隣の部屋にはいったラフィーとガットが何をしているかなんて、気にかけたこともない。
この二人が、ラーラとリミザが気楽に街を楽しんでるあいだ、こうしていつも明日からの予定について話し合っていたのかもと気づいたのは、いつものように街中の宿屋にすんなりたどり着く直前だった。きっといままでも、次につく街のようすも二人で先に話し合っていたのだろう。




