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7.マジカル☆ファイア

 私は変身を解除し、ソラちゃんに訊く。


「どうして大きさが違うか、ソラちゃん分かる?」

「そうですねぇ……う~ん」


 腕を組み、目をつむりながら、考えるソラちゃん。

 数秒後、なにかを思いついたようで、目を開き、明るい表情で人差し指を立てる。


「多分、出力です!」

「出力?」

「はい! これは仮説なのですけど」


 昨日は変身する時、誰かを助けたいという思いから無意識に、フル出力で変身してしまったのでは?


 というのがソラちゃんの仮説みたいだ。


「魔法少女って大きくなったり、小さくなったりできるんだね!」

「ルカさんが特別なだけですよ!」


 なるほど、得したね!


 ということで、次の検証、フル出力で変身してみた!


「マジカルチェンジ!」


 ドシーン! っと、音を立てて着地する。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」


 なんだかよく分からないけど、叫びたくなった。

 これも魔法少女としての本能なのかな?


 それで、結局ソラちゃんの仮説は正しかったのかと言うと、どうやら正しかったみたいで、昨日と同じ大きさに変身できた。


「グオ?」


 って、ソラちゃんの姿が見えない!

 え!? まさか下地に!? ええ!?


「こ、ここです~!」


 ソラちゃんの声だ!


 声のした方を見ると、ソラちゃんが壁を背に、上下逆さまになっている状態で、こちらを見ていた。

 私はすぐに駆け寄った。


「グオ!?」

「だ、大丈夫ですよ! フル出力時は近くにいると、こうなってしまうようですね……」


 気を付けないと!

 ダメージのようなものはないみたいだけど、迷惑をかけちゃう。


「グオオオオオ!」

「かっこいいですね。背中に乗りたいくらいですよ」


 だったら!

 私は背を低くする。


「いいんですか!?」


 私は頷き、ソラちゃんを背中に乗せると、その状態でその辺を歩いた。

 本当は飛べればいいんだけど、ここまで大きいとこのダンジョンでは飛び回れないからね。


「グオオオオ」


 それにしても、喋れないのが不便過ぎる。

 テレパシーみたいな魔法は、無いのかな?


 そして、少し経過すると……。


「あ? あれ?」


 体が人間に戻った!?


「いてて……」

「ソラちゃん大丈夫!?」


 私の変身が急に解けたから、ソラちゃんが高い所から落ちてしまった。


「あ、ご心配なく! 私みたいな非戦闘タイプでも、ダンジョン内での肉体は、ダンジョン外の肉体と比べて身体能力が上がっていますので! 精々タンスの角に小指をぶつけたくらいですよ」


「それ結構痛くない!?」

「いえいえ! それよりもモンスターの背中に乗れたことが感動的でした! ありがとうございます!」


 魔法少女だけどね。

 それにしても、色々と申し訳ないよ……。


「そういうことですか……」

「え?」

「どうして変身が解除されたか? です。実はこのようなことも考えて、時間を計測していたんですが、おそらくフル出力だと5分が限界みたいですね」


 流石ソラちゃん!


「5分……あっ! でもすぐに変身し直せばいいんだ!」


 と思って、距離を離れて変身したけど、2mくらいにしかならない。

 私は変身解除して、ソラちゃんに訊いてみる。


「どうしてだろう?」

「おそらく、エネルギーを大きく消耗したのですかね?」

「なるほど!」


 だったら、基本的には使わない方が良さそうだね。

 体の大きさに差があると攻撃も当てにくいし。


 これは大きな相手にだけ使う、切り札にしよう。


 それでは、次の検証だ。


「あの岩盤に向って、昨日の魔法をお願いします!」

「昨日の魔法って?」

「ゴーレムを爆発させたあの黒い火球です! あの技を見たいです!」


 あー、あれね!

 マジカル☆ファイアね!


 私は頷き、変身する。


 そして!


 マジカル☆ファイアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!


 口から黒い火球を岩盤に向けて発射した。


「おおー! 相変わらず凄い威力ですねー!」


 アニメとかだと、魔法少女という名称に似合わず、破壊力抜群の攻撃を放つ子、いるよね。

 私もそのタイプかも。


 いや、私の場合、外見的には合ってるのかな?

 私は変身を解除し、ソラちゃんに言う。


「どうだった!?」


「かっこよかったです! でもそれ、なんていう魔法ですか?」

「マジカル☆ファイアだよ!」

「え……? マジカル☆ファイアってあの……?」


 あのっていうのが分からないけど……。


「そうだよ! ソラちゃんが教えてくれたんだよ!」


 ソラちゃんに言われたまま、魔法を確認してそれを使っただけだったんだけど……。


「いやいや! 確かに初期魔法の獲得方法は教えましたけど! てっきりいきなり強い魔法を獲得したのかと思ってましたよ! まさか、あの魔法の正体がマジカル☆ファイアだったとは……」


 その後、本当はどんな感じの魔法なのかをソラちゃんに訊くと、動画を見せてくれた。

 オレンジ色でテニスボールくらいの大きさの、火球が飛んでいく動画だった。


 私の魔法と大分違うね。


「この威力、おかしいですよ」


 確かにそうかもしれない。

 動画を見た感じだと、もっと弱くてもいいハズなのに改めて考えてみるとおかしい威力だ。


「えへへ!」


 嬉しかった。


「ルカさんが魔法少女として成長したら、どんな魔法を覚えるのか、先程よりも興味がわいてきましたよ」


 おお!


「でもこれだと、安易に動画や配信はできませんね」

「どうして!?」

「バズり過ぎちゃうからですよ。これはなにか方法を考えないといけませんね」


 バズ……?

 ソラちゃんがまた新たな謎用語を口にしたのであった。

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