0話『始動』
少女漫画のような始まりだった。
「水湊ー!?初日から遅刻するわよ?!」
母の声でばっと目が覚める。
やばいやばい、高校初日から遅刻はやばい!
神宮寺水湊、現在遅刻しそうな高校1年です!!
急いで制服を着て、カバン準備して、あぁ!筆記用具とかノートに名前書くの忘れた!まぁいいや!
「急ぐのはいいけど、朝ごはんは食べなさい!」
いつのまにかいた母にパンを口に突っ込まれる。
いつも雑なんだから…!!
「いっへきまひゅ(行ってきます)」
「はいはい、事故に気をつけて!」
家を飛び出して学校に向かう。あと10分で着くだろうか?!
パンを食べ、腕時計をチラチラ見ながら全速力で走る。
「「ドンッ」」
誰かにぶつかった、ごめんなさい!と謝り目を開けると…。
「え、は?」
さっきまでの街並みとは一変、まるでタイムスリップしたかのような江戸時代の景色だった。
「こ、ここは?」
「ここは幕末。新撰組や坂本龍馬が居た、あの時代」
「?!」
女の子の声に驚いて後ろを向く。
そこには…狐??
「え、狐?」
「狐のコンよ。」
いや、てっきりかわいい女の子がいると思うじゃん?狐?
混乱してたら、コンが口を開いた。
「私の気まぐれで連れてきてごめんなさいね。まぁ、この時代を楽しんでちょうだい。なんの能力もないのも可哀想だから沖田総司と同じぐらいの剣の天才って能力あげるわ。じゃあ」
は、?待て待て、急展開すぎだろ、なんのドッキリ?最近人気のトリップ?狐喋ってるし?剣術なんてやったことないし?てかその前に帰らせて?!
「ちょ、気まぐれ?てか行かないで?!帰りたいんだけど?!」
「この時代生き抜いたら返してあげるわ。そうね…新撰組と共に、五稜郭までたどり着いたら返すことを約束する。それまで頑張って生き延びるのね。あ、新撰組にはもう話し通してるから、そこの建物の前で合流しなさい。刀握って適当に振れば天才と言われるぐらい強いから安心してね。あ、刀はこれ。じゃあ今度こそバイバイ!」
「あっ…」
消えた?!てか、新撰組って…とりあえず刀を握ってみるか。何がなんでも護身用に…なんだ、すごくしっくりくる。なんかいけそうかも!
あの建物前で合流か…ん?あそこは、もしかして
「予告1話」
『池田屋での出会い』