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Mission00:PROLOGUE

こういう世界観をやってみたかったので始めてみました。よろしくお願いします。

 10年前、巨大隕石が飛来した。その隕石から産まれ出た侵略者インベーダーによって、人類は滅びの危機を迎えている。いくつもの国が滅び、世界に約70億人居た人口は現在約6億人にまで数を減らしていた。

 インベーダーの侵攻により国を追われた人々は一所に集まり、1つの国を創った。その名もセントラル。彼らは人類の生活に必要不可欠なエネルギー“マナ”を含む金属マナメタルで造った巨大な防壁で国を囲い、その防壁から発生させる結界マナフィールドでなんとか九死に一生を得た。それが今から5年前の事である。そして現在。

「グルルルル…!!」

「あぁ、終わったわこれは…」

 マナフィールドの庇護下ではないセントラル外縁部の名も無い街の孤児院に暮らす少年リン・テイラーは、逃げ込んだ瓦礫同然の建物の中で諦めの境地に至った。彼の目線の先、窓枠の外からは獣型ビーストタイプのインベーダーが涎を垂らしながらこちらを覗き込んでいる。そいつの鼻息が顔にかかり、その臭いに胃の中のものが全部逆流しそうになるのを必死で堪えているけれど、その必要はもう無いかもしれない。何故なら、きっともうすぐ巨大な肉食獣のような姿をした化け物の餌になってしまうのだから。

「こんなことなら、先生がこっそり隠してたプリン食べとくんだった…。もったいないことしたなぁ」

 リンが暮らしていた孤児院を含め、街はインベーダーに破壊し尽くされ、街に駐屯していたセントラル防衛軍も既にこの化け物に全滅させられてしまっている。リンは孤児院の皆と一緒に必死でインベーダーから逃げていたけれど、混乱の中ではぐれてしまった。この絶望的な状況ではもう為すすべがないので、運命だと受け入れ目を瞑る。でも怖いものは怖い。

「こちらフィオナ、隊長、目標ポイントに到着しました。ビーストタイプ1を確認」

“了解。我々の任務はインベーダー討伐ではなくあくまでマナフレームの運用データ収集と生存者の保護だ。無茶はせず我々が到着するまで待て”

「了か…!隊長、その命令には従えません。生存者確認、ビーストタイプに襲われている。これより討伐に移ります」

“何!?待て!ビーストタイプほどの大型は単独で討伐出来る相手ではない!”

「では私に今助けられるかもしれない命を見捨てろというのか!化け物の餌になるのをじっと見ていろというのか!マナフレームの運用データ収集なら実戦でやってやる!通信切ります」

“おいフィオナ、待…!”

「戦闘開始。先ずは注意をこちらに向ける」

高速のホバー走行で接近しながらマシンガンを構え、獣型ビーストタイプインベーダーにマナエネルギー弾を浴びせかける。しかし、殆ど命中しない。

「ガアアアアァ!!」

「チッ、だが注意はこちらに向いた。ここからはハルバードで行く」

マシンガンを腰部にセットし、背負っていた身の丈以上もある大振りなハルバードを抜き構えると、その刀身がマナエネルギーで赤熱する。

 目を瞑っていたリンはいつまで経ってもインベーダーが襲ってくる気配がないので恐る恐る目を開けると、今までリンを襲っていたインベーダーの意識は完全にリンから逸れており、その視線の先には漆黒のパワードスーツに身を包んだ女性が、大振りな赤熱するハルバードを構え高速でホバー走行しながら接近して来ていた。

「もう大丈夫!今の内に離れて!」

「お、女の人!?は、はい!」

リンは言われるがまま距離をとって瓦礫に身を隠す。

「ギャアアス!!」

獣型インベーダーは高速で地面を滑るように接近して来た女性に対し、前脚を振り下ろす。

「…ふっ!」

女性はカウンターの要領でそれを躱し、すれ違いざまにその前脚を斬り裂く。そしてターンして脚にダメージを負って動きが鈍った獣型インベーダーにハルバードを構え再び接近。

「脚を斬り落とすまでには至らないが、確実にダメージはある。ハルバードは極めて有効。…いける!このまま一気に攻める!」

女性がハルバードを振りかぶった隙を狙って獣型インベーダーは前脚で薙ぎ払う。女性は軽々と撥ね飛ばされ、瓦礫の壁に叩きつけられる。

「がっ…!!?」

「グルルル…!」

「くっ…油断した。まだこんなに動けたとは…。マナフィールドの正常な作動を確認。防御性能問題無し。ダメージは軽微、と」

女性は無事なようだが、今度は一転して獣型インベーダーが女性を仕留めようと涎を垂らしながら距離を詰めていく。

「もう私に勝った気でいるようだが、いい気になるなよ…!」

女性は再びハルバードを構えてじりじりと距離を詰めてくる獣型インベーダーに地面を滑るように接近。

「人間様を舐めるな、このケダモノが!!」

ホバー走行のスピードの乗った赤熱したハルバードの刃が女性を噛み殺そうと飛びかかかってきた獣型インベーダーの顔面に叩き込まれる。

「くたばれぇ!!」

獣型インベーダーの顔面をどんどん斬り裂いていき、縦に両断。獣型インベーダーは力無く崩れ落ちた。

「た、助かった…のか?」

「ふぅ〜…。ビーストタイプ撃破、戦闘終了。マナ残量45%、従来の装備に比べて火力、防御力共に劇的に改善しているが、エネルギー効率に問題あり。これより生存者の保護に移ります」

 ハルバードを背負い直し、フルフェイス型のヘルメットを脱ぎながら、パワードスーツの女性が呆然とするリンに近づいてきた。

「もしかして、セントラル防衛軍…?」

「セントラル防衛軍01試験隊所属、フィオナ・クレメンタインです。君、怪我はない?間に合ってよかった」

「…え、あ、はい。俺は大丈夫ですけど…」

「フィオナ!フィオナ・クレメンタイン!無事か!?」

フィオナと同じパワードスーツ姿の3人組が遅れて到着。

「隊長、ビーストタイプの討伐及び生存者の保護、完了しました」

「あぁ、そのようだな。見たらわかるよ。しかしまさか本当に単独でやってのけるとは…。我々もここに来るまでに虫型インセクトタイプと何度か遭遇した。新手が来る前に少年、君だけでも安全なところに避難させよう」

「え…?」

フィオナと名乗る女性が隊長と呼ぶ人物の言葉にリンは少し違和感を覚えた。

「ちょっと待ってください、俺だけって、どう言うことです?施設の皆は?街の人が居るでしょう!?」

「…我々の力不足で申し訳ない…。ここに来るまでに捜索したのだが、生存者は君だけだ」

 気がついたらリンは隊長に掴みかかっていた。施設には友達だっていたし、街の人達も皆親切だった。この人達がもっと早く来ていたら、助かったかもしれないのに。そう思った時にはそれを口に出すよりも先に掴みかかっていた。それでも隊長は申し訳ないと謝るだけだ。本当はリン自身も隊長やフィオナ達に感謝こそすれ、責めるのは間違っている事はわかっている。怒りをぶつける相手は彼等ではない。

「…すいません、皆さんだって命懸けで俺のことを助けてくれて、街の皆の捜索だってしてくれたのに…。この怒りをぶつける相手は、インベーダー共だ…!」

 この後リンはこの経験をきっかけにセントラル防衛軍入隊を目指し、防壁内にある訓練校に入学する事になる。















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