第16話 謀略と反乱と狂気のサンバ
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侯爵が俺たちへの救援という名目で軍を集めだした。と同時に反乱の噂も流した。
王家から使者が来たそうだ。兵の動員をやめろ、お前には反乱の疑いがかかっている、王宮に出頭せよと言われたそうだ。
侯爵は、孫が困っている、祖父として助けるのは肉親として当然のことだ。それを邪魔するとはどういうことだ、反乱とはどういう意味だ、何らやましいことはしていない、さっさと帰れ、と言って追い返したそうだ。
俺はその間に、我々の進攻コースの一番近くに駐屯している第5師団にいる侯爵の親戚に会いに行った。
カルロス・レッドハンド大尉という男だ。
元は中佐だったが、第一皇子の行った領地貴族圧迫策の一つで、領地貴族出身者は大尉までしかなれないと決めたことで、降格になったそうだ。
侯爵の紹介状をもって、ひそかに師団に行った。カルロスは酒場で酒を飲んでいた。
「カルロス様ですね」
「誰だお前は」
「私はレッドハンド侯爵の使いの者です。こちらが紹介状です」
「みせてみろ」と言って、手紙をひったくった。
「確かに伯父上からだ。こんな俺に何の用だ」半笑いを浮かべながら言った。
「カルロス殿、あなたには反乱を起こしてほしい。この師団司令部を落とし、この師団を掌握していただきたい」
「そんなことをして何になる。すぐに逮捕されて縛り首だ」
「そんなことはありません。なぜなら第1皇子は王にならず、第2皇子が王になります。そうなれば、その功績であなたは将軍に迎えられるでしょう」
「ふん、そんな口約束誰が信じる。捨て駒にでもするつもりだろう」
「カルロス様、今の境遇に満足しておられますか」
「満足?満足だと?お前俺を馬鹿にしているのか!俺はな、何回も戦って武勲を挙げ、勲章ももらい、中佐にまでなった。このままいけば将軍になるのも夢ではなかった。それが第1皇子の所為で大尉に落とされ、一生そのままだと。ふざけるな!」
「ならばここで賭けてみませんか。命を張った大博打、男ならやらずには終われないでしょう」と言ってニヤリと笑った。
はっとしたように俺の顔を見ると、しばらくカルロスは黙っていた。
そして、静かに言った。
「俺は何をすればいい」
「私達第2皇子であるシュミット様直卒のハバル州軍が王都に向けて南下します。その際、この師団は我々を止めようとするでしょう。その時、反乱を起こしてほしい。師団司令部を潰し、指揮権を握っていただきたい。できれば、あとからでもいいので王都に向けて南下してもらいたい」
「わかった。この師団を掌握後、他の師団の仲間も動かして北方軍4個師団はシュミット陛下に従おう」と言って、ニヤリと笑って言った。
「人生最大にして最高の大博打だ。今までいろいろ賭けてきたが、命を賭けた博打はやっぱり心が躍るぜ」
こうして、勝利に向けて一つ手を打って、俺はハバル州に引き上げた。
ダイグランド王国王宮にて
「レッドハンド侯爵が王子救援の兵を募っているそうです。これは明らかな命令違反ですね」側近の一人が言った。
第1皇子は軽くうなずいて、「侯爵を王宮に呼び出したのか」と尋ねた。
「何回も呼び出したのですが、言を左右にして応じません」
「反乱の噂は流したのか」
「ええ、すでに証人も確保しています。これで侯爵家を取り潰せますね」と宮廷貴族の一人が言った。
この男は侯爵が反乱を起こしているという噂を流して、取りつぶしの理由にしようと進言した奴だ。
侯爵家を潰せば、あとは我々の天下だ。やっと、私がしたい改革ができる。
そもそも領地貴族の存在がこれからの王国にとって害悪でしかないのだ。
この国の実質6割を領地貴族が支配していて、王家の財政を圧迫している。
更に王家の行動を制限しており、自由な徴兵も徴税も邪魔をする。
二言目には、民が、民衆が困るだと言い募る。
この北大陸を統一し、南大陸に進出するためには王を中心とした絶対的な権力が必要不可欠だ。
そのためには、権力が王家に集中している必要がある。
その際、民に犠牲を強いることもあるが、国家100年の計のためには、やむを得ないのだ。将来の国家の発展のためには、必要な犠牲である。
いずれ、領地貴族の土地はすべて取り上げ、王が管理する。貴族たちは王に忠誠をつくし、王のために働く者のみ存在が許される。
私の理想のため、兄弟も犠牲にする。
シュミットには恨みはないが、奴は侯爵家出身の母を持つ。つまり領地貴族の旗頭になる可能性が高いということだ。
奴を始末しようと馬車の事故を仕組んだが、誤って姉の方を傷つけてしまった。
あいつは、私のために政略結婚の道具にしようと考えていたが、顔がだめになって、修道院に入れていずれ始末しようと思っていたが、外国の治癒師が治したそうだ。
それならばまだ使えると思ったが、その治癒師と婚約したというではないか。そんなことを許せるはずがないが、あいつを王家から追放してしまったので口を出せなくしてしまった。
まあ、婚約者を始末すれば自由になるし、侯爵を始末すれば後はどうにでもなる。
さあ、栄光に向かってすすもうか。
ハバル州にて
レッドハンド侯爵が反乱を起こした。寄子の貴族たちも一緒だ。
と同時にあちこちで領地貴族たちが蜂起した。
領地貴族はそれまで持っていた政府での地位を追われ、軍でも降格、退役させられるなど冷遇され、更に領地に対して租税もかけられていた。
それまで、3公7民、若しくは4公6民が一般的だったが、国から2公分を治めろと言われ、他にもいろいろ税をかけられるようになった。
民とともに生きてきた領地貴族にとって、民を飢えさせるのは絶対に避けたいことだ。
そのため、自らの身を削り税負担をしていたが、中小の貴族にとって日々の生活にも事欠くような状態に追われていた。
この状態で領地貴族のリーダーであった侯爵が蜂起した。
侯爵様が敗れたら我々は終わりだと思った貴族たちは、自暴自棄的に蜂起を次々と起こした。
第1王子もこの状態は想定していなかったようで、軍を動員して、対応に当たらせようとした。
さて、我々の番だ。
自動馬車800台による中央突破による王都攻撃を実施する。
総兵力はハバル州軍18000人、30人づつ600台に分乗し、更に魔法部隊、砲兵隊、補給隊をそろえ、一点突破で王都に殺到する。
道は、土魔法使いによって移動しながら整備という荒業で移動する。
さて、進むか、と俺はシュミット様とともに自動馬車に乗り込んだ。
シュミット様は言った。「賽は投げられた。あとは進むのみ。みな、勝とう!」
うわーという叫び声が全軍から轟いた。そしてシュミット様を示す青地の生地に黄色い二本の線、その上に王家を示す紋章が真ん中に書かれた旗があちこちで振られた。
第5師団兵営にて
「中佐殿、始まりました。ハバル州軍が動き始めました」俺の元部下が言った。
「よし、皆を集めろ。司令部を占拠する。抵抗するものは排除しろ」
「はっ」
俺は司令部に乗り込んだ。衛兵が止めようとするが、銃を突きつけると降参した。
司令部には師団長他師団幹部がそろっていた。
「貴様何をしている!これは反逆行為だぞ!」幹部の一人が怒鳴った。
「自分はシュミット陛下の命により行動しています。ただいまから皆さんを拘束します。抵抗すれば射殺します」と言って銃を向けた。
「シュミット陛下だと!僭称もはなはだしい!」幹部の一人が吐き捨てるように言った。
ズダーン、一発の銃声が鳴った。
「陛下に対する不敬罪で処刑しました。外に何かある方はいますか?」
みな黙っていた。
「それでは全員拘束します」部下たちに行って全員を縛り、一室に拘束した。
すぐに師団の掌握に動いた。
若干の抵抗はあったが、問題なく掌握できた。
「他の北方師団はどうなっている」
「中佐殿の手配により北方軍4個師団すべて掌握いたしました」
「ただいまより我々はシュミット陛下直下に入る。目指すは王都。全軍移動開始」
「復唱します、全軍移動開始」
北方軍が移動を開始した。シュミット軍の旗を立てながら。
俺たちは一路王都に向かっていた。意外なことに抵抗は全くなかった。
北方軍がシュミット様に付いた。領地貴族たちの蜂起はすでにあちこちで起こり、王国軍は将校たちの反乱や逃亡でその機能を著しく失っていた。
師団としての体裁を守っているのは宮廷貴族で固められている王都防衛師団だけだった。
数日間不眠不休で自動馬車を進めた。我々は、とうとう王都に着いた。
魔法使いたちによる総攻撃が王都の門に行われた。当然俺も全力を挙げて魔法を打った。
門ははじけ飛んだ。
我々は門に突入した。
激烈な攻撃があることを予想して、結界魔法を張ったが何の抵抗もなかった。
不思議に思いながら王宮に突入した。
王宮はもぬけの殻だった。
俺は、使用人部屋に隠れていたメイドを見つけていろいろ事情を聴いた。
領地貴族たちが次々と反乱を起こしていること、我々がものすごい勢いで王都目指して突き進んでくること、北方軍の4個師団が反乱軍に加わったこと、正規軍の下級将校たちが離反、逃亡し、軍の統制に混乱が生じたことことから宮廷貴族たちはパニック陥ったそうだ。
王都防衛師団はどうしたか尋ねたところ、もともと儀典用の師団であり、姿かたちは良いが実際の戦闘の経験はなく、魔法兵もおらず敵が攻めてくると知ってあっという間に脱走兵が相次ぎ、瓦解してしまったとのことだ。
この状況に、第1皇子は王妃と王を連れて、王家に代々伝わる抜け穴から逃げ出したとのこと。他の宮廷貴族たちも三々五々とあちこちに逃走、もぬけの殻になっていた。
本来王子を補佐するはずの上級貴族がおらず、中心となる王子がいなくなると統制を失い、雪崩を打って崩れてしまったらしい。
あの時皆殺しにしておいてよかったようだ。
我々は、王宮を占拠し、王都の占領を宣言した。同時にシュミット様の王への即位を宣言した。
シュミット様は王位につき、シュミット一世を名乗ることとなった。
各地の王国軍に交戦の停止を命令した。同時に第1皇子たちの探索を始めた。
まず、前王の死体が発見された。どうも強制的に連れて行ったが、抵抗されたので殺したらしい。
次いで、自分の母国に戻ろうとしていた王妃を捕まえた。
他にも逃げた宮廷貴族たちは次々と見つかった。
ただ、第1皇子だけは見つからなかった。
レッドハンド侯爵が軍を率いて王都に来た。北方軍もやってきた。
ダイグランド王国は完全に平定された。
カルロス・レッドハンドは軍総司令官となって、大将の地位についた。
レッドハンド侯爵は公爵に陞爵し、宰相となった。
他にも領地貴族たちは追放されていた旧職に着くこととなった。
宮廷貴族のうち、準貴族と下級貴族たちの一部は許されて旧職に着くことを許された。ただし、上のポストは侯爵の差配で、功績のあった領地貴族に与えられた。
俺はどうしたかって?
俺はハバル州が与えられ、辺境伯の地位が与えられた。ただ、まだルキア帝国との戦争が終わっていない。俺は北方軍4個師団と、ハバル州軍でこれに対処することを求められた。
まあ、北方軍の指揮権が与えられたことと、ルキアとの戦いで得た者はすべて自分の物にしていいと言われているし、講和等を結ぶ外交権ももらっているので、自分の考えで戦えるのは大変ありがたい。
逮捕された貴族たちはどうなったかって?
全員死刑だ。毎日のように貴族たちはつるされた。
その子供たちのうち、男は全員殺された。成人に達したものは絞首刑、未成年は毒で殺された。
女たちは戦利品として功績のあった者に配られた。
ちなみにこの国では奴隷制は存在しない。そもそも経済的でないからだ。奴隷は曰く労働力であり、この魔法のある世界では魔法により代替できるうえ、魔法の方が効率的かつ効果的であるからだ。
まあ、配られた女たちはその家で妾になるか、家事などの労働に従事するか、管理者のおもちゃとして生きるかは運しだいだ。
俺は王妃をもらった。
本当は処刑だったが、かなりの美人だし、スタイルもいい。とても子供を産んだとは思えないボディラインで、30代半ばとはとても思えない美女だったので、殺すのが惜しかったから俺がもらい受けた。
最初は王妃だったときの意識が強く、非常に反抗的だったが、リーネ主導のもと、恥辱にまみれた行為をさせた。
何をさせたかったって。はっきり言おう、俺のおもちゃにした。
まず、メイド服を着せた。それも特注の。
なんと、ミニスカートで胸元が大胆に空いた、へそ出しノースリーブというこの世界では考えられない格好をさせた。
この世界の風俗嬢ですらびっくりの格好だ。
そして、その恰好で、街に買い物に行かせたり、街の広場に作った舞台に上がらせてさらし者にした。当然監視付きだ。
抵抗すれば、罰として食事抜きだ。
あと、前世の記憶から、古くはドロ〇ジョさまから峰〇二子、ブ〇マ、ボア・ハン〇ックの格好をさせたり、セーラ服(へそ出しミニスカート)や、魔法少女の格好をさせたり、覚えている限りのエロかわいい格好をさせて着せ替え人形にして楽しんだ。
着替えはリーネを隊長としたメイドたちによる着せ替え隊(俺が勝手に命名)が行った。
最初は激しく抵抗していたが、無理やり着替えをさせ、その姿を衆目にさらして楽しんでいたら、そのうち心が壊れてしまった。
ついには「ご主人様、次はどのような服を着せていただけるのですか?」とねだるようになった。
あはは、本当に俺って外道だなあ。
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