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2.天罰


 目が覚めると、俺は見知らぬベッドに寝かされていた。そして、目の前に一本の黒い矢印が天井からぶら下がっているのが見えた。


 なんだろうかと不思議に思っていると、一人誰かが俺のいる部屋に入ってきた。


「ふん、生まれたようだね。忌々しい悪魔の子が。なんでこんなのを産まなきゃいけないのかあたしゃ理解に苦しむね」

「お、お母さん。そんな言い方......。ふふ、この子が私の子供よ」

「シェリア、本当に今までに誰ともセックスしてないっていうのかい?」

「しつこいですよ、してないですってば」


 なるほど、今の会話からして俺が悪魔の子というわけだな、ふざけんな。どうやら俺の母親が処女のまま妊娠したのが原因のようだが。


 あの神様め。もっと自然な感じにしてくれよ。なんで悪魔の子として生まれなきゃいけないんだ。


 ただ何でかは分からないが言語は通じるようだ。この点に関しては神様ありがとう。


「ま、とにかく。私は一切関わる気はないからね。子供の面倒は全部あんた一人で見るんだよ」

「分かっています、お母さん」


 うーん、これは前途多難な予感がするな。それはそうと、この矢印は一体なんなんだ?今の俺にはベクトルにしか見えないが......。ちょっと引っ張ってみるか。


 グイッと、天井からぶら下がっている矢印を下に引っ張ってみた。一体どうなるんだろう?


 ミシッ、ミシミシミシッ!


「な、なんだい!天井から音がするよ!」

「バ、バーク!危ない!」


 うおおお、やばい、天井が悲鳴をあげてる!は、放そう。パッと放すと天井が壊れる音は止んだ。危ないところだった。


 母親は安堵の表情を見せているが祖母は怒りと恐怖の混じった表情を露わにしている。


「ほらごらん......!やっぱりこいつは悪魔の子だ!早くこの家から出て行け!」

「そんな、あんまりです!この家がなかったらバークはどうやって生きていけというんですか!」

「知らないよそんなのは!その、悪魔の子をどこかへ捨ててきたらシェリアだけは戻ってきてもいいよ。だが、そいつを連れてる限りは私の家に入れることは出来ない」


 それは困る!申し訳ないが祖母の方にこの家から出て行ってもらおう。


 追い出されそうになったので祖母の重力ベクトルをグイッと下へ引っ張ってやる。


「ぐううううう⁉︎な、なんだい!こいつを持った瞬間に体が!」


 ふふ、悪魔の子とか言ってくれた仕返しだ。老体に響くと悪いから少し軽めにしているけどな。


「お、お母さん!だ、大丈夫ですか⁉︎こら!ダメでしょバーク!早くお母さんを戻しなさい!」


 ちぇっ、ダメか。分かりましたっと。パッとベクトルから手を離そうと思った瞬間。手の中でベクトルが元に戻り祖母の体から俺の手にベクトルが移った。


「ふ、ふふ。分かったよ!あたしが出てけばいいんだろ!もう勝手にしろ!」

「お、お母さん!」


 バァン!と扉を閉め外へ飛び出して行ってしまった。重力ベクトルを残して。


「うう、お母さんが皆にバークのことをバラしたら、バークはもしかしたら殺されてしまうかもしれない」


 え、嘘だろ?冗談じゃない。もう死ぬなんてそんなのはまっぴらごめんだ!そうなるくらいなら!


 グルッと祖母の重力ベクトルを上に向け、思いっきり伸ばした。









「あっ!村長!き、聞いてください村長!」

「どうしたんですか?またシェリアが何かしでかしたとか」

「そ、それが実はっ!」

「え?」


 ギュンッといきなりシェリアの母は引っ張り上げられ上空へ飛び上がってしまった。


 村長とシェリアの母の会話を見ていた人達は皆驚き混乱した。


「な、なんだ今のは!」

「村長!あなたが何かしたのか!」

「いや私は何も......」

「ならば何故!」


 見物人は騒然となり村長に詰め寄ったが、原因が判明することもなく、結局は天罰だろうということで落ち着いた。


 以後、彼女が村へ姿を現すことはなかった。


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