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seventeen。  作者: 花奈よりこ
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桜が満開の、4月のある晴れた日




そうだよね。


彼の笑顔は、なんだか不思議と人を元気にさせちゃう力があったよね。


「かおりは?」


今度は、早紀が私に訊いてきた。


「私も……たまにある、かな……。早紀と一緒。なんか元気ない時とか、ちょっと落ち込んでる時とか。高林くんの笑顔がふっ……と浮かんできたり。そんなカンジ」


「なんかさ。アイツ、うちらが元気ない時や落ち込んでる時とか、こっそりうちらの中に現れて元気づけてんのかも」


早紀が笑顔で言った。


「ーーーうん。そうかもしれないね」


私も笑顔でうなずいた。





あの頃から、もう10年。


私達2人が想いを寄せていた高林くんは。



もう、この世にはいないーーーーーー。



私の誕生日がきっかけでみんなで仲良くなったあの日から、数ヶ月後。


彼は、静かに……そして夢のように。


いなくなってしまったんだ。


病気、だったんだーーーー・・・。


誰も気づかなかった。


彼自身も、自分が倒れて病院に搬送されるまで、自分が治らぬ病に侵されていたことに、全く気がつかなかったんだ……。


心臓の病気だった。





桜が満開の、4月のある晴れた日。


彼は、病室で静かに息を引き取った。


英語の授業中。


教室の窓から見える校庭の桜の木が、すごくキレイで。


開けた窓から、ハラハラと舞う桜の花びらが、風に乗って教室の中に入ってきて。


私は、キレイだなぁ……と見とれていたのを、今でもハッキリ覚えている。


彼が亡くなったという知らせを聞いたのは、そのすぐ後だった。



ついこの間まで、一緒に笑っていた彼は。


もう、いない。


あまりの突然のことに。


あまりの信じられない、信じたくない出来事に。


私は、夢を見ているような気分だった。


みんなが泣いている中、私と早紀は、ただ黙って手を握り合っていた。


みんながいなくなってからだよね。


誰もいない教室で。


私と早紀が、涙が枯れるまで泣いたのは。






「ーーー実はね。かおりの誕生日パーティーをする前に。報告したいことがあるんだ」



しばらくの間、懐かしそうに目を細めていた早紀が、私に切り出した。


「えーなになに?あ。もしかして、それで今日、タクちゃんちに行く前にお茶でも飲んでいこうって言ったの?」


「ピーンポーン」


笑顔の早紀。




今夜ね、タクちゃんちで私の誕生日パーティーを開いてくれることになってるんだけど。


いつもどこかに集まるにしても、各自で現地集合ってカンジなの。


それなのに、今日は早紀がお茶してから行こうって言うから。


喫茶店なんてあんまり来ない早紀なのに、珍しいなぁって思ってたんだよね。


そうそう、タクちゃんっていうのは早紀の彼氏。


もう4年くらいになるんじゃないかなー。


当時、早紀がバイトしていたパスタ屋さんで知り合った人で。


早紀はすぐにタクちゃんを紹介してくれて、私もすごく仲良くしてもらってるんだ。


タクちゃんはとってもいい人だよ。


3つ年上なんだけど、優しくて楽しくて、おまけにカッコイイし。


私からしてみると、優しくてステキなお兄さんってカンジ。


そして料理がすごく上手なの。


今日もね、私のためにご馳走作ってくれるんだって。


嬉しいなぁ。


「それで?報告って?」


内心ドキドキ。


でも、早紀の様子を見ていたら、なんか悪い報告ではなさそう。


むしろ、なにかいい報告のような気がするんだけど……。


そんな、ちょっぴり緊張し気味の私に、早紀はにっこり笑って言ったの。



「かおり。私、ママになる」



え。


にっこにこの早紀。


「ここに、新しい命があるーーーーー」


そう言って、優しく静かにお腹をさわった。


え、え。


「えええーーーっ⁉︎」


私のスットンキョーな叫び声に、店内の人達がいっせいにこっちを見た。


慌てて口をおさえたけど。


心臓がバックン、バックン。


私は、今まで感じたことのない、それはそれは嬉しいのとビックリとの気持ちで、興奮の絶頂に達していた。


「ホ、ホントなのっ?早紀っ」


私は小声で身を乗り出した。







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