第2話 兎にも角にも努力です
毎日18時に投稿しています。お読みいただければ幸いです。
俺は魔法書を読むことにした。ありがたいことに王宮には大きな図書館があり、俺もそれを利用できる権利を持っていたからだ。
魔法書を借りて読み始めた。しかし早々に挫折した。内容が兎に角難しい。
何が書いてあるのかわからない。
しかしこれであきらめてはだめだと思い、司書のお姉さんに相談してみた。
司書のお姉さんはとても親切で、子供の俺の相手をしてくれて、悩みを聞いてくれた。
「そうね、いきなり専門書を読むのは難しいかもね。そうだ、こっちのコーナーに子供の学習用教科書が置いてあるわ。確かここに初級の魔法書が置いてあったと思うのだけど」と言ってそのコーナーに連れて行ってくれた。
そこには、子供が学習するための各種教科書や参考書が置かれていた。
「このコーナーは魔法教育の関係者が研究をするための資料用に置かれているの。たしか、このあたりに……。あったわ、これよこれ」と言って一冊の本を渡してくれた。
表題は「初級魔法学習読本」と書いてあった。
「これを見て勉強するといいわよ。頑張ってね」と言って、頭をなでてくれた。
俺はその本を読み、重要な個所はノートにまとめて書いた。
午前中は図書館で本を読んだ後、午後は実践だ。
図書館の教科書コーナーに、簡易型魔法適性調査盤というのがあり、早速試したところ、金と土と治癒に適性大、火と水と木と風は適性小、聖、闇、時空魔法は適性中、あと特殊魔法を一つ持っていることが分かった。いわゆる個人魔法だ。これには興奮したが、簡易版ではどのような魔法か分からなかった。
王宮の裏手にあるあまり人のこない場所に行って魔法を実際に試してみた。
最初はうまくいかなかったが、その日のうちに土魔法で小さな穴を掘ることができた。
俺は魔法が使えるんだと、すごく感動した。
しばらくはそんな感じで午前は図書館で勉強、午後は魔法の訓練に明け暮れた。
たまに司書のお姉さんが来て、勉強を教えてくれた。
勉強ができると頭をなでてくれた。
俺自身精神的にはいい大人なんだが、頭を撫でられるなんてほとんど経験がなかったのでなんかほっこりしてしまった。
「いつもどこへ行っているの?」と出がけに母が聞くので、「図書館に行って勉強しているんだ。将来独立してやっていけるように頑張らなくちゃ」と言うと、驚いた顔で「まだ子どもなのに、お母さんがふがいないばかりに」とおよおよと泣き出してしまった。
「大丈夫です母上。なんとしてでも一人前になって自分ひとりで生きて行けるよう努力します。母上も泣かないで」と慰めると、僕を抱きしめ「私も頑張るわ。あなたに苦労かけてごめんね」と頭をなでてくれた。
この体、頭が撫でやすいのかな?
図書館に通い始めて5年がたった。その間に母が国王に頼んで魔法と剣の家庭教師もつけてもらい、必死に努力している。
魔法も結構使えるようになった。
やはり独学では限界があった。魔法の先生は中年の男の先生で、優しい先生だった。
「魔法はイメージだよ。それを具現化することが魔力なんだよ。だから魔法のイメージをより鮮明に描くとともに、それに必要な魔力を鍛えるのが必要なんだ」そう言いながら、魔力循環の方法を教えてくれた。
下腹に魔力を集中するイメージを行い、その魔力を左足、左手、頭、右手、右足、そして下腹に戻す。これを繰り返すとともに、徐々に下腹に集める魔力を大きくする。
これを毎日何回も繰り返す。すると、だんだんと下腹に集められる魔力が大きくなってくる。
更に魔法のイメージだ。ありがたいことに前世で読んだ漫画や映画などが大変役に立った。
金魔法、土魔法、治癒魔法は先生も舌を巻くぐらいの成長を見せていた。
適性の低い魔法もかなり使えるようになっていた。
「これは末恐ろしいな。このまま修行を続けていたらこの大陸有数の魔法使いになるじゃないか」と先生はニコニコしながら言った。
魔法書の読み方も教えてもらった。それまで読み解けなかった本が徐々にではあるが読めるようになってきたのは本当に楽しかった。
図書館にはいく回数が減ったが、それでも暇を見つけては通った。
読めるようになった魔法書やその他政治学、植物学、地誌などを読みふけった。
司書のお姉さんは相変わらず親切だった。ただ、だんだんとスキンシップが過激になってきた。最初は頭をなでるぐらいだったが、抱き着いてきたり、ほほに口づけしたりするようになった。
まあ、嫌じゃないからいいのだけど。
司書のお姉さんはジェーン・カラミティと言って女男爵で、年は僕より15歳上で、今25歳だそうだ。
背は高く、スレンダーで地味な印象だが笑顔のきれいな人だ。
ただ、手には剣だこがあり、体もしなやかだけどゴムのような弾力のある筋肉をしていた。
剣の先生は、元騎士団の幹部だった人らしい。
最初はだたひたすら素振りをやらされた。体幹を崩さないようにと注意された。
毎日1000本がノルマだ。僕はこれをこなしていった。
学生時代柔道をやっていた経験が生きていた。
柔道には1000本同じ技を練習(打ち込みという)をして、やっと技が身に着くと言われていた。
それと同じだと思うと、この不毛な素振りにも耐えられた。
そうやって何年か修行していたら、そのうち剣の型を教えてもらえるようになった。
少しづつだが進歩しているようで、毎日が楽しい生活だった。
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