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14.予定と違うモンスター

・『ゴリ押しで草』

・『あの黒い火球攻撃、前より威力低くない?』


 私は変身を解除する。

 さっきから、ソラちゃんに視聴者への返事を任せっぱなしだったからね。


 私の方から答えよう!

 私達は一旦歩みを止める。


「威力が低いのは手加減したからだよ! ここのダンジョン、前より狭い洞窟だし、危ないと思ってね! それに、メタルゴーレムはボスじゃないみたいだし」


・『そうだったんか』

・『それでも十分強いけどな』

・『そもそも、本当に破壊龍ちゃんは魔法少女なの?』


 魔法少女だよ!

 たまには弁明するとしようかな!


「画面の前の皆! ちょっといいかな!」


・『なんだ?』

・『いいぞ』


 よし!


「皆ってアニメとか見る? 漫画でもラノベでもいいけど!」


・『見るよ!』

・『ラノベは俺の生きがい』

・『急にどうした? って思ったけど、破壊龍ちゃんアニメ好きって言ってたな』


「タイトルに“魔法少女”ってつく作品を1つでもいいから思い浮かべてみて!」


・『OK!』

・『3話で首が取れる魔法少女アニメを思い浮かべたわ』


「さて、その思い浮かべた作品は正統派のキラキラした魔法少女かな?

 主人公の見た目が正統派でも、作品自体がダークな雰囲気だったりどこか“魔法少女”って名前のイメージと違う点があるハズだよ!」


・『確かにそうだな』

・『最初は明るい感じだったのに、殺し合い始まったりな』

・『タイトルに魔法少女がある作品はダークなものが多いイメージ』


 ふふん!

 そうでしょそうでしょ?


「だからスキルが【魔法少女】だからって、むしろ可愛いくなるとは、限らないのだ!

 そして、キラキラな戦いをするとも限らないってね!

 そう! このスキル名ををアニメとかのタイトルに置き換えて考えると、魔法少女って名前の時点で、どこか変わった点があるのはむしろ普通のこと! だと思うよ!」


・『お、おう』

・『そうなのか?』


 あ、あれ?


・『そもそも、他の【魔法少女】持ちは普通に女の子の姿になってるからな』


「ドラゴンはいないの?」


・『竜人ならいる。コスプレっぽい感じ』


 やっぱり私、珍しいんだ!

 なんだか嬉しいね!



 そしてそのまま5層まで進んだ。

 ここに来るまでのモンスターに関して、苦戦は一切しなかった。


 ここのダンジョンは初心者向けのダンジョンだから、楽々ボスの所にまで辿り着くことができた。


「ここがボスの部屋か! やる気が出るぜ!」


 ボス部屋はドーム型の広めの部屋になっている。

 洞窟のダンジョンなので、周りは岩ばかりだ。


「では、しっかり撮りますので、勝ってくださいね!」

「うん! では皆さん! 今からボスと戦います!」


 私が変身して数秒後、ダンジョンから放出されたエネルギーがボスモンスターの形となり、私達の前に立った。

 ダンジョンに生息するモンスターは、動物のような感じじゃなくて、こんな感じにダンジョンのエネルギーが形になったものだって、ソラちゃんが言ってた。


 だからモンスターから血が出たりもしない。

 そもそもそうだとしたら配信なんてできないし、私もダンジョンには来たくないかな。


「ノノノノノ!」


 ボスは2mくらいの鎧武者の装備を骸骨が身に着けているような見た目だ。

 独特な鳴き声がボス部屋に響き渡った。


 あれ? でも。

 確かここのボスって“ボススライム”じゃなかったっけ?


 ボススライム。

 要するにデカイスライムが出る予定だったんだけど、なんか違うよね。


「お、おかしいですね」


 ソラちゃんも疑問に思ったようだった。


・『いきなりかよw』

・『そこのダンジョンのボス部屋、超低確率で“髑髏武者”が出現するんだよな』

・『確率低すぎてあんまり広まって無いけどな』

・『でも、それでこそお前らだよな?』

・『↑初配信なのに、全てを分かったような口ぶりで草』

・『切り抜いて動画をアップしてやんよ』


 切り抜いて……?

 私達の代わりにこのモンスターを切り抜いて、その様子を動画としてアップロードするってこと?


 心配してくれたんだね。

 ありがとう! でも、心配はご無用だよ!


「へっ! 私達には相応しい相手だな!」


 ココロちゃんの言う通り!


「うおりゃあああああああああああああああ!!」

「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?」


 なんと、ココロちゃんがいきなりボスの頬をぶん殴った!?

 ボスはよろける。


「一筋縄ではいかないか!」


 ココロちゃんが敵に拳を次々と叩き込んでいく。

 私も加勢だ!


「グオオオオオオオオオオオ」


 違う方向からボスをぶん殴る。


「ノッ!!」


 ボスは吹き飛ぶが、デカイ刀を取り出して、私達を斬ろうとする。


「なにっ!?」


 と思ったら違った!

 狙いはカメラマンのソラちゃんだ。


「避けろっ!」

「ひぃぃぃぃぃぃ!!」


 ちょっと! こんなの有!?

 マジカル☆ファイアで攻撃……ってそうしたら、ソラちゃんも巻き添えになる!


 って……誰か来た!?


「ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!?」


 えっ!?

 あ、あなたは……!!


「チッ!」


 だ、誰!?


 仮装グッズ店とかで売ってそうな馬の頭を被った人が、舌打ち……というか、舌打ちっぽいことを口に出して立っていた。

 その人が2刀流の剣でボスを吹き飛ばしたようなんだけど、すぐにどこかへと去っていってしまった。


「おい! 礼を言おうとしてたのに……まぁいい! ミラクル! 下がってな!」


 ミラクルと言うのは、ソラちゃんのハンドルネームだ。


 ソラちゃんは先程よりも遠くから撮影をするみたい。

 その方が安全だしね。


「よしっ! 一発で決めるぞ! 破壊龍!」


 うん! 一気に倒そう!


 ココロちゃんは私の背中に乗って、剣を構えた。


 いっけええええええええ!! マジカル☆ファイア!!


 いつものように黒い火球がボスにヒット。

 壁まで吹き飛んでいき、大爆発を起こした。


 ボスの体は散ってしまったようで、残っていなかった。

 ってことは、私達の勝ちだね!


・『相変わらず凄いなw』

・『投げ銭したい』

・『青メッシュちゃんが上に乗った意味は?』

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