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Mission03:最後の砦3

長くなりました。

「見つけた…!」

リン達の視線の先には一面瓦礫だらけの元々街であった場所を徘徊する人の3倍はあろうかという大顎を持つ巨大な甲虫型の侵略者インベーダーが6体。

「先ずは気づかれる前にラカンの遠距離射撃で先手を取る。奴らが混乱した隙に私達で突撃するぞ!散った奴らを各個撃破だ」

「了解」

ラカンは一人瓦礫に身を隠し、マナライフルを構える。そこからリン達三人に通信。

“混乱させるって言うなら先ず中央のやつをやる。後は新入隊員二人が危なそうならその都度援護する”

「…いよいよ本物のインベーダーとの戦闘か…。虫型インセクトタイプはシミュレーションで何度も戦ってきたけど…」

「行くぞ、戦闘開始!」

心の準備が出来ないままにフィオナ隊長の合図と共に後方からのマナライフルによる射撃で中央に居たインベーダーの身体に風穴が穿たれる。他のインベーダー達は突然の攻撃に混乱し、散り散りになっていく。

「今だ、突撃!」

「リン、行くぞ!」

「お、おう!」

フィオナ隊長にリンとアレックスも続く。

「両端の奴は任せた。残りは私がやる」

「了解!…マシンガンの火力じゃ甲殻に有効なダメージは与えられないかも知れない。なら、関節を狙う!当たれ!」

アレックスがマシンガンから放ったマナエネルギー弾はインベーダーの脚の関節に命中、インベーダーはたまらず体勢を崩した。

「やった!やはり関節はそんなに硬くない。これなら!」

腰に提げたマナブレードを抜き、一気に距離を詰める。狙うは大顎と頭部を繋ぐ関節だ。

「これでトドメだ!!」

赤熱するマナブレードは、インベーダーの大顎と頭部を繋ぐ関節に深々と突き刺さった。赤熱する刀身がインベーダーの身体を甲殻の内側から灼いていく。

「や、やった…!うぉっ!?こいつ、まだ動くのか!?」

インベーダーは重大なダメージを負いながらもアレックスを振り払う。その力は凄まじく、アレックスは簡単に吹き飛ばされてしまう。その際にマナブレードを放してしまったので、インベーダーの頭部に刺さったままだ。展開されたマナフィールドによって、大きなダメージこそ無いものの、これでアレックスは武器を一つ失った事になる。マナブレードが刺さったままのインベーダーが大顎の奥の鋭い牙が並んだ口を開けてアレックスに迫る。

「この野郎ォ!!」

大きく開いた口内を狙ってマシンガンを撃ち込む。硬い甲殻の守りがない口内からマナエネルギー弾を連続で浴び、インベーダーは今度こそ動かなくなった。

「か…勝った…!」

“まだ気を抜くな!もう一人の新入隊員を援護だ”

「了解!」

マシンガンのマガジンを交換してマナエネルギーを充填し、アレックスはリンの援護に向かう。

「くそっ、当たれ、当たれ!」

リンは向かって来るインベーダーにマナエネルギー弾で迎え撃つ。しかし、インベーダーの見た目以上に素早い動きに思うように当たらない。当たったとしても硬い甲殻に弾かれ有効なダメージを与えられないでいた。

「やっぱり俺は射撃は駄目だ…こうなったら!」

腰に提げたマナブレードに武器を持ち替え、こちらに突進して来るインベーダーを迎え撃つようにリンも突っ込んで行く。

「あいつ、ビビリだと思ってたが度胸あるなぁ…」

ラカンはリンの行動に驚きながらも、いつでも援護射撃出来るようにライフルの照準を合わせる。

「やってやるぞ、俺だって!」

ホバー走行で一気に接近し、挟まれればひとたまりもないであろう大顎の攻撃を躱して懐へ潜り込んで赤熱する刀身をインベーダーの胴部を繋ぐ関節に叩き込む。

「ぅおりゃああああ!!!」

マナブレードの刀身がインベーダーの関節を焼き切っていき、そのまま両断。

「はぁ、はぁ…と、討伐完了…!」

「リン!やったな」

「アレク、そっちも終わったの?」

「お前誰に聞いてんだよ?訓練校落第ギリギリの奴に出来て成績上位の俺に出来ないはず無いだろ?予想外にしぶとかったが、こっちも終わったよ。危なげなくな」

ちょっと危なかった事は言わないでおいた。

「あ、そう…」

一々鼻につく言い方するなと思いながら、マナブレードを鞘に収める。ふとフィオナ隊長の方はどうなったかと見てみると、甲殻ごと見事にぶつ切りになったインベーダーの死骸が3体分転がっていた。

「すげぇ…」

 オペレーターのアルマからの通信が入る。

“インベーダーの討伐確認。お疲れ様でした。迎えが来るまでお待ち下さい”

「了解です。…はぁ~、終わった〜!」

アルマの通信を聞いてリンはこれまでの緊張の糸が一気に緩んでその場にへたり込む。

「おい、帰るまで気を抜くなよ」

 そこに再びアルマからの通信が入った。

虫型インセクトタイプインベーダー1、急速に接近!注意してください!”

リンは慌てて立ち上がり、周囲を見渡す。

「なに!?ど、どこから!?」

「後ろだ!」

「え?うわっ!?」

ラカン副隊長の叫び声でようやくその存在に気づいた時には、後方から凄まじいスピードで飛翔して来た大きな複眼に長い四枚の羽根、細長い身体の虫型インベーダーの六本の脚にリンはガッチリ掴まれ、そのままインベーダーは空中へ舞い上がる。

「くそっ、放せ!このっ!」

リンは必死にもがくが、インベーダーの力は強く、マナフレームで強化された力でも振りほどけない。リンを顔の前まで持ってくると、大きな口で齧り付く。

「く、喰われる!!」

リンは反射的にマナフィールドを展開させて防御するが、マナ残量がゴリゴリと削られていく。

“リンさん、マナ残量20%を切りました!危険域です!”

「そんなのわかってますよ!でもこいつ力が強くて振りほどけない!」

地上からはアレックスがインベーダーにマシンガンを撃ち込むが、インベーダーはひらりと身を躱して命中しない。

「畜生、当たらねぇ!!」

インベーダーは街の方角へと向きを変え、リンを掴んだまま飛び去って行こうとしている。

「あのバカ、だから気を抜くなと言っただろうが…。あれは虫型の中でも並外れたスピードと視野の広さを持った個体だ。当たらなくてもいい、そのまま撃ち続けろ。奴の注意を引き付けといてくれ」

「り、了解!」

ラカンはスナイパーライフルを構え、空中のインベーダーに狙いを定める。

「…シュート!!」

ライフルから放たれたマナエネルギーがインベーダーの胴体と羽を貫通し、地上に墜ちていくと同時にリンの拘束が緩む。

「お、落ちる!!」

「残りのマナでフィールドを張れ!そうすりゃ大丈夫だ」

「フィールド展開!!」

インベーダーと共にリンは地面に墜落。

「リン!大丈夫か!?」

“リンさん、応答して下さい!”

「いてて…な、なんとか大丈夫っす…マナは使い切りましたけど」

 この後ラカン副隊長に説教され、迎えに来たトレーラーに乗って駐屯所へと帰ってきた。今は再び隊長室へと通されている。

「二人共、まずは初任務御苦労だった。反省点はあるだろうが、初の実戦であそこまで戦えれば大したものだ。部屋の荷物の整理などやる事があるだろう。今日はこれで解散とする。あ、そうだ。今回の戦闘を通して自分の装備に要望などあれば整備班のタクヤさんに相談するといい」

 隊長室から出て、二人でガレージに寄って整備班のタクヤに装備の要望を伝えて、アレックスはこの後食堂に寄ると言っていたが、リンは真っ直ぐ自分の部屋に帰ってきた。荷物が散乱したままの部屋のベッドに寝転がり、天井を見上げて考える。まず突然の初任務でインベーダーを討伐出来たことは自分でもよく出来たと思うけれど、最後に自分が気を抜いたせいでチームの皆に迷惑をかけてしまった。あの時、副隊長のライフルが外れていたらどうなっていただろうか?その前に副隊長が同行していなかったら…?おそらくリンはあのインベーダーに喰われて、街にも甚大な被害が出ていただろう。自覚が足りなかった。自分が防壁の外での生活を余儀なくされている人たちにとっての防壁であり、最後の砦なのだという自覚が。























マナという単語を見すぎてなんかもう…。

次回は人物紹介か用語解説的な何かを投稿する予定です。

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