仮装訓練
訓練会だよ
「ふぁぁ。アルおはよう。」
魔導船アルカナで目を覚ました春菜はアルに抱き付いたまま欠伸をして、アルにおはようの挨拶をする。
「おはよございますマスター。」
アルが返事を返し2人は朝の支度をし始めた。支度の終わった春菜とアルは旅の扉を使ってアスカムの宿に戻り、ギルドにクエストを探すため宿を出る。
「マスターが起きるのが遅いせいでお昼になってしまいましたね。」
「えへへ。褒めても何も出ないよ。」
「マスターがマイペースなのを改めてりかいしました。」
「それよりね、ギルドのクエストボードを確認してから午後どうするか決めようと思うんだけどいい?」
「それでよろしいかと。」
ギルドに着いた2人はクエストボードの確認をし始めた。午後のためかクエストボードには常時依頼と中級クラスのクエストしか残っていなかった。最低ランクのFランクであるため常時依頼の薬草採取かゴブリン討伐しか受けられないためクエストを受けないことにした。
「どうしようかアル。何か名案とかない?」
「名案かどうかは分かりませんがマスターにもっとこの世界を知って欲しいです。以前教えたのはほんの少しでしか有りません。もっと常識的なことを知って欲しいのです。なので午後は訓練をしませんか?」
「訓練?」
アルが春菜に訓練をすることを提案した。
「その様子だと分かっていませんね。」
「分からないよ普通に。常識を知るための勉強の話からどうして訓練なんて言葉が出るの。普通は勉強会とかでしょ?」
「甘いですよマスター。アルカナには仮想空間を使った訓練施設があります。そこで常識を学んでもらうんです。」
「それで訓練なわけ?」
「そうですマスター。マスターには実際に訓練をしながら常識を学んでもらいます。仮想空間を使いこの世界の最も危険な常識を訓練形式で楽しく学んで貰いますよ。」
「それ楽しいの?」
「楽しいですよ多分。それにマスターは私たちアルカナシリーズを使いこなして欲しいんです。」
「楽しいならいいよ。訓練は私もやろうと思ってたしねそのうちだけど。」
「なら午後の予定はきまりましたね。」
「なら一度宿に戻ろうか。」
春菜とアルは宿に戻り、魔導船アルカナへ旅の扉で転移した。
魔導船アルカナに戻った春菜とアルは訓練場に移動した。
訓練場の中は立方体の真っ白い部屋だった。
「マスターここが訓練場の仮想訓練場です。」
「ここが訓練場なの?何もないけど。」
「見ててくださいマスター。」
部屋の床が少し光りニョキニョキと生える様に色々なものが生えていく。そして少し待つと春菜とアルの周りには大森林が広がっていた。
「凄いなアル。」
「これがこの訓練場の機能です。実態を持った幻を作り出します。部屋自体も空間魔法で拡張出来るので最初に見た広さより断然広くなってますよ。モンスターや過去にいた人物などをデータとして保存、保存したデータを使い訓練の幅を増やすのを主目的で作られました。それ以外にもモンスター同士で戦ったらどっちが強いとか魔法の有用性などを調べるのにも使われましたけど。基本は訓練施設として作られてますので色々な訓練が出来るようになってます。」
「そっか。確かにリアルなデータが有れば色々な実験にも使えるよね。元は訓練施設として作られたけどこの施設が持つ他の可能性は私でも思いつくもん。だから訓練以外にも使われたってことだよね?」
「まさにその通りです。今現在は訓練場とは名ばかりの大規模実験施設としての役割も持ってます。」
「話がそれちゃったけど訓練始めよっか。その前にどんな訓練方法があるの?」
「基本的には大まかに3種類です。1つ目は大規模戦闘訓練です。この訓練は多数を相手にするのと多数対多数の訓練です。2つ目は障害訓練です。これはアスレチックに挑戦するタイプの訓練です。最後に3つ目は普通の個人訓練です。個人訓練とは言いましたが大体5人対5人ぐらいまでを想定した小規模戦闘訓練ですね。」
「ならまずは大規模訓練にするよ。」
「でば準備をしますね。マスターはそのままお待ちください。」
春菜はアルに返事を返すとアルは春菜の前から姿を消した。
『マスター訓練を開始するので準備をお願いします。』
アルの声が部屋に響いた。
「準備はOKだからいつでもいいよ。」
『では訓練を開始します。難易度は初級から開始してだんだん難しくなるので頑張ってください。』
「分かったよ。」
春菜の目の前に透明の板の様な物が現れカウントダウンを始めた。カウントが0になりブザーと共に訓練が開始される。
アルが初級からって言ってたからそんなに難易度高くないのかな?割と最初はゴブリンとかだったりして?でもこの見通しが悪い森の中は不利になりそうで厄介だね。まずば武装だけでもしとかないと。たしか魔導銃に刀を触れさせてっと。
春菜は腰に手を伸ばした。普段から装備してるアルカナシリーズの流離う装備の腰ベルトには色々とぶら下がっている。その中の魔導銃と両断の刀を手に持った。魔導銃に両断の刀を軽く触れされる。淡い光を放ちながら魔導銃が両断の刀を取り込んだ。魔導銃の形は変形しスナイパーライフルに大きめの銃剣が付いた形へと姿を変えた。
これでよしっと。元々ちっちゃいスナイパーライフルぐらいまで縮めてたのを元に戻して銃剣モードにするとカッコよさが増すね。ほんと製作者はロマンが分かるやつだよ。
「おっと、油断してたらお出ましかな。」
正面から一本の矢が春菜を襲う。春菜は少しだけ体を動かし矢をかわす。矢が飛んできた方を見て銃を構える春菜。コッキングレバーを引き弾を込める。引き金を引いて一発の弾丸が放たれた。
「まずば一匹だね。」
ゴブリンの頭は春菜の放った弾により頭が弾けたんだ。
「アルー難易度もっと高くして。取り敢えず私が苦労しそうなぐらいまで!」
『分かりました。』
これで楽しめそうかな?ヤッパリ難易度高めじゃないと楽しくないからね。
「きたきた。」
周りの雰囲気が明らかに変わったことを春菜は感じ取った。
「これで楽しくなりそうだ。」
春菜は悪い笑みを浮かべる。そして春菜を取り囲む様にモンスターが飛び出した。あるものは木をなぎ倒して現れ、あるものは雄叫びをあげながら現れる。春菜が望む酷な訓練が始まった。
圧感だねー。地上にはオーガやミノタウロス、そして空にはワイバーンやドラゴンに鳥までいる。他にもいるみたいだけどまさに大乱闘が出来そうだよ。私以外にこんな状況楽しめる人いないよね多分。まぁ訓練だから楽しめるんだと思うけど。現実なら確実にアルに頼るレベルだよ。ただ集中して戦わないとマジでしんどそうなレベルの数だね。まずは数を減らすかな。
春菜はまず敵の数を減らすことから始めた。モンスターの連携攻撃を何とかわしながら魔導銃と銃剣で確実に倒していく。
魔法使い系のモンスターが厄介だなー。まぁ魔法の練習にもなるし良いけど。アルいわく「魔法スキルが無くても魔法は使える」は検証済みだしね。MPの消費激しいけど。そこはユニークスキルのゴリ押しで魔法は使えるから後は練習のみだったのもこの訓練で解決できそうだね。多分魔導銃と銃剣で解決できるけど魔法への憧れで使っていきた。大体慣れたしソロソロ攻めに転じるかな。回避ばっかりのカウンター狙いも飽きたしね。銃剣術と魔法を組み合わせた戦闘スタイルの確立に役立てないと。アルカナシリーズを使いこなす目標にもなるしね。
戦闘に慣れ始めた春菜は魔導銃と銃剣を使った近接戦闘術である銃剣術の練習のため、モンスターに近寄りながら戦った。時折り攻撃魔法を織り交ぜながら銃剣術で闘う。モンスターの攻撃を的確に捌きながら確実に倒していく。だがどれだけ倒してもモンスターは減る気配はなかった。そしてそんな春菜を見ていたアルは驚いていた。春菜のステータスは勇者や魔王並みのステータスだとは言え戦闘経験のない春菜が早々にモンスターに倒され戦闘不能になると予想していたからだ。アルの予想とは裏腹に初戦闘とは思えない見事な戦闘を繰り広げる春菜を見てアルは驚いたのだ。そして最も驚異的なのは未だ春菜は無傷であること。文字どうり一回として攻撃を受けていないのだ。ヒットと呼べる攻撃を春菜は未だ受けずに戦っている。訓練とは言えまともな初戦闘はこれが初めての春菜を見てアルは底知れぬマスターである春菜のポテンシャルに驚き続ける。
そろそろ私もキツくなってきた。流石に多勢に無勢だね。
『マスター最高難易度に到達しました。』
「分かったよ。」
アルによるアナウンスが入る。
敵の数は極端に減り無尽蔵に増えていた敵を春菜は狩りつくきた。敵が居なくなって少し間を置いたと数十メートル先に5つの頭をもつ巨大なドラゴンが出現する。地鳴りを起こすほどの雄叫びをあげ多頭種のドラゴンが春菜に襲い掛かった。
まずば物見の眼鏡で鑑定でをしてみようかな。フムフム、クラウンヒドラね。全く知らん。えーとなになに?鑑定の説明を読む感じスゲー強い毒持ってるいろんな属性持ちのドラゴンだね。強そうだわ。ヒドラとかファンタジーではよく生命力が強いドラゴンとして登場するアレだよね。無駄に再生能力が強い奴。めんどくさそう。流石に身体強化魔法と魔導銃の威力を上げれば何とかなるかな。あとは毒だね。流離う装備で無効化できるみたいだから防具でカバーしてっと。あとは削るのみ。有効打になりそうな攻撃はなあからヒドラの攻撃を捌きつつ、魔導銃でダメージを与えて魔力切れ起こさせる。そうしたらヒドラは再生能力が使えなくなるはず。鑑定の結果をみてるとこの作戦でいけそえかな?まぁあとはやるのみだ。
春菜が臨戦態勢を取り、ヒドラとの戦闘が始まった。
春菜はヒドラのブレス攻撃や噛みつき攻撃を回避しながら確実にダメージを蓄積させた。約30分の戦闘を終え決着がつく。
『お疲れ様です。マスター。』
「ふぅー。疲れたよマジで。流石にここまでキツイとさ予想外だった。もう後はご飯とお風呂入って歯を磨いて寝るよ。」
『分かりました。まずはお風呂にしますね。』
「よろしくー。もう動きたくないし凄く汗かいたからお風呂がいいねまずは。」
春菜はアルに言われるがままなら体を委ね残りの時間過ごした。
そして毎度のことの様にアルを抱き枕にして眠りについた。
魔道具紹介
アルカナシリーズNo. 03魔導銃
コッキング式のスナイパーライフル
大きさを自由に変更できる
ありとあらゆる弾を打ち出すことができる仕様になっている
コッキング式 セミオート フルオートの3種類の射撃パターンが存在する
通常弾
MPを弾丸にして弾を打ち出す
その際に装備者のMPを消費する
通常弾の最大威力は山に大きな風穴をあけるほど
特殊弾
魔法を弾丸として打ち出す
その際に装備者のMPを消費する
弾が着弾した場所に魔法を発生させる
アルカナシリーズNo. 08流離う装備
服一式とフード付きマントのセット装備
服は色々な形に変形する
高い防御力と多種多様の高い異常耐性を装備者に与える
アルカナシリーズNo. 09物見の眼鏡
見た目は普通のメガネで複数の能力を持つ
能力
鑑定 物や生物のステータスを解析する
遠視 遠くを見れる
透視 物体を貫通して見ることが出来る
暗視 暗いところでも明るく見える
魔力視 魔力や魔力出てきている物を見ることが出来る
マップ 自分を中心とした地図を見ることができる また記憶する
図書館 文字を記録する 記録した文字は見ることが出来る 鑑定能力で本や文章を鑑定すると文字が書かれたページを見ずに記録出来る
アルカナシリーズNo. 12両断の刀
見た目は普通の小太刀て秋色を少し赤色寄りにした色合いに金の小職がされている
作成されてから切れなかった物は存在しない
作成者が何でも切れるをコンセプトに作成した魔道具
魔導銃と組み合わせたてると銃剣に変形する