第6話 学園に行こう!
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生き残っていた馬に乗って、道を走り、何とか森を抜けた。すると近くに大きな町があった。
その町で、俺は奪った物をすべて売却した。鎧と武具は冒険者ギルドへ。なお、鎧の紋章は金属魔法で消しておいた。
馬や馬車は商業ギルドへ売却、騎士たちが持っていた金も王国マルに両替したところ、全部で2500マルになった。
これが当面の生活費だ。大事に使わなくては。
帝都までの道をギルドに聞いて、町の郊外まで歩いて出ると、音魔法で飛び上がった。
方法は、時空魔法で見えない壁を作り、音魔法で音を出してそれを反射させることで、空気の波動で飛び上がる方法だ。
これを断続的に繰り返すことで空を飛べるようになる。なお、方向の微調整は風魔法を使って行う。
最初から風魔法で飛べばいいんじゃないかって?
情けない話だが、俺の風魔法のレベルでは、人を飛ばすことはできず、せいぜい方向を微修正するのが精いっぱいだ。
なんとか空を飛べないかと思って考え着いたのが音魔法を利用した空気振動により空を飛ぶ方法だ。
こんな感じで夕方には王都に着いた。その足で、学園に向かい、事務室に向かった。
事務職員が何人か忙しそうに働いていた。
「すみません。入学の手続きをお願いしたいのですが」というと、職員の男の人が出てきて、「入学の手続きですね。書類をいただけますか?」とにこりとしながら言った。
書類を渡すと、中を確認しながら「君は元貴族ですか?」と尋ねてきた。
「ええ、そうですが」と少し虚どりながら答えると、「たまにいるのですよ。なんかの事件に巻き込まれて追放のように本校に送り込まれてくる方が。でも安心してください。この学園はセキュリティも比較的しっかりしているので、暗殺される心配はこの学園内にいる限りほぼありません。それに3年間勉強を頑張って、上位の成績をとれば中級役人か軍の中級幹部になるための上級学校に進学できますから。ちなみに役人か軍人の学校は学費がいらず、いくらかですが給与も出るのですよ」と微笑みながら教えてくれた。
「教えていただきありがとうございます」というと、「いえいえ、何があったか知りませんが、心機一転ここで頑張ってください。扱いは平民身分になりますが、そちらの方が気楽ですよ」
「はい、わかりました」
「あと、すみません、この学校に入るのに学費が必要なのですが、もし持ち合わせがないのなら奨学金の手続きをされますか?金利が年10%でかなり低利ですが」
この世界、利息に制限がなく、場所によっては1日10%という暴利の場所もあるから安いには安い。
「いえ、学費ならあります」と言って、10000マルを出した。
「入学料と3年分の学費ですね」とお金を数えながら言った後、「もしよかったら、入学料の減免手続きをされますか。入学書類の中に追放された証拠書類がありますので、これを根拠に入学料の減免手続きができますよ」
「ぜひお願いします!」
「ではこちらの書類に記入してください」といくつか書類を出してきたので、教えてもらいながら記入した。
そのあと、職員の一人を呼んで内容の確認を済ませると、俺に1000マルを返してきた。
「入学金1000マルをお返しします。いいですか、お金は大切にしてください。これから勉強していくうえで、いろいろなものが必要になります。無駄なものは買わず、節約して使ってください。優待生になると学費は免除されますので勉強を頑張ってください」と言ってから、「この学校では原則アルバイト禁止ですが、平民であれば生活のため働くことは目こぼしされますので商業ギルドに行って仕事をあっせんしてもらうといいですよ」と小声で教えてくれた。
そのあと、学校の寮に入る手続きや食堂の場所や利用時間、いろいろな規則を書いた紙をくれていろいろ説明してくれた。
「親切にありがとうございました」というと、「いえいえ。学校のことで分からないことがあれば事務室に尋ねてください。私はサイトと申します」とにこやかに言った。
それから俺は寮に向かった。寮は上級貴族用、下級貴族用、平民用の3種類に分かれていて、平民寮は学園の北のはずれにあった。
寮は値段によって4人部屋から1人部屋まであったが、俺は1人部屋を選んだ。
寮費は朝、夕食付きで月50マルだった。
部屋は粗雑なつくりで、1人部屋もベッドと机を置くといっぱいの小さな部屋だった。
そのあと、寮の売店で制服や教科書、運動着など必要なものを買った。
100マルほどかかった。
夕方になったので、寮の食堂で夕食を取った。
ぼそぼそのパンとほとんど具の無いスープ、小さなチーズが一かけらだった。
味はいまいちだが、量はあったので腹はいっぱいになった。
そのあと、井戸で水をくんで、火魔法でお湯にしてから体を拭いた。
そのうち火魔法と水魔法を組み合わせてシャワーを浴びてやると、心に誓いながら固いベッドで眠りについた。
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