第九七八話 「地母神再臨」
おひさしぶりの、まといまとりです。
やっとお仕事環境が落ち着いてきて、少しづつ更新して行こうと思っておりますので、みなさん気長にお付き合いいただければ幸いです。
と、いうわけで翌日、正午少し前に『箱型魔法陣』へとやってきた。
昨日はあれから魔力回復薬の制作に勤しんだ以外は、いつもどおりの日常で、サナとチャチャ謹製の晩ごはんを食べ、風呂に入り身体を洗われ、流石に儀式前ということで「レベル上げ」は遠慮しながらも睡眠をとり、朝食もちゃんと食べて万全の状態でここへとやってきたわけだ。
……「レベル上げ」してない夜なんて何日ぶりだろうか?
まぁ、清い夜だったのが非日常的なのもアレな話だが、これだけレベルが上がって地位も名誉もお金も困らなくなったのに、変わらない日常があるというのは逆にありがたいものだ。
その代わりこうして世界の命運を握るような事に駆り出されているわけだが。
それはさておき、『箱型魔法陣』である。
制作から絡んでいる白狐族の長と黒狸族の長はもちろんだが、「神使院」の長老達が全員参加しているのは想像の範囲内だが、「獣王院」の長老方も参加しているのはちょっと意外だった。
いや、役に立つ立たないの問題ではなく、私の認識ではこの場所は危ない儀式をやる場所という認識なので、安全のために片方の院くらいは参加しないと思いこんでいたからだ。
一応、議長でもある竜人族のユメニシ陛下にはサビラギ様が、そばについて護衛をしているようだ。
それだけ亜人族にとって地母神様の再臨は大事なことなのだろう。
それに天父神の眷属にとっても他人事ではない。
私の長老会への報告が正しいかどうかも含めて、地母神様にお伺いを立てなければ落ち着かないだろう。
極論、私の、宙天神が『種星落とし』が天父神と地母神様を害したという報告が虚偽なのが一番平和な話なのだから。
もっともその場合、私の首が飛ぶくらいで話が済めば良いのだが、そうもいかない。
とはいえ、家族に危害が及ぶことだけは避けたい。
先にこっそりとサビラギ様と打ち合わせた事をしたくないということも含めてだ。
いかんいかん、ネガディブになるな。
とりあえずは儀式に集中しよう。
▽▽▽▽▽
『箱型魔法陣』は厳密にいうと6面全てに魔法陣が描かれているわけではない。
ざっくりいってしまうと、天井が鏡になっており、天地の地の部分の魔法陣が映され、全面が魔法陣として機能するという作りになっている。
で、その地の部分を担当するのが、私達。
私達から見て正面。
長老会の面々がいる面を担当するのが白狐族の長と黒狸族の長。
反対側がヤコさんとマミ先生など、中間管理職クラスの巫女や尼さん達。
左右が先日の長老会で各王の後ろに立っていた各種族のトップクラスであろう巫女や神主、尼や僧侶が受け持つようだ。
事前の説明によると、この前後左右の横軸の魔法陣は召喚環境を整えるためのものらしく、一番大事なのは、縦軸の天地の魔法陣らしい。
その地の魔法陣の中央。
一際複雑な魔法陣の中、ぽっかりとあいた空白地に私達は座っている形だ。
私を先頭というか、長老会側にして、真後ろにサナが両手を伸ばして私の肩に触れている。
左右は左にミツキ、右にサオリさんが片手をサナの肩に、もう片手を地面というか魔法陣内に置いた形だ。
そしてサナの後ろにチャチャが座り、両手を伸ばしてサナの肩、というか肩甲骨あたりに触れている。
私の両手は地面の所定の場所に配置済みなので、上から見ると十字状になっているはずだ。
っていうか、だいぶ位置取りを修正されたので、これであってなきゃ困る。
おそらく天側の鏡から見ても対照の距離に映るようにしてあるのだろう。
当初こちらで考えてた配置とは違うが、これでなければ駄目だというのではしょうがない。
真ん中のサナには【修験者】として儀式呪文の一部も任されることになったようなので、なおさらだ。
先頭?の私は最初から淫魔化して、既に角どころか羽根と尻尾まで出している。
少しでも今まで会っていた地母神様との結びつきを強くするためだ。
ちなみにチャチャも儀式呪文が始まる寸前にランク2での【神使化】を使う予定だ。
よし、これで地母神様再臨の準備は整った。
あとは鬼が出るか蛇が出るか、ぶっつけ本番だが、いってみよう。
いや、本当に鬼や蛇が出られても困るけどな。
チャチャにゃ!
今日のおしごとは【神使化】にゃ!
えーとえーと、おもいっきりじゃなくて、ちょっとじゃなくて、少ない方のほどほどにゃ。
うーん、チャチャにできるかにゃ?




