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第九七〇話「大魔法陣」

 地母神様の召喚会場は意外なところにあった。


 最初は王宮の近くかな?と思ったが、王宮は海の中なので、地母神様というより海母神様のテリトリーなので不向きだそうな。


 ならば御宮か社の近くだろうと思ったが、それも違って、人里離れた山道を登ったところにある、専用の施設で行うとのサビラギ様の説明だった。


 サビラギ様の表情がちょっと硬かったのは気のせいではないだろう。


 「秘密の実験室というやつじゃよ。」


 と、だけいうと、地図を私に渡し、部屋を追い出された。


 「前になにかあったのかにゃ?」


 「どうだろうね?」


 たまに鋭いチャチャの疑問をそう流しながら地図を眺める。


 街のマップは既に手にいれているので、そうそう迷うことはないだろうから、まずは行ってみよう。



▽▽▽▽▽



 『箱』


 建物の第一印象はまずそれだった。


 建材が違ったらビルといった風に見えただろうし、もっと愛嬌のある雰囲気なら、サイコロにでも見えたかもしれない。


 ただ、第1印象は『箱』。

 木造りのそれなりに古い建物だが、神社仏閣のような歴史的建造物という雰囲気はない。


 ただ、中で何かをするためだけにつくられた建物。そういう印象だ。


 入口には牛人族と馬人族の屈強な男が門番をしており、かなり警戒度も高い。


 早めに通行許可証を見せていなければ、早々におっぱらわれていたかもしれないが、それを見せた途端、片方が箱の中に入って行き、4人の女性を連れて来た。


 「おお勇者どの、お待ちしておった。」

 「術式も大詰めでの、そろそろ調整をしたかったところじゃ。」


 最初に口を開いた二人は見たことがある。


 確か長老会にも出ていた白狐族の長と、黒狸族の長だ。


 で、さりげなく、その後方にヤコさんとマミ先生がいて、こちらに手を振っている。


 「改めて、勇者のレン=キュノミスとチャチャです。」

 「チャチャにゃー。」


 「よしなにな。」

 「よしなによしなに。」


 長老会では厳しそうな雰囲気だった二人だが、ここがホームだからか、それともチャチャの魅力にやられたのか表情は柔らかい。


 「ああ、あと、レン殿は淫魔族の身体になってから入るように。」

 「念には念をいれてな。」


 「わかりました。」



▽▽▽▽▽



 「うわぁ。」

 「これは凄いッスね。」

 「これがあの……。」


 サナからサオリさおりさんまで、中に入った途端、そんな感想を漏らしている。


 チャチャにいたっては、あんぐりと口をあけて、周りを見渡しているような状態だ。


 私もどちらかというとチャチャに近い状態だな。


 と、いうのも、箱の中には、もう一回り小さい箱が収められており、その中には、前後左右、天地全てに魔法陣が書かれているのだ。


 その大きさ、一片が30mくらいはあるだろうか?


 種族特性【神殿】を使う時にも似たような六方立体魔法陣を作るが、それの超巨大版、といったところだろう。


 会いに行くと呼び出すでは、これだけの違いがあるんだな。


 「んにゃ?」

 「どうしたチャチャ。」


 「なんかあそこの言葉へんにゃ。」

 「言葉?」


 ああ、そういえば、チャチャは【古代共通大陸語】を読み書きできるんだった。


 もちろん、私も同じなのだが、チャチャが指摘したところは、カタカナでいうところの、リがソになっていたり、ンになっていたりするところを見つけた様子だ。


 本職にこういう事をいうのは失礼かもしれないが、一応、指摘しておこう。


 「あのー、すいません、あそこの術式の記載はあれであってますか?」


 「はて?」

 「はて?」


 白狐族の長が首を傾げ、それに一歩遅れて黒狸族の長が首をかしげる。

 

 「間違っておるの。」

 「ほぉ、勇者殿達は【古代共通大陸語】が読めるとな。」

 

 どうやら、ちゃんと(?)間違っていたらしい。


 見つけたチャチャの頭を撫でてねぎらう。


 「強行軍じゃったからなぁ。」

 「よくある間違いじゃなぁ。」


 白狐族の長と、黒狸族の長は顔を見合わせて相談している。

 

 結局作業をしている全部の班の手を止め、再チェックを行うことになったらしい。

 

 と、いっても、下書き班だけはチェックに回らず、私やチャチャの勇者班、サナ、ミツキ、サオリさんの魔力供給班専用の小魔法陣の作成に入るらしい。

 

 ちなみに担当はヤコさんとマミ先生なので、特に緊張はない。

 

 和気藹々と話をしながら設計図(?)を片手に見ながら床に下書きを重ねていく。


 場所はまさに大魔法陣の中央。


 勇者班と魔力供給班は場所を離されるとおもっていたが、ここが心臓部になるので、一体型の魔法陣として処理するのだそうな。


 まぁ、肝心の餌である勇者が魔力足りなくて地母神様を呼び出せないとか、笑い話にもならないしな。


 魔力は十分にあるし、予備の薬もあるが、皆が一緒なのは心強い。


 万が一の時も対応が楽だろうしな。

 サナです。


 ヤコさんとマミ先生に会うのは久しぶりのような気もしますが、そんなに日数は立ってないのかな?


 最近、色々なことがありすぎて……。


 次回、第九七一話「箱」


 それにしても、天井の魔法陣とか、どうやって描いたんだろう?

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