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第8話 シュミット様の依頼と虐殺

毎日18時に投稿しています。お読みいただければ幸いです。

 俺は事務室前でシュミット様を待った。

 「カール君、今日はどうしたんだい?」とサイトさんが聞いてきたので、「人と待ち合わせしています」と答えた。

 「中で待たないか?」とサイトさんが親切に言ってくれたのだけど「ありがとうございます。でも待っている方が偉い方のようなので」と言ったら「それじゃ仕方ないね」と言ってくれた。


 しばらくして、シュミット様が来た。「ごめん、待った?」とニコニコしながら言ってきたので、「いえ、大して待っていませんよ」と答えた。

 「第2皇子様!」とサイトさん達事務室のみんなはびっくりして、皆立ち上がって礼をしていた。

 「えっ、第2皇子様!」俺は慌てて礼をしようとしたが、「そのままで大丈夫。皆も普通通り仕事に戻ってしてくれ。今の私はただの学生だ」とにこやかに言った。

 すごいよ、王子様だよ。んっ、あんたも王子だろだって?ハイフィールド王国とダイグランド王国では、大きさも国力も全然違う。ハイフィールド王国なんて、帝国の半州程度の大きさしかないし、経済力などもゼロが2つぐらい違う。そこの第2皇子と廃嫡された第4皇子なんて月とスッポンほどの差があるんだ。


 俺とシュミット様は連れ立って、校舎裏の人気のないところに行った。

 「実は君にお願いしたいことがあって」

 「どのようなことでしょうか」

 「僕には姉がいるのだけど、一年前に馬車の事故に遭い、右足と顔の右側半分を失ってね」

 うわーそれはひどい。

 「それがどうもただの事故じゃないんだ」

 「と申しますと?」

 「騎士団の調査だと、土砂崩れに巻き込まれたということで、完全な事故となっているのだけど、母上がそれでは納得しなくて、母上の実家、レッドハンド侯爵の手を借りて調査をしたところ、どうも何者かが土を崖の上に積んで、魔法で崖ごと破壊した後が明確に残っていたそうだ」そこまで言って、すごく悔しそうに「そのことをお爺様から王や騎士団に言ったのだけど「すでに解決済み」として取り合ってもらえなかったそうだ」と言った。


 「間違いなく、かなり上級の貴族、それも軍部や王に影響力を持つ者がこのことにかかわっていると思われるのだけど、僕一人の力では調べがつかないんだ。スラムの犯罪者ならなんか知っているかと思って行ったら、話す間もなく脅かされる羽目になってね。君がもし協力してくれるのならお礼は必ずするから」と手を握って言ってきた。

 この王子がスラムをうろついていたのはそう言う理由があったわけだ。

 「ええ、良いですよ」と俺は即答した。

 これは、王子に貸しを作るチャンスだ。ここで恩を売っておけば絶対にメリットがある。これは人生のビッグチャンスだ。

 王子は驚いた顔で「ありがとう。本当にありがとう」と手を握って感謝してくれた。

 「じゃ、わかったらすぐにお知らせします」と言って、王子と別れた。


 俺はいつもの変装をして、先に乗り込んだ悪党のアジトに行った。

 俺がアジトの入り口に行くと、顔が青ざめた手下たちがボスを呼びに中に飛び込んでいった。

 ボスがやってきて、「死の商人殿、今度は何の御用ですか?また配下の奴が何かしでかしましたか」と尋ねてきたので、「1年前の王女の馬車の事故について知りたい」と言った。

 「すみません、何のことが分かりませんが」というので、「役に立たないな。そんな奴は死んでもいいかもな」というと、「おっと、少し思い出しました」と言ったので、袋に入った金貨を放ってやった。

 「全部教えろ。金は払ってやる。しかしうそを言ったり、隠したりしたら……」

 「わかってますよ。それはこの街の北に根城を構えるシターウケ一家の連中の仕業でしょう。あいつらは貴族からのやばい依頼を受けて金を稼いでいるそうですから。それ以上はあっしらも知りません。あいつらのアジトの場所は……」というので、金貨をもう一袋放ってやって「何か新しいネタがあったら教えろ」と言って、シターウケ一家のアジトに行った。


 アジトは一見商人の普通の屋敷だった。俺はそこに乗り込むと、ぞろぞろとどう見てもその筋の男たちが俺を取り囲んだ。

 「1年前の王女の馬車の事故について知りたい」言うと、「そんなの知るか。てめえここがどこだかわかっているのか」と怒鳴り散らしてきたので、取り囲んでいた奴らの頭を音魔法で破裂させてやったら、今度は魔法使いたちがやってきて火魔法で火弾を放ってきたので、音魔法で吹き飛ばし、ついでに相手の脳みそもシェイクしてやったら、目や鼻、口から血を流してひっくり返った。


 「これはひどい。あなたに何者ですかな」と一人の紳士然とした男が現れた。

 「1年前の王女の馬車の事故について知りたいといったら襲ってきたのでな。こちらは身を守っただけだ」というと、「私どもは貴族の方にごひいきいただいております。このようなことをしてただで済むとお思いか」とにやにやして言うので、「そうか、じゃ皆殺しにするだけだ」と言って相手の頭を吹き飛ばそうとすると、「ちょっと待ってください。魔法防御の魔道具が壊れてしまいました。これ高かったんですよ。まだいくつかありますが」と言って、「先ほどのは冗談です。そんなに怒らないでください。1年前の王女の馬車の事故について知りたいのですよね。どうぞこちらに」というので、ついていくと、立派な執務室に連れていかれた。


 「これは依頼の書類です。直接の依頼はステーゴマ男爵でしたが、その裏にはコシーギン伯爵がおりますね」と言って、契約書類を渡してきた。

 「コシーギンの裏には誰がいる」と尋ねると、「コシーギン様は第1皇子の側近の一人です。娘を愛人に差し出すほどの忠誠ぶりだそうです」と言った。

 つまり第1皇子が主犯というわけか。

 そういえば、ここの第1皇子は正室の子で、第2王子と第1王女は側室の子だったよな。

 つまりは後継者争いで、妹の命を狙ったのか。

 「よくこんな書類が残っているな」と感心すると

 「貴族様相手の商売だと、いつ切り捨てられるか分かりませんからこちらとしても自衛策をとっておかなくてはなりません」

 俺は金貨の入った袋を3つほど放ると「情報料だ。本当は6袋だが襲ってきたので、慰謝料として半分にしてある」と言って、その場から立ち去ろうとした。

 「また、何かありましたらご用命下さい」と気持ちの悪い笑顔で言ってきた。


 俺は帰ると第2皇子と連絡を取るため、事務室に向かった。王子とは事務室を通して連絡が取れるようにしてあり、サイトさんに手紙を預けた。

 すぐに返事が来たので、校舎の裏庭で会って話をした。調べた情報を聞かせると愕然としていた。

 「兄上が黒幕なんて……」

 「おそらく王位継承についての争いでしょう」

 「でも、姉も僕も兄の継承には反対していなかったぞ」

 「そんなこと関係ないですよ。だってシュミット様はレッドハンド侯爵がバックにいらっしゃるのですね。かえってご正室様は外国の出だそうで、国内での力はほとんどないと聞きました。まあ、警戒するのは当たり前ですよね」

 「そんな……」

 まあ、ショックだろうな。姉を襲った犯人の黒幕が義理の兄なんて。

 落ち込んでいるシュミット様をしばらくそのままにしておいた。

 今下手に声をかけない方がいいと判断したからだ。


 しばらくして、シュミット様が俺に声をかけてきた。

 「ねえ、どうしたらいいと思う?」

 「ステーゴマとコシーギンを殺しますか?さすがに第1皇子は警戒が厳重で殺せませんが、この二人だったら何とかしますよ」

 まあ、この二人を殺せば少しは気が晴れるし、第1皇子にとって警告にはなるかもしれないしね。ただ、反対に第2皇子たちに敵対心を高める恐れもあるけど、そうしたらその手足となる貴族たちを殺してしまえばいいですしね、いや、最初から殺してしまえば何もできなくなるか。よしそうしよう。

 第2皇子は沈黙していた。

 俺はにこっとして、「大丈夫です。私にお任せください」と言った。

 「すまない」と第2皇子は下を向いたまま言った。


 とりあえず第1皇子派の上級貴族5人をピックアップした。当然コシーギンは一番目にリストアップしている。

 夜、屋敷の裏手で音魔法と闇魔法を使い、屋敷の人間を音波と呪術で皆殺しにした。そして堂々と侵入すると当主の首を取った。

 これを一夜のうちに5つの貴族のうちに行った。

 そして、王都の中央広場にその5つの首を並べた。

 朝、王都は大騒動になった。

 並べられた首もそうだが、屋敷の人間が皆殺しにされていたからだ。

唯一生き残ったのは、地下の酒蔵で酒を盗み飲もうとした下男だけだった。

その下男曰く、地下に酒を盗みに行って、戻ってきたら全員死んでいたとのことだ。


 その下男も尋問中に突然死んだ。七転八倒した挙句、苦悶の表情で、まるで呪われたかのようなありさまだった。

 そしてその次の日、ある男爵が首をつって死んでいた。

 ただ、この大量虐殺のニュースに隠れて誰もそのことに気を留めなかった。

 実は前日、その男爵のもとに手紙が届けられていた。そこにはこう書かれていた。

 「すべてのことを知っている。家族皆殺しか自殺か選べ。この手紙は残すな。残せば皆殺しだ」



お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。


読んでいただいている皆様、本当にありがとうございます。もう少し中身を工夫しなくちゃと思いながら、なかなか良いものが書けずに悩んでおります。

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