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seventeen。  作者: 花奈よりこ
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10年目の優しい時間




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ーーーーーーーーーーーーーー






「かーおーりっ」



私を呼ぶ声に、ふっと我に返った。


「ごめんねー。遅れちゃって。待った?」


「ううん。全然だよ」


私は、慌てて店に駆け込んできた様子の早紀に笑顔で言った。


「さっき、この窓越しにかおりが見えたから手振ったのに。かおりってば、どっか遠くを見ているみたいなカンジでボーッとしちゃって。全然気づかないんだもん」


「ああ……ごめん」


私がへへっと笑うと。


「誕生日のめでたい日に、なんか悩み事?」


向かいの席に座りながら、私のおでこをちょんとつつく早紀。


「ううん。ちがうの。今ね……ちょっと思い出してたの。10年前の私達のこと」



「10年前の、私達ーーーー?」



早紀が、ちょっと意外そうに笑った。


「うん……。ちょうど10年前の今日、私17歳になったんだなぁって。さっきまでね、そこの席に高校生の女の子達がいたの。プリクラとか見せ合ってて、なんか楽しそうで可愛かったんだよね。それでね、その中になんかあの頃の早紀の雰囲気に似てる子がいてさ」


「そうなの?えー。見たかった」


「それで。なんかいろいろ思い出しちゃって。早紀、覚えてる?私の誕生日祝いも兼ねてって……みんなが集まってくれたあの日のこと」


私が言うと。


記憶を探るように、ちょっと上を見て黙っていた早紀が、パンッと手を叩いて笑った。


「あった、あった!カラオケね!はいはい、覚えてる覚えてるっ。あの時さ、お互い好きだった人が、実はまさかの同じ人ーーー正吾だったってことが発覚してさーっ」


早紀が楽しそうに、そしてとても懐かしそうにうなずいている。


「あの時、私ひとりで部屋飛び出しちゃって」


「そうそう!そんでもって、かおりってば次の日風邪引いて3日間学校休んだんだよねーっ」


「うん」


2人で大笑い。


「それで、早紀がお見舞いに来てくれて。早紀が買ってきてくれたアップルパイ一緒に食べたんだよねー。いろいろ語りながら……」


「そうそう!食べた食べたっ。語った語ったっ。ああー。懐かしいねぇ……。もう10年も経つんだねー」


早紀がしみじみと言いながら、窓の外に目を移した。


「それからだったよねー。いつの間にか、あの日集合したあのカラオケメンバーと、よーく遊ぶようになったのはさ」


「……うん。そうだったね」


「かおりと、あたしと、知里と、戸田と寺下と、正吾と・・・ーーーーー」


みんなの笑顔が、目の前に浮かんでくる。



あの日以来、高林くん達はなにかと私達を気にかけてくれて。


おもしろい小ネタを用意して話しかけてきてくれたり、楽しい企画を考えてくれて、休みの日にみんなで遊んだり。


遊園地にボウリングにキャンプにクリスマス。


肝試し大会なんかもしたっけ。


いつの間にか、学校でも昼休みになると自然に6人で集まって。


ワイワイ騒ぎながらお弁当食べたり、他愛もないことで笑い転げたり。


気がつくと、すごく仲のいい6人ーーー大好きな仲間になっていて。


私の毎日が変わり始めて。


私の毎日がキラキラし出して。


人見知りで、おとなしくて、いつも自分に自信のなかった臆病者の私が、気がつくと笑顔が増えて、よく笑うようになって。


みんなといると、楽しいな……って。


そう思える自分になっていた。


こんな風に笑顔で人と向き合えるようになったのは、彼との出会いがあったから。



高林くんと、出会えたからーーーーー。



いつも元気で明るくて、ちょっとひょうきんで。


でも、すごく優しくて………。


いつもみんなの中心で、みんなを明るくしてくれる太陽みたいで。


私は、いつも眩しかった。


そんな彼に、私は恋をしていた。


同じような純粋な想いを抱える早紀と一緒に。


私達は、高林くんに恋していたんだ。



一緒にいれて楽しい。


一緒に笑えて嬉しい。



大好きーーーーーーー。



それだけで、十分だった。


こんなキラキラした毎日がずっと続くような気がして。


私は、幸せだったんだ。




「ーーーねぇ、早紀。今でも時々高林くんのこと、ふと思い出したりすることある……?」


私は、静かに早紀に訊いてみた。


「……そうだねぇ。たまーに、ふっとアイツの笑顔を思い出す時はあるかなー。しかもさ、そう言う時って決まって仕事でミスして落ち込んでたり、なにか大ピンチに陥りそうになってる時なんだよねー。それで、不思議と元気になったり、勇気が湧いたり、またがんばろって思えたり……。無意識のうちに、正吾の笑顔をパワーにしてる時があるのかも……。まぁ、ホントにたまーにだけどね」


早紀が優しく笑いながら言った。






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