彼女? いいえ、奴隷です
短編です。
僕の家は資産家で父が貿易商をしている。我が家は豪邸なものだから1人の執事に5人のメイドを雇っている。ウチのメイドは全員美人さんで、そして皆は才色兼備だ。
そんな僕、本木克巳には好きな子がいる。我が家のメイドの一人である宮崎かれんちゃんである。メイド服がよく似合う彼女は背中まで伸びる綺麗な黒髪に清んだ目がぱっちりして明るくお淑やかだ。掃除、洗濯は完璧で、些細な所にも気がつくので、僕は大変助かっている。本当にメイドとしては完璧なのだ。そうメイドとしては……。
しかし少々気になることがあるのだ。いや、少々どころではない。それは……、
「克巳様、お肩揉みましょうか?」
「……」
「克巳様、積分をしっかり理解してますか?」
「……」
「尿瓶持ってきたので、おトイレしま……」
「かれんちゃんそこまでしなくて良いからっ!」
「いえいえ、私は克巳様の上から下までご奉仕したいのですっ!」
「いやいやっ! 下までしなくて良いよっ!」
「それはいけません! 私は克巳様の奴隷ですからっ!」
「いやいや、メイドさんでしょ!?」
彼女は僕にずっとつきっきりだ。
「本当は365日24時間克巳様にお仕事するのが私の理想の務めなんですから」
「そこまでしなくて良いよ?」
「私の身も心ももう克巳様のものですからつ!」
「まだそこまで責任もてないなっ」
「それより脚をいごいごなさるなら、尿瓶で早くおしっこを!」
「トイレでしたい!」
「駄目です! 部屋からトイレに向かう時間が勿体ないです。それにこれは私の宝物……」
「トイレ行くっ!」
「駄目です!」
「トイレ!」
「駄目です!」
彼女は懸命に僕の服を引っ張る。早くトイレしたいーーーっ!!!
そして風呂の時間も浸かっていると。
「失礼しまーす」
「かれんちゃん!?」
彼女が相変わらず風呂にタオルで体を隠さずにどうどうと入ってくる。
「周りにバレたら……」
「大丈夫です。気配を消して来ましたから」
忍者かな?
「私も浸からせて頂きます」
「う、うん……」
うちの風呂は10人なら余裕で入れる広さがあるにもかかわらず、彼女は隣に来る。
流石に近い……。
「あら、私のこと好きならこれくらいしても大丈夫でしょ?」
それを出されると困る……。彼女には僕の気持ちがバレている。僕は体が火照り風呂から出る。
「あら、どちらへ?」
「体洗う」
「洗ってさしあげますわ」
「え? もう少し浸かったら?」
「お仕事したいので」
そして彼女は僕の後ろをごしごしと擦ってくれる。
「お背中流しますねーっ」
「……うん」
「では次は前を……」
そしてむにゅっと背中に柔らかいものが当たる。
「あ、あの……」
「何ですか?」
「む、胸が背中に当たっ……」
「当ててるんですっ」
「……」
「はい、では下を……」
「あ、そこは自分でするからっ!!」
「こここそ私がしなければならない場所ですっ!!」
「いや、しなくて良いよっ!」
「そんなに声出すとバレますよっ」
「……」
そして仕方なく彼女に身を委ねる。委ねるのは良いが……毎度のことながら、
コシコシ。
「……」
コシコシ。
「……」
シコシコ……。
「はい待って!」
「何ですか? 今良いとこなのに?」
「擦り方おかしい……」
「おかしくないですよ。これが普通です」
いやいや、股間を洗うのに手を筒の様にして縦に擦ったら駄目だろっ!?
「駄目だよ」
「いいから任せてください」
「しかし……」
「私を信用出来ないですか?」
毎度それを言うから困る……。
「……や、優しくしてよ」
「はい」
そして彼女は僕の股間に彼女の手を絡めていき、縦に優しく擦り、どんどん固くなって気持ちよくなる。そして、泡と共に、
「あっ!」
ビュッ!
今日もやられた……。風呂から出て部屋に戻った僕の火照った体をかれんちゃんが団扇で冷ましながら、ベッドで横になり思う。
「気持ちよかったですか?」
「あい……」
「それはよかったです」
彼女もパジャマに着替えている。
「そろそろカレンちゃんも自分の部屋に……」
と言いながら僕はそのまま寝た。そして翌朝、僕は目を覚ました。
「朝か……」
そして下半身が重く感じる。頭を起こし見ると布団が盛り上がっている。またか……。僕はバッと布団を取る。
「おはようございます♪」
「……おはよう」
「ご飯がそろそろ出来そうなので、お呼びに参りました」
「……呼んでないでしょ?」
「可愛い寝顔を見ていたら起こしにくくって♪」
潜ってたくせに……。
そして家族とご飯を食べ、制服に着替えて学園に車で登校する。
「今日の克巳様の教科書は全て揃えました」
「ありがとう」
「これは私が作りました弁当です」
「はい、ありがとう」
「今日は良いお天気出すわね~」
「そうだな」
なぜ彼女も学園に付いてくるのか。それは、
『高等部二学年一位 宮崎かれん』
学園内の壁に貼られる今回のテストの順位表である。そうなのだ。僕と彼女は同じ学園の同級生で、トップの成績なのだ。一方僕は、
『高等部二学年220位 本木克巳』
一学年410人の内でこの順位である。
「まぁ、次がまたありますよ」
彼女はそう慰める。そして彼女は僕の後に付いてきて同じクラスに入る。特進クラスでなく、普通クラスなのだ。しかも僕となぜか同じクラスである。普通クラスを選んだ理由は彼女曰く、『克巳様のお側にいたいので』だそうだ。しかし、普通クラスは9つある。それなのに彼女と二年連続で同じクラスなのはこの学園の不思議のうちの一つかもしれない。
「かれん様だ」
「今日もお美しいわ~っ」
彼女は学園内で男女問わずかなり人気でありアイドルさながらだ。噂ではファンクラブまであるらしい。
そして放課後、部活を終えて校門に行くと、近くで彼女が待っていた。
「帰りの車は?」
「少し遅れるそうです」
「そうか」
そして彼女は僕の肩に頭を乗せる。
「二人っきりですわね」
「……そうだな」
「そうだ。少し歩きませんか?」
「あぁ、構わないよ」
そして少し二人でゆっくりと歩く。
「風が気持ち良い~」
「そうだな」
「やっぱり家では気を遣ってしまいますから外は羽を伸ばせます」
そんな風には見えないが……。僕がそう思っていると彼女はむっとした顔になり、
「あれでも周りの目は気にしてますよっ」
「分かった、分かった」
そしてしばらく二人で歩いていると、僕の後ろを歩く彼女の気持ちが改めて気になって、僕は訊く。
「彼女にはなってくれないのか?」
僕は振り返りざまそう言うと、彼女は少し顔が止めてから微笑んでこう言う。
「まだ貴方の奴隷です♪」
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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