Mission05:非番防衛戦1
「はぁ〜、遊んだ遊んだ。よし、そろそろ帰るか。今度来る時はもう一人の新入隊員、アレックスだっけ?あいつも誘わないとな」
「あの、ルークさん、今日はありがとうございました」
「俺が遊び相手欲しかっただけだから気にすんな。運転してもらったしな」
リン達三人がビークルに乗って帰ろうかという時、防壁外の街にサイレンが響き渡る。
「サイレン…先輩!」
「あぁ、インベーダー警報だ。全くツイてねぇ」
“インベーダー警報発令、インベーダー警報発令!住民の皆さんは速やかに避難してください。繰り返します…”
「なんだってこんな時に!」
「敵は俺達の事情なんて考えちゃくれないんだよ!リンちゃん、行くぞ!」
「行くって、どこに!?」
「決まっているでしょう、この街の防衛部隊の駐屯所です!早く車出して!!」
「防衛部隊!?り、了解!」
リンは街の防衛部隊の駐屯所へビークルを走らせる。その間にルークが通信端末で第04討伐部隊の駐屯所にコンタクトを取る。
「くそっ、早く出ろよ…!アルマちゃんまだ出かけてんのか?」
“はい、第04討伐部隊”
「その声、タクヤさんかい?俺だ、ルークだ。そっちにも連絡行ってると思うが、外出先の街の近くにインベーダーが出た!俺とアメリア、後リンのマナフレーム持ってきてくれ!」
“ルーク、お前等こんな時にどこ行ったのかと思ったら、そこにいるのか。了解、隊長達を送るついでだ。お前等の分も持って行ってやるよ!装備はいつものでいいな?”
「あぁ、頼むぜ!…アメリア、リンちゃん、タクヤさんが俺達のマナフレーム持ってくるまでもうちょいかかる!」
「了解です。それまでは…」
「あぁ、防衛部隊に加勢するぞ!」
「え!?加勢するったって、装備がなにも…生身で戦う気ですか!?」
「バカ、武器は防衛部隊のやつ借りるんだよ!それに防衛部隊はいつも生身で戦ってんだ。それなのに俺達がマナフレーム無しじゃなにも出来ませんなんて、精鋭部隊が聞いて呆れんだろ!」
という事はつまりマナフレーム無しで戦うとなれば近接武器は使えない。銃火器での戦闘になる。それに軽い一撃ですら致命傷になりかねない。
(マジか…)
「あ、アメリアさんは、大丈夫なんですか?」
「私は元々防衛部隊所属です」
ルークはもちろん、アメリアも全く動揺が無い。
(くそっ、しっかりしろ俺!隊長みたいに人を救けられるようになりたくて苦労して隊員になったんじゃないか!)
リンは今にも逃げ出したくなる気持ちを振り切るように自分を奮い立たせる。そしてすぐに防衛部隊の駐屯所が見えてきた。
「おい、止まれ!そこのビークル止まれ!」
駐屯所の門の前で防衛部隊の隊員に止められる。
「避難所はここじゃないぞ!何してる!」
「加勢しに来たんだよ」
「は?何を言って…」
「ほら、第04討伐部隊のルーク・パレルモだ。こっちの二人も討伐部隊」
ルークは防衛部隊の隊員に身分証を見せ、アメリアとリンもそれに続いて身分証を出した。
「た、確かに…。しかし、マナフレームが無いようだが」
「とりあえず武器貸してくれやって」
「あ、あぁ。良いだろう。隊長には俺の方から言っておく。こっちだ」
三人は防衛部隊の武器格納庫へと案内された。
「ここにあるもので好きなのを選ぶと良い」
「サンキュー」
リンはアサルトライフル、ルークはサブマシンガン二丁、アメリアはマナキャノンとスナイパーライフルを選んだ。それぞれの予備のマナマガジンもいくつか拝借した。それをビークルに積んでいく。
「よし、それで敵はどれくらいなんだ?」
「…沢山だ」
ルークの問いに案内してくれた防衛部隊の隊員が答えた。だが答えがフワッとしていてよくわからない。
「あの、何体居るんです?」
「…詳しくは俺もわからん。だが凄く沢山だ!」
「だから沢山じゃわかんないですよ!」
「…先輩、スタンピードですね」
「どうりで隊長達まで駆り出される訳だよ…。あ〜、今日はつくづくツイてねぇ…!とにかく行くぞ!」
三人が街の外に出ると、インベーダーが大群となって街に押し寄せて来ていた。
「うわ、嘘だろ…」
「奴等を絶対に街に入れるな!討伐部隊が来るまで何としてもここで食い止めろ!!総員出撃!」
防衛部隊がビークルを駆り、それらに立ち向かって行く。
「俺達も行くぞ。リンちゃん、運転は任せる!」
「了解!」
リン達三人もインベーダーの群れへと突っ込んで行く。