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第九十六話 「眷属化再び」


 「どう?大丈夫?」

 「なんか凄かったッス。まだフワフワしてるッス。」

 サナはミツキを膝枕して慈愛顔でその頭を撫でている。


 ミツキとの『練習中』にサナが目を覚ましたので、それなりに切り上げて今は休憩中だ。

 ランク3のスキル【精技】のおかげで、いい感じで手加減が出来たのか、サナの最初の時と比べればミツキは落ち着いた状態だと思う。

 感度が光る淫スキル【性感帯感知】で見ても、全身ほどよく高揚してる程度に光っているくらいだ。

 サナの時は全身性感帯状態で眩しいくらいに光らせてしまったしな。


 今更だがサナは私がミツキを抱くことに対しては抵抗ないのだろうか?

 やきもち的な感情とか見せそうな気もするが、ミツキとの『練習』を見てる最中も純粋に応援してる感じだったし、種族的な性習慣の違いで抵抗感が無いとか?


 そういや前にロマが大体の亜人の男はその集落では労働力に限らず共有財産的な側面があるとかいっていたが、発情期の亜人女性は相手を選ぶ権利があったり、夜這いもある性習慣なので、この手の独占欲は低いのかもしれない。


 変な修羅場にならないのは良かったが、なんとなく寂しい気持ちもある。


 「サナちー、あの、パパさんに、その、こういう感じの迷惑かけて御免ッス。」

 「鬼族的には大丈夫だから気にしないで。」

 「兎人族的には気になるッス。」

 いや人族的にも気にはなるのだが。


 「もちろん誰でも大丈夫って訳じゃないけど、ミツキちゃんならいいよ。お父さんも優しくしてあげてね。」

 お、おう。

 なにか別ルートで責められている気がする。


 「お父さん、私の時はひどかったんだから。意地悪はするし、頭真っ白になっちゃうし、あたし死んじゃうかと思った。」

 だから人をベッドヤクザのように言うなというに。


 「いや、あの時はサナの初めてが変な心の傷にならないように私も必死だったんだよ。ミツキもこういうことに対する拒否感や恐怖感ってのは中々抜けないと思うけど、水揚げまでに少しずつ慣れていこうね。」


 「…はいッス。」

 なにかがサナの心の琴線に触れたらしく、私に擦り寄って来たので、ベッドの上に座り直したミツキが、そういって姿勢を正した。


 「じゃあ、もうちょっと『練習』する?」

 「い、いや、今日はもういいッス!いっぱいいっぱいッス!」

 うん、やっぱりミツキは真面目な顔をしているより、ちょっとワタワタしている明るい顔の方が似合う。


 「二人とも、汗かいただろうから、もう一度お風呂入っておいで。あとサナ、お風呂でミツキの指輪の説明をしておいて貰えないかい?」

 ミツキの左指の小指には『淫魔の契り』の指輪が光っている。

 サナのものと同じく色はシルバー、小さなオープンハートが繋がっているようなデザインで中央に小さいアメジストのような紫の石がはまっているものだ。


 「指輪ッスか?あれ?いつの間に?カワイイデザインッスね、これ。」

 「え?あ、しなくても付くんですね。これ。」

 男の口から女性には説明しづらい種族特性【眷属化】と『淫魔の契り』の指輪の効果をサナに丸投げして、またもや風呂へと消えていく二人を見ながら、今度はメニューじゃなく淫スキル【ナルシスト】を通じて眷属化したミツキのステータスを眺める。


 ミツキの好奇心の強さと、すぐ考えている事が表に出るのを考えると、身請け前に私の能力の説明をしてしまえば、何かの時に表沙汰になる可能性がある。

 そうでなくても奴隷として命令されれば話さざるを得なくなるはずだ。


 そう思って今まで色々質問をスルーしていたが、隠せば隠すほど賑やかになりそうな気がするので、何らかの強制力でそれらをカバーできないかと思っていたところに手頃な機能を見つけたのだ。


 眷属に対する思考誘導。

 つまり主人が奴隷に対して逆らうことが出来ない『命令』ができるように、眷属に対して思考誘導が出来るらしい。


 平たくいうと催眠術をかけられるのだ。

 能力としては淫魔の魅了チャームの亜種みたいな扱いなのだろう。


 命令のような即時性はないが、ミツキのステータスに追記をすることで条件付けができるので、今回は『レン・キュノミス又はサナ・サオトメと一緒の場合を除き、同者が連れて行った先での記憶を思い出せない。』と、設定した。


 身請けするまでの予防措置なのでこれくらいでいいだろう。

 風呂場では今頃、『淫魔の契り』の指輪での念話の仕方も…

 『パパさん、聞こえるッスか?これ本当にそんな事出来るんスか?サナちー、アタシをからかってないッスか?』

 早速きたな。


 『聞こえているよー』

 『わ!ホントにパパさんの声聞こえたッス!』

 『サナとミツキ同士でも念話出来るはずだから試してごらん。』

 『わかったッス!やってみるッス!』


 こうして念話を使えば何かの時に助けを呼ぶこともできるだろうし、安全マージンは取れたと思う。


 『サナちー聞こえるッスか?なんか目の前にいるのに変な感じッスね。』

 『あ、それあたしも最初思った。』


 なんか念話で盛り上がっているが、眷属同士の会話は私にも丸聞こえなんだなコレ。


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