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seventeen。  作者: 花奈よりこ
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きっと、明日も、あさってもーーーーーー




「ーーーそういえばさ。あの時もこうやって明け方まで2人で語ってたよねー。ほら、あたしがかおりに正吾が好きだって打ち明けた時」


「あったねー。あの日、早紀が桐山くんに告白されて。私は早紀の好きな人のことで、桐山くんに呼び出されて……。私、オロオロしちゃって。なんか、思い出したら恥ずかしくなってきた」


「そうそう!私は最初に『好きな人はいない』ってかおり達に言っちゃったし、まさか桐山がかおりを呼び出して私の好きな人は誰かなんて聞くとも思わなかったから。なんかややこしいことになっちゃってね!かおりも泣いちゃうし、私も顔真っ赤でかおりに打ち明けるしで。なんかもう、懐かしー」


私と早紀の笑い声が部屋中に広がる。




あの頃は。


まだ自分の中の世界が、ささやかで、小さくて。


いろんなことが、ひとつひとつとても大きなことのように感じていたような気がする。


今思うと、笑ってしまうような可愛らしい、恥ずかしい出来事も。


その頃の私にとっては重大で。


私なりに一生懸命自分の気持ち、相手の気持ちと向き合っていたんだな……って。


なんだかくすぐったくて、ほほ笑ましくも感じる。



「早紀、モテモテだったよね。告白で呼び出されるたびに、なんでか私の方がドキドキしちゃって」


「いや、かおりこそモテてたんだよ?カワイイって男子の間で評判だったんだじゃら。あの頃も言ったけど」


「そ、そんなことないよっ」


「あるんだってば。それにーーー。私、あの頃密かに思ってたんだけど。正吾、かおりのこと好きだったよね」


「え、え⁉︎」」


にししと笑いながら私を見る早紀。



しょ、正吾くんが、私のことを好きだった⁉︎



「そ、そんなことあるわけないよ!なに言ってるの、早紀」


そんなことあるわけない!


真っ赤になりながらブンブン手を振ると。


早紀が優しくほほ笑みながらゴロンと仰向けになった。


「なんとなくだけど。ああ、正吾はかおりのこと好きなんだなーーー。って、時々……ふとした瞬間?思ってた」


「……な、な、ないって!そんなのっ」


「あーるーのっ。私にはわかる。今振り返ってみても、やっぱりそうお思う。正吾、かおりと話してる時、いっつも笑顔だった。楽しそうだったし」


しょ、正吾くんは、誰といても楽しそうに笑ってたよっ?」


「まぁね。アイツいっつも楽しそうだったのは確か。ていうか、実際ホントに楽しかったんだと思う。でも……ちがうんだよねぇー。かおりに向ける笑顔だけは。私や知里や戸田や寺下にあ見せない、なんていうか……愛おしそうな目?してた。かおり気づかなかったー?」


早紀がニヤニヤしながら横むきになって私の顔を覗き込んできた。


「そ……そんなことっ……」


顔も胸も熱い。


ドキンドキンと、身体中が静かに波打っていた。


彼の眩しい笑顔が、私の胸の中でいっぱいになる。


「まぁ、かおりも気付いてなさそうだけど、なにより本人がいちばん気づいてなさそうだったな。じぶんの気持ちに。アイツそういうとこ鈍感だから」


早紀がカラカラと笑う。



〝かおり〟ーーーーーーー



私の名を呼ぶ彼の声が、胸に響く。


言葉にならない想いが溢れてくる。


涙が出た。


「ちょっとちょっとー。なに泣いてんのー」


早紀が笑いながら、私お体にガバッと抱きついてきた。


思わず私も笑う。


こぼれた涙を拭きながら。


「……ありがとう。早紀」



ありがとう、正吾くんーーー……。



「まぁ、今は聖也がかおりにゾッコンだけどねー」


ニヤニヤに早紀。


「も、もうっ。ちがうから!」


早紀がそんなことばっかり言うから、また顔が赤くなっちゃうよ。


「でさ。実際のとこ、かおり的にはどうなの?聖也のこと」


ドキ。


早紀ってば、いきなりサラッとそんな質問を……。


「ちょっといいなって思ってる?それとも。心の中で、まだ正吾が忘れられない……?」



確かに。


17歳の頃、高林くんを好きになった以来。


私は、いまだに恋というものをしていない。


27歳になった今でも、まだ誰ともつき合ったことがない。



だけどーーーーー。


「高林くんのことは、確かに忘れることはないと思う。喫茶店でも早紀と一緒に話したように……。でも、彼は想い出の人。私の大切な想い出の人……。だから、彼のことが忘れられなくて、っていうのはないかな」


「じゃ、聖也のこともけっこういいカンジ?」


「う……うん。なんていうか。一緒にいて楽しいし、いいな……って思ってる」


ひえー。


なんか恥ずかしいよー。


私が、思わず枕にぎゅうっと顔を埋めていると。



「そっかー」


ちょっとニヤニヤした早紀の嬉しそうな顔。


「ま、まだよくわかんないしっ。だから、聖也くんに変なこと言わないでよっ?」


「わかってるって」


ますますニヤニヤする早紀。


でも、ふっと優しい瞳になってこう言ったの。



「生きてるとさ、いろんなことがあるよね。で、いろんな気持ちに出会うよね」


「……うん」


「きっと、明日もあさっても。これから、ずっとずっとーーー・・・」



明日も、あさっても。


私達は、朝を迎える。


新しい1日が始まるーーーーー。




「また、語ろうね。かおり」


穏やかにほほ笑む早紀。


「うんっ」


私は笑顔でうなずいた。




全然ちがう性格の2人なのに。


出会ってすぐ、仲良くなったよね。


同じ人を好きになって泣いた日もあったけど。


かえってそのことが、私達の絆を深めてくれて、もっともっと仲良くなれたんだと思う。


そして、今もその友情は変わらないまま。


一緒に10年前の自分達のことを懐かしみながら語り合ってる。


もう、この世にはいない彼のことも、きっと同じように大切に胸の中にいる。


同じ気持ちだから、わかるんだ。


口ではうまく言えない想いも、なんとなく伝わるんだ。


なんとなく、わかるんだ。


それって、すごくステキなことだよね。


こんな風に、心から語り合える友達がいるなんて。


とっても幸せなことだよね。




その日も。


またあの頃のように。


私達は、朝まで語り合ったんだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー









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