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seventeen。  作者: 花奈よりこ
18/35

彼の名前はーーーーーーー・・・



う、うわー。


緊張するっ……。


顔、上げられないよぉ。


「かおり、みんな知らないヤツばっかだと思うから紹介するね」


「う、うん……」


下を向いたまま小さく返事。


「かーおーり」


みんなの顔を見れずにうつむいている私の肩を、知里ちゃんがちょっと笑いながら優しくポンと叩いた。


そ、そうだよね。


こんな下向いてちゃみんなの顔見れないよね。


ちゃんと挨拶しなきゃね。


私は、おそるおそる少しだけ顔を上げた。



「こっちが戸田とだで、そっちが寺下てらした


「ういっす!」


「どもー」


元気そうな男子2人が、明るく声をかけてくれた。


「は、はじめまして……」


まともに顔を見ないまま、私はペコッとお辞儀。


そして。


「ーーーで。こっちが正吾。中学から一緒のヤツ」


早紀の声。


高林くんだーーーー。


私は、緊張しながらも静かに顔を上げたの。




ーーーーー・・・え?




私の目は、ひとりの男子の瞳に止まった。


ウ……ソ。


なんで……?


私の頭は真っ白になってしまった。


なぜなら。


そこに立っていたのは……。


私がもう一度会いたいと思っていた、あの名前も知らない保健室のあの、彼だったから。



〝その人〟だったからーーーーーー。






「ーーーあ、おまえっ⁉︎」


彼が私に気がついたみたいで、声を上げた。


「え?なに、2人とも知り合いなわけ?」


キョトンとしている早紀。



どうして……?


どうして……?


どうして・・・ーーーーーーー?



胸が震える。



「この前の地区大会の時、たまたまオレら教室で鉢合わせて。ドア開けるタイミング悪くてオレが転ばせちゃって足痛めゃって。それで、一緒に保健室まで行ったんだ」


彼の弾む声。


「ーーーえ・・・?」


早紀が、静かに彼を見た。


「そういえば。あの時、お互い名前聞かなかったもんな」


嬉しそうに話す彼。



やだ……。


やだ……。



「おまえ、川村かおりだろ?オレ、高林正吾。よろしくな」


私の目の前に差し出される手。


ほんのり日焼けした大きくてキレイな手。


その手を見つめる早紀と私。




思ってたよ。


また……会いたいって。


もう一度、会いたいって。


願ってたよ。


17歳の誕生日の奇跡を。


それが、叶った。


また、会えた。


私のこと覚えててくれた。


奇跡が起きた。



だけど……。


苦しいよ。


胸が痛いよ。



悲しいよーーーーーー・・・。




どうして・・・ーーーーーーーーーーー。




つーっと、涙がひとしずく流れ落ちた。


「かおり……?え?ちょ、ちょっと。どうしちゃったの⁉︎」


知里ちゃんが、私の顔を覗き込んで声を上げた。


「ちょっと待って待って。え?え?どうしちゃったの?」


ただならぬ空気にオロオロしている。


「お。おい……」


驚いているような戸惑っているような彼の声。


私はうつむいたまま。


見れない。


彼の顔も、早紀の顔も……。



どうして……?


こんなことってあるの……?


早紀・・・ーーー。



「わ……わ、私……。よ、用事を思い出してしまいました……。ご、ごめんなさい……」


震える声で精一杯振り絞った言葉。


「あっ。ちょっ……。かおり!」


「おいっ……」


知里ちゃんと、彼の声。


そして。


「……かおり……ーーー」


小さく私の名前を呼ぶ早紀の声を背中に聴きながら。


私はひとり駆け出した。





彼の名前は。





ーーーーー高林正吾ーーーーー・・・。










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