第九五六話 「地母神の復活」
「前にも話したでしょう?」
そういえば、言っていたな。
純粋な地母神に戻れれば、元の世界の巫女でも尼でもいいから、『地母神降臨の儀式』をしてもらい、そこに私が同席していれば、力を分け合った縁で、この世界の地母神様が呼ばれる可能性が高いはず。だったか。
「でも、地母神様、姿は元に戻られたようですが、お力の方は、純粋な地母神様の状態なんですか?」
いくら私とサナで姿や能力を肩代わりしているからといって、純度100%の状態かどうかは、また別の問題だ。
場合によっては、ミツキやサオリさんの、おしりにも頑張ってもらわなければならない可能性すらある。
「そうね、貴方達との繋がりが淫魔としての能力であり、それでも貴方がたと繋がっていることを考えれば、完全な状態とはいえないわ。」
ほら。
二人のおしりが大ピンチだ。
「だけども、逆にいえば、その不純さと繋がりこそが釣り針となって、元の世界へのサルベージに力を貸すと思うわ。」
なるほど。
そういう考え方もあるのか。
「地母神様の方に他に準備が無いようでしたら、元の世界に戻った後、すぐにでも『地母神降臨の儀式』の儀式の準備をしてもらいますが、大丈夫ですか?」
「ええ、今の地母神なら、貴方達が元の世界に戻れば、その存在自体がアンテナとなって、その世界の神格ともリンクできるはずだから、問題ないはずよ。
ただ……」
なぜか少し言い淀む地母神様。
「ただ、なんですか?」
「本体の地母神のことだから、膨大な魔力が必要となるのは間違いないわ。
それこそ人死が出ても、おかしくないくらいのね。」
そう言った地母神様の表情が陰る。
膨大な魔力………。
「ちなみに、ざっくりどれくらい?」
ざっくばらんに聞いてみると、結構な数値を耳元で囁いてくる地母神様。
逆にいうと、今の私からすると、不可能な数値では無いということだ。
元の魔力や仲間たちの魔力はもちろん、マミ先生やヤコさんをはじめ儀式に参加する数々の巫女や尼の皆さんに特級魔力回復薬を何本か配っておけば、なんとかなる程度の数字でしかない。
「魔力の面は私達の方で何とかしますので、心配しないでください。」
そういって、トンと自分の胸を叩いて見せる。
まぁ、ぽよん、と、おっぱいに跳ね返されるのだが。
「本当?」
「ええ、人死が出ないことは約束できると思います。」
「わかったわ。その点はレインを信用しましょう………あら、さすがにそろそろ時間ね。
じゃ、最後に……
では、次はそちらの世界で会えるのを楽しみに待っているわ。
眷属の子達が頑張ってくれたのは嬉しいけど、これからも無理しちゃ駄目よ?
じゃあね。」
そういって笑顔で手を振る地母神様。
最後の間は、たぶんまた、個別にサナ達眷属に何か個人的なアドバイスをしたのだろう。
ノイズがかかりながらも、台座に登り、その上の魔法陣に吸い込まれる、というか足元から沈んでいく地母神様。
地母神様が消え去ったのを確認して、サナが姿見の前から戻ってきたくらいのタイミングで、また、四方の壁、いや空間にヒビが入り、そして音もなく割れた。
と、いうわけで、元の世界の離れへと戻ってきたわけだが。
まずは、ふぅと息を抜くように男の姿に戻る。
……って、あれ?
淫スキル【淫魔】を使ってみると、昼間だというのに問題なく淫魔化できるようになっている。
ちなみにサナの方はというと、姿だけは変えられないようだ。
もしかして、これって、相当なパワーアップじゃないか?
ミツキッス。
魔力に関しては今の、ご主人様はデタラメッスからね。
本人もそうッスけど、主に魔力回復薬が作れることで。
アタシも手伝えることがあったら、ガンガン手伝うッスよー。
次回、第九五七話 「パワーアップ」
まずは何はなくとも素材集めからッスかね?