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第15話 ルキア帝国への進攻とダイグランドへの反乱

今日は大みそかです。いろいろ忙しいと思いますが、ちょっとした時間に目を通していただけるとありがたいです。

 レッドハンド軍は敵の国内に侵攻を開始した。捕虜たちはわが軍に編入した。彼らには食料と武器を与え、ルキア軍の軍章は外してわが軍の軍章をつけさせた。


 裏切る心配はないのかだって?彼らは国を裏切って、軍の幹部たちを殺している。生きる道は我々に協力し、手柄を立てて受け入れてもらうしかない状態だ。

 まあ、反乱を起こさないよう、レッドハンド兵が指揮官として彼らを指揮している。

 「これからは時間との勝負です。早急にカスヒ内海まで進出し、上カスヒ川と下カスヒ川の南側を勢力下におさめ、ここを防衛線にするのです」と俺は地図を見せながら、シュミット様と軍の幹部たちに見せて言った。

 「これは実に正確な地図だ。これはあなたが作ったのか」幹部の一人が感心したように言った。

 「はいそうです」

 「この地図があるだけで、我々が断然有利になったようなものだ」

 この世界では、まだまともな地図が作られておらず、軍でもかなりアバウトな地図を使っていた。


 レッドハンド軍約一万の兵は、山を下りて、山裾にある街を占領した。

 敵の警備兵たちはすでに逃げ去っていた。

 俺は、空を飛んで敵の状況を探った。

 敵はカスヒ内海に面したロスト城砦に逃げ込んでいた。

 この街は、カスヒ内海に面した大きな町であるロストグラードの側にある砦で、城壁に囲まれた堅固なつくりをしていた。

 このカスヒ内海はかなり大きな淡水湖で、この湖を船が行き来しており、活発な商業圏を形作っていた。ロストはその南側最大の都市でもあり、10万人が居住する都市だった。

 俺は兵をいくつかに分け、ロストグラードとロスト砦を除いた上下カスヒ川以南を支配下に治めた。


 ロストには兵が1000人ばかりたてこもっているらしい。

 力攻めをしてもいいが、その時間も惜しいので、音魔法で高周波を出し、脳を沸騰させて皆殺しにした。

 実はこれはあまりやりたくなかった。なぜなら俺が死の商人だとばれてしまう可能性があり、また第一皇子派の貴族たちを消したのが俺だということがばれる可能性もあったからだ。

 しかし、今は時間が惜しいので、やむなく使用した。


 さて、これからが本番だ。もう11月も半ばだ。

 間もなく死者の山脈は雪に閉ざされるだろう。すでに雪が舞い、風が強く吹くようになってきていた。

 まず、魔法使いを動員し、死者の山にトンネルを掘る工事を始めた。

 山脈を貫通するトンネルを掘って、雪や風に邪魔されることなく補給や情報のやり取りができるようにするためだ。

 俺は、魔法でとりあえず穴をあけていき、土魔法使いが穴の周りを固め、水魔法使いは湧水を凍らせたり、外に排出するように氷で水道を作った。

 土魔法でも難しい岩盤のある場所は火魔法使いにファイヤーボールを何発も同時に打ち込んでもらって破壊した。

 風魔法使いは、トンネルに空気を送り込むのと、土砂を吹き飛ばす役目をしてもらった。

 人夫も雇い、土砂の搬出などの雑用をやらせた。

 人夫は占領地の領民に食料と引き換えにやらせた。

 また、食料を徴発され、飢えに苦しむ民には、食料を支給した。

 住民たちはとても感謝し、我々に対する支持が高まり、我々の支配を順当に受け入れるようになった。

 まあ、元はルキア軍がこの地から徴発した食料だからマッチポンプみたいなものだけどね。とりあえず、反乱とか起こされないなら儲けものだ。


 さて、こちらの方が重要だ。とりあえず、シュミット様に言って、王に手紙を出させた。

 内容は、「敵軍約1万を山を利用した陣地を作り何とか撃退したが、兵の被害を多数出ており、さらにすでに雪が降り始め、風も強くなっています。撤退の許可と、治癒師の派遣、あと負傷者を運ぶための馬車をお貸し願いたい」とした。

 しばらくして返事が来た。

 「そのまま残留し、来年春に敵領内に侵攻せよ。治癒師の派遣は行わない。また、損害の補充も認めない」と返事が来た。


 レッドハンド侯爵にこの命令を伝えた。

 「王家は完全にお前たちを殺す気だな。孫たちを殺されかけ、領地貴族に対する締め付けも厳しくなっている。王家は我々貴族を何だと思っている。もう我慢ならない。第一皇子を討つ!」と侯爵は決断した。


 我々は段取りを打ち合わせた。

 侯爵が我々の救援のためという名目で兵を集める。すると絶対に中止命令を出してくるだろう。それでも続けたら、侯爵家を潰すいい機会とばかりに命令違反の名目で兵を差し向けてようとしてくるだろう。


 そうなったら、レッドハンド侯爵とその配下の貴族たちが蜂起する。第一皇子は侯爵軍と戦うために王都近郊にいる師団の総力を挙げて対応するだろう。

 この国には12個師団が存在する。おそらくそのうちの王都に近く、更に侯爵領に比較的近い場所に駐屯する3個ないし4個師団を差し向けてくるだろう。


 侯爵には、各地の領地貴族に反乱参加の檄を飛ばしてもらう。また、各師団の下級将校たちに反乱を呼びかけてもらう。

 これで少しでも敵の戦力が分断されればいいが、まあ、そんなに期待はできないだろう。


 敵がレッドハンド侯爵領に集中しているうちに、我々はシュミット様を旗頭にハバル州で集めた兵と元から預けられていたレッドハンド軍合わせて1万8千で王都を急襲する。

 道中の王国軍がどう動くか分からないが、最悪俺が潜入し、師団中枢を暗殺、指揮系統を混乱させて軍の行動を妨げる。

 正直かなり博打な作戦だ。俺も死ぬかもしれない。


 俺は、ハバル州の比較的安全そうな場所にリーネを連れてきた。家を一軒買い与え、生活に困らないだけの金を渡した。

 「私が死んだらこの金で自由にしなさい」というと、「わたし待っています」と言って抱き着いてきた。俺も抱き返した。

 そのまま二人で、ひたすらお互いの体をむさぼり、それは明け方まで続いた。


 翌朝、俺は眠るリーネのほほにキスをして家を出て行った。

 人の愛は信じられないが、少なくともこの時、俺とリーネは愛し合っていた。


お読みいただきありがとうございました。もし少しでも気になりましたら星かブックマークをいただければ大変ありがたいです。

星一ついただければ大変感謝です。ブックマークをいただけたら大大感謝です。ぜひとも評価お願いいたします。


大晦日投稿は初めてだと思います。明日も投稿します。

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