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全力疾走の後に・・・

引き続き青崎回です。

《今日は学校で居残り作業があるから》と言う理由で何とか帰宅の迎えは阻止できた。


 当然一回で組の人たちが聞いてくれるわけもなく・・・

 《お嬢に作業指示出した奴どいつっすか?》

 《うちのお嬢に雑用押し付けやがって!!》

 危うく学校で暴動が起きそうだった為、ヤクザのお嬢口調で無理やり説得させた。


 久しぶりに歩く登下校の道、普段は車で直ぐに自宅まで着くが今日は違う。

 車登校を羨む人からすればこんな考え贅沢かもしれないが、沈みゆく夕日を眺めながら一歩ずつ道を歩み帰宅する、この時間が私は好きだ。

 前方からは遊び帰りの子供たちが指遊びをしながら楽しそうに歩いている。

 周囲の家々からは夕食の匂いが漂い始めた。

 あの青色の屋根のおうちはカレーかな?なんて考えながらゆっくりとした歩幅で自宅に帰えるのだが・・・・・


「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 今日は子供の楽しそうな顔も夕食の匂いも見えないし感じない。

 理由は明白、赤城君に私の一人・・・”友達”との会話を聞かれてしまったからだ。

 教室から猛スピードで逃げ出した五分後、ようやく落ち着いてきたが心臓の鼓動は激しいままだ。

 走ったから当然なのだが・・・・赤城君に聞かれちゃったよ・・・


 好きな時間なのに今日はなにも楽しくない複雑な感情。

 流石に疲れたので近くの壁にもたれかかり休憩をする。


「神様・・・どうして私にだけ意地悪するの?」

 普段から怖がられたり家庭環境で悩んだりする事はあったが、今日の出来事は流石にこたえてしまった。


 あ・・・だめだ、泣きそう・・・


 もう赤城君は絶対に関わってくれない。

 中学生の頃も同じように優しくしてくれた女の子も離れていった事を思い出し怖くなってしまった。


「私から”おはよう”と・・・・・”またね”って言いたかったな」

 ボソッと呟いた私の言葉を聞く人はここにはいない。

 再び歩き出そうとした時に後方から声をかけられた。


「見つけたぜ・・・おい青崎!」

 私の名前を呼ぶ方に振り返るとそこには見覚えのない三人の男が立っていた。


「な、なんですか?」

「いやぁ、うちの舎弟達がお前の世話になったそうでな、”お礼”しにきたんだよ」

「噂通りの女なら、お前を潰せば俺の名が広がるってもんだろ?」

 そう話す男の左右にいる男たち・・・


 思い出した!

 先週私に突っかかってきて逃げた人たちだ・・・・

 真ん中の人は話を聞く感じリーダー的存在なのかな?


 て言うか、こんな日に限ってなんでこう不幸が続くの!?

 やっぱり神様は意地悪だよ!!


 どうしよう、組の人たちもいないし・・・・こんな怖そうな人たちから走って逃げられる訳もないし・・・

 喧嘩しても・・・・って喧嘩ってどうやればいいんだろう。


「とりあえずついて来い、ここだとお前もやりにくいだろ」

 そう言う男に付いていくと、いかにもな路地裏に着いた。


「さぁ、来いよ・・・青崎!」

「やっちゃてください、アニキ!!」

「その女ボコボコにしてください!!!」

 ファイティングポーズを取り構える男に声援を飛ばす二人・・・・もう本当に黙って!!!

 こうなったらもう・・・・最後の希望を籠め私は相手を睨みつけ口を開く


「ウチとウチの家の事知ってて挑んできてるっちゅうなら、その度胸は褒めたるわ」

「せやけどな・・・・ケガじゃ済まんで?」

 私がね!!!!

 お願い!このハッタリで大人しく帰って!!!!


「い、いいねぇお前もやる気になったってわけか!!!」

 違ーーーーーーーう!!!!!

 冷や汗をかいた男だったが、男はその汗を拭う事もなく、軽快なステップを踏み始めた。


 どどど、どうしよう・・・いつもならあのハッタリでみんな逃げだすのに。

 この人やる気出しちゃったよ・・・・

 も、もう本当の事言って謝ったら見逃してもらるかな?

 そう考えていると男はこちらに向かい一歩踏み込んだ。

「いくぜ!!!」


 もうだめだわ!

「ご、ごめんなー」

「あっ!やっと見けた!」

 諦めて、謝罪の言葉を言おうとした時、またしても聞き覚えのある声が後方から聞こえた。

 私は声の方へ振り返り、彼を確認した。


「探したよ、青崎さん」

「赤城・・・君?」

 私の思った通り、そこには私に向かい微笑んだ彼がいた。

読んでいただきありがとうございました。

次回も完成し次第投稿させていただきますのでよろしくお願いします。

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