85.vs謎の忍者
私達は試合用のフィールドへと案内された。
試合用のフィールドはかなり広くて、ボス部屋くらいの大きさがある。
つまり、魔法少女形態の私が飛んだり跳ねたりしても、問題ないくらいの大きさってことだ。
試合用のフィールドは基本的に痛覚が遮断される。
更にそこで倒れても死んだ扱いにならない。
じゃあどうやって決着をつけるのかっていうと、ゲームみたいにHPゲージが表示されるから、それを使って試合をする。
今回の場合はシンプルに、相手のHPを0にした方の勝ちだ。
「いけーっ!」
「まぁ、無理はするな。心配はないだろうけどな」
クランの皆が応援席で応援してくれている!
「参考にさせていただきます!」
そして、ソラちゃんも応援してくれている!
参考に……あっ!
そういえば、ソラちゃんにはお願いされたことがあるんだった。
あの時……。
◇
「じゃあちょっとお願いの仕方を変えます! しばらくの間、近くでルカさんの活躍をみさせてください! どうやったら面白くなれるのかを、参考にさせていただきます!」
◇
そう、ソラちゃんは私のことを面白いと思ってくれている。
本当は【魔法少女】スキルのおかげで有名になっただけで、私自身はただ楽しいことをやってるだけなんだけどなぁ。
でも、期待されてるんだったら期待には応えたい。
ということで、今回の試合はいつもと違う感じで勝つ!
いつもはただのゴリ押しだからね。
「ちなみに再戦はできるんですか?」
私はスタッフさんに訊いてみた。
「1度まででしたら可能です。2度負けた場合、また後日試験となります」
なるほど。
じゃあ、いつもと違う感じで工夫して戦っても大丈夫って訳だね!
もし負けたら、次はいつも通りゴリ押しでいこう。
「では、試合開始です」
スタッフさんが審判となって、試合開始の合図をする。
私は早速スキル【魔法少女】で魔法少女の姿に変身……。
「させぬ!!」
えっ!?
物凄い速さで忍者が私の目の前に!?
ちなみに、一瞬だった。
「爆音爆弾!」
も、物凄い音だっ!
なにも考えられなくなりそうな程だ。
少なくとも、スキルを発動できる余裕はない。
「煙玉!」
くっ!
緑色の煙で視界が……!
「忍法! 闇討ち!」
背後から!?
痛くはないけど、なんか斬られたような感じがする。
実際斬られていたみたいで、私は大きく吹き飛んだ。
「くっ……!」
HPゲージが大きく削られた。
変身前だとこんなに食らうんだね。
初めての発見だ。
「とどめだ!」
忍者は小太刀を持って、一瞬? で間合いを詰めてきた。
私は思い切り、拳を振り上げた。
「やけになったか!」
「いや!」
耳鳴りもさっきよりマシになってきた。
私は相手に拳が当たる直前で、スキル【魔法少女】を発動させた。
当然、忍者の体にはさっきまでの私じゃなくて、魔法少女の拳がヒットすることになる。
「ぐぬぅっ!?」
勢いがついたドラゴンパンチが忍者の体にヒットし、小太刀と一緒にそのまま壁まで吹き飛んだ。
その衝撃で、忍者はダンジョンの壁にめり込んだ。
けど、まだHPは削り切れていない。
いつもならここで、そのまま魔法【マジカル☆ファイア】を使って倒すんだけど、今回は一味違う。
ソラちゃんが面白い試合を見たいと言っているから、期待に応えないとね!
私は壁にめり込んでいる忍者を更に殴りつけ、壁からの脱出を阻止した。
「くっ!」
更にその忍者を手に持ち、地面に接触させ、引きずりながら低空飛行をする。
「あがあっ!」
地面との摩擦で、少しずつ忍者のHPが削られていく。
ある程度削れたら、忍者を掴んだ手から、マジカル☆ファイアの黒炎を放出。
忍者を壁まで投げると、マジカル☆ファイアの黒炎の効果で壁に叩きつけられると同時に爆発が起き、忍者のHPは0となった。
「くっ……! やるでござるな!」
今回の戦いは痛覚も無ければ、負けたペナルティもない。
忍者は壁から脱出して、私の方へやって来ると、褒めてくれた。
嬉しい!
「ありがとうございます!」
私は変身を解除し、軽く頭を下げた。
「バイトさん、ありがとうございます」
スタッフさんが忍者にお礼を言うと、忍者はどこかへと消え去った。
かっこいい!
「では試験には合格ということで、お城を作る為に必要な素材が採れるダンジョンを、ご紹介させていただきますね」
と、ここで紙を渡された。
紙には今回の試験を突破した証明みたいなことと、素材が採れるダンジョンの場所が書かれていた。
「場所はえーと……ひばりヶ丘駅だね」
ここからだと、大体40分くらいだ。
時間的には余裕があるね。
皆に訊いたら、早速行こうということになった。
「ソラちゃん、さっきの試合どうだった? 面白かった?」
「凄かったです!」
「凄かったって、面白かったってことでいい!?」
「そうですね!」
「やった!」
見本にはなれたみたいだ。
「でも、私には真似できません……私も【魔法少女】スキルだったら良かったんですけどねぇ。錬金術で作ってアイテムで似たようなことができないか、今度考えてみますか……」
ソラちゃんは駅のホームでメモ用紙を取り出すと、なにかをメモしていた。
参考になるといいんだけど……。




