Mission10:Mad&Berserk
“隊長、目標地点に到着。しかし付近にインベーダーの反応があります”
「インベーダー?反応はいくつだい?」
“1つ、2つ…隊長、反応は5つです。今回の運用試験ではインベーダーとの戦闘は想定しておらず、隊長は対インベーダー用装備を身に付けていません。加えて、ビビ・シグマの調整も実戦投入レベルに達していません。中止すべきです”
「ふむ…」
セントラル防衛軍第02討伐部隊の隊長ノア・ブラッドフォードはマナビークルの運転席でオペレーターからの通信を受けて少し考えてから再び口を開いた。
「いや、このまま続けよう。ビビ、問題ないね?」
「了解。問題ありません隊長」
ノアの問いに助手席に座る彼とは対照的に全身をマナフレームで覆った女性は少しの迷いもなく答えた。
“隊長、危険過ぎます!中止してください!何かあってからでは…!”
「君が心配してくれるのはうれしいが、はじめから何のリスクもなく成し遂げられるとは思っちゃいないし、この研究が成就すれば僕達人類は命の危険を冒してインベーダーと戦わなくてよくなる。それまでの辛抱さ。…来たな。ビビ、始めようか」
「了解。行動開始」
ビビはマナフレームを起動させると、マナビークルから飛び出し、着地すると、マナビークルと並走しながら手首のデバイスを操作する。
「戦闘データの収集を開始。マナビット起動」
ビビの背中に羽のように装着されていた5基のマナビットがそれぞれ離れ宙に浮く。ビビが楽団の指揮者が指揮棒を操るように腕を振ると、それぞれが意思を持っているように前方に見えるインベーダーの集団へと向かって行く。
「攻撃開始」
5基のマナビットは瞬く間にインベーダーを取り囲み、四方八方からマナエネルギーを発射して、インベーダーの身体に穴を穿っていく。
「くぅっ…!うぅ…はっ、はぁっ!」
一方的にマナビットがインベーダーを蹂躙しているように見えるが、それを操るビビにも相当な負担がのしかかる。
「ぐ…うああああッ!!」
ビビは最後の一体にマナエネルギーを撃ち込みインベーダーを全滅させたが、戦闘行動をやめることはない。マナビットが周囲のものを手当たり次第に攻撃し始める。
“あぁもう、言わんこっちゃない!隊長、ビビ・シグマの精神安定レベル許容範囲を超えました!このままでは危険です”
「そんな事は言われなくたって分かっているよ。…お休みの時間だよ、ベイビー」
「あああああッ!!…あ…」
ノアがリモコンを操作すると、暴れ回っていたマナビットは起動を停止して地面に落ち、ビビもへたり込むように膝から崩れ落ちた。
「アハハハ!!ブラボー!!ロクに運用試験もしていないマナビットをここまで操れるとは流石といったところかな。実に素晴らしい!まだまだ調整が必要だが、君のおかげで人類はまた少し平和へと近づいた。今回の試験は終了、これより帰投する」
ノアは動かなくなったビビとマナビットを回収すると、駐屯所へともと来た道を満足気に引き返していく。




