目の前
ちゃんとしたファンタジーはかけません。設定はゆるふわです。ずっとうすめでごらんください。。。
だって無理な話だろ。
1.
目の前にはひかり輝くドラゴンがいた。
だいたい、なんでこんなにまぶしいんだ?
「うろこが美しい銀だからですよ」
ですよねー。ここでその冷静でのんきな説明、《賢者》よ、ありがとう。
「銀!? よーし、剥がすか」
うんうん。やっぱり腕に自信がある《戦士》らしいこの反応が、たのもしい。
「いい?ここでもてるだけの力をぶつけないと、あたしたち全滅だからね」
そうそう、《魔法つかい》って、こういうときにこそ正論もってきて、みんなのパワーもあげないとな。
「うーん、それはつまり、全滅にそなえて『蘇りの秘術』をもつわたしが、むこうに退避していたほうがいいということですか?」
さすが《賢者》。
この場面にきてまでも、まあいちおう、そういうとこまで考えるよな。
「はっあああ??なーにが『秘術』よ。あんたら『賢者』なんて、あたしらがずっと伝え続ける魔法術に教会の『神』のパワーをのっけてかけてるだけじゃない。なんども言うけど、あんたの力ってわけじゃないの」
「なんども言いますが、教会でずっと『神』につかえ祈ってきたからこそ、この『秘術』がつかえるのですよ。えーっと、何回わたしの『蘇りの秘術』で生き返りましたっけ?」
「待ってろよクソ賢者。ドラゴンをやるついでにてめえもやる」
ここで、いつもの魔法使いと賢者のこぜりあいがはじまったが、目の前のドラゴンは石のようにかたまっていて動く気配もない。
「 ―― で、ほんと、どうするか・・・。 とりあえず、ドラゴンを見届けるとこまでやったから、ここで終わりにするか?」
え?
さっきまで剣をふりまわしてすぐにでもドラゴンにむかっていきそうだった戦士が、なんだか疲れた顔で、地面につきたてた剣のさきで土をほじくりかえしていた。
魔法使いと賢者はあっさりこぜりあいをやめてはなれる。
「まあ、・・・うん。そうね」
自分の背丈ほどある杖をじぶんの肩にたてかけ魔法使いも地面をながめた。
「きっと、『ここまでこられたのはみんなのおかげだよ』なんて、言ってたかもしれないですね」
賢者も、疲れたようなやりきれないような顔で法衣の襟をひらき、息をついた。