表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
seventeen。  作者: 花奈よりこ
28/35

新しい風




その日の夜のパーティーは、言うまでもなく大いに盛り上がった。



早紀からのおめでた発表を聞いたタクちゃんは、私の予想どおり……ううん、それ以上に大喜びしちゃって。


そして、そのまま2人は、私と聖也くんの前でささやかな婚約発表の運びとなった。


幸せそうな2人を見ていて。


私は、本当に嬉しくて、嬉しくて。


いつになくはしゃいで、お酒もついつい飲み過ぎてフラフラになってしまった。


早紀とタクちゃんの結婚式の日取りが決まったのは、それから2週間後のことだった。






「無理、無理、無理っ。絶対無理っ!」



私は、全身全霊の力を込めて首を横に振った。


そ、そんなの絶対できないよっ。


そ、そんな……披露宴で、大勢の前で、友人代表のスピーチなんて!!


「かおりー。大丈夫だってー。そんな堅苦しい披露宴じゃないんだし。気楽なノリのレストランでのパーティーなんだから。ひと言だけちらっと言ってくれればいいからさっ。ね」


うううっ。


心の友の早紀のためなら、できる限りのことは協力したいと思ってるけど。


スピーチなんて!


それだけはダメッ。


絶対無理っ。



ここは、私の部屋。


今も実家暮らしの私。


今日は早紀が遊びに来てるの。


来月に迫った早紀とタクちゃんの結婚式の打ち合わせや、これから始まる出産準備などなど、なにかといろいろ忙しくなるから、その前に久しぶりにウチに遊びに来たいと言った早紀に、せっかくだからゆっくり泊まっていってと提案した私。


今夜は、朝までトーキングって楽しみにしてたんだけど。



「ね!かおり、やってよぉー」


早紀ってば、人前で話すことをもっとも苦手とするこの私に。


こともあろうが、友人代表のスピーチをやってくれなんて言ってくるんだもん。


そんなのできないよぉーっ。




コンコン。


ドアをノックする音。


「かおりー。晩飯できたってー」


開けたドアからひょこっと顔を出したのは、弟のツヨシだった。


「あっ。ツヨシくん?久しぶりー!覚えてる?私、早紀!」


早紀が、嬉しそうにツヨシに駆け寄った。


「ども。もちろん覚えてます。お久しぶりっす。あ、早紀さん、なんか結婚されるみたいで……。おめでとうございます」


ツヨシってば、いつもはやんちゃ坊主なのに。


早紀の前ではちょっと照れくさそうに、ヘラヘラしちゃって。


「ありがとー。それにしても……。しばらく見ない間にツヨシくん、すっごいカッコよくなったねー」


「えー。そうっすか?いやぁー」


ポリポリ。


照れながら頭なんかかいてる。


「早紀、ツヨシなんてほっといて早く下行こ。私お腹ペコペコ」


私がふざけて早紀の腕を引っ張ると。


「あー。なんだよ、かおりー。せっかくオレが久しぶりに帰って来たっていうのによぉー」


ツヨシは今、ひとり暮らししてるんだ。


たまーに週末帰ってくる程度で、めったに連絡もよこさないの。


まぁ、ちゃんと仕事しながら生活しているみたいだからいいけど。


「どうせ、今日早紀が来るってお母さんから聞いて帰ってきたんでしょー」


ツヨシは、私が早紀を最初にウチ連れてきた時から、美人だ美人だって騒いでたからねー。


「いいじゃんか。オレだって早紀さんにひと言くらいお祝いの言葉を言いたかったわけだよ。早紀さんが久しぶりにウチに遊びに来てくれるっていうのに、帰らないなんていう選択肢はないだろ」


「お。嬉しいこと言ってくれるね、ツヨシくん。ありがとう」


「いえっ。おめでとうございます!早紀さんに幸あれ!


デレデレしちゃって。


ホントお調子者なんだから。


でも。


ツヨシのそういう愛嬌がよくて人懐っこいところ、ちょっと羨ましい。


やっぱり、ツンとされるよりずっとカンジがいいし、嬉しいもんね。


きっと友人代表のスピーチとかもソツなくうまくこなせるんだろうなぁ。


〝友人代表〟ーーーー


まさか、そんな大役を頼まれる日がやってくるなんて。


夢にも思わなかったよ。


とてもじゃないけど、無理だけど。




私は、そんなことを考えながら階段を下りていった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ