お狐さんが捕まった
こいつ、超不思議ちゃんだな
1話 お狐さんは捕まった
「のうお主」
「何、摩胡爺」
「お主、ちぃっとばかりアホなんじゃないのか?」
「アホ?」
「うむ。何故人間の住む場所に顔を出したんじゃ?」
「……」
「ん? どうしたんじゃ? 腕を組んでまで考えることかいのう?」
「ろまん」
「………」
山奥のとある祠にて、私の発言に摩胡爺は固まった。
2話 お狐さんは間違えた
「ロマン…これまたえらく壮大なものを」
「だって、摩胡爺が言ってたから」
「うん?」
「人間の住む場所にはおとこのろまんがあるって」
「………」
「だから、それを求めて行ってみた」
「違う、違うぞぉ! そのロマンは違うんじゃぁ!!」
「?」
山奥の祠にて、摩胡爺は泣いた。
3話 お狐さまは閃いた
「……分かった」
「ほ、本当か! 何が分かったんじゃ!?」
「摩胡爺が泣いた理由」
「ほうほう! で、その理由は如何に!?」
「おとこのろまんはどへんたいな暗号だから、バレると何かがまずい」
「……聞くが、ド変態とか暗号とか、誰から聞いた?」
「奈良から遊びに来てた鳥丸」
「あんのクソ烏めぇぇぇぇぇぇ!!!」
「?」
山奥の祠にて、摩胡爺は怒り狂った
4話 お狐さまは話を聞かない
「はぁ、はぁ…! おのれ烏丸! 次に会ったら焼き鳥にして喰らってくれようぞ!!」
「焼き鳥? タレ?」
「そうじゃな、それも良いものじゃのぅ。だがまずはそのロマンについての訂正をせねばならん。良いか? 男のロマンというのはだなまず—―」
「……すぅ……」
「……お主、とんでもないほどマイペースじゃな」
山奥の祠にて、お狐さんは話に飽きて……寝た。