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第九四三話 「決闘Ⅲ」

 サオリさんの格好は、三頭大鮫みつがしらおおざめ革装備(一式)の上に僧兵のような衣服を重ね着した状態だ。


 絶対的な防御力の上、手足の動きを幾分、相手から見えづらくする効果があるだろう。


 「勝敗は、お互いいずれかの戦闘不能か、降伏をもって判定し、相手を死亡させた場合は、勝利の権利はそのパーティーに移るものとする。」


 「はい。」

 「はいはい、了解。」


 「では、いざ、尋常に、勝負!」


 ギルドマスターの掛け声と共に、倒れ込むように間合いを詰めたかと思うと、そのまま天を仰ぐような体勢で、腕の力だけで逆袈裟を仕掛けるサオリさん。


 あんなにあったお互いの間合いが、あっという間に0となり、勇者のわきの下に斬撃が走る。


 「わ、【我に当たるものなし】!」


 しかし、少し焦った勇者の声と、そのユニークスキルがその斬撃を跳ね返す。


 ふむ。跳ね返すタイプか。


 「【我に当たらぬものなし】!」


 体操選手というより、忍者のような身のこなしで、体勢を立て直している間に、攻撃系のユニークスキルも発動させる勇者。


 サオリさんもそれに合わせ、上級防御系魔法と淫魔法【回春】を自分にかけ、【金剛結界】の準備を整えている。


 「多少はやるようだが、これで終わりだ。【ソードダンサー】!」


 勇者がその両手剣を抜き、両手で天に掲げると、それこそサオリさんの金剛結界のような光の塊で出来た両手剣がその左右に4枚ずつ現れた。


 「貫け!」


 振りかざした両手剣に追従するように8枚の剣が渦を巻くようにサオリさんを襲う。


 『サオリさん、可能なら金剛結界ではなく、金剛で耐えてください。』

 『はい!わかりました。』


 「【金剛】!」


 大きな円盤状の結界がサオリさんの前に現れ、勇者の光の剣をはばみ、消滅させる。


 狙われた場所は両肩、両腕、両脚と両足か、ま、当然のところを狙うな。


 ふむ。【金剛】を迂回してまでは当たらない。と。


 あとは【ソードダンサー】で現れる光の剣は【金剛】と同質のエネルギーの塊かなにかなんだな


 「ふん!【ソードダンサー】貫け!」


 【金剛】がスキルなら連発はないとふんだか。

 しかしサオリさんには淫魔法【回春】がある。


 すでに気力はMAXだ。


 『サオリさん、光剣を1本。捕まえることは出来ませんか?』

 『やってみます。』


 再度【金剛】で光剣を防御したと見せかけて、1本とり逃すサオリさん。

 勇者の口元がニヤリと歪む。


 が、薙刀で綺麗に光の剣を受け流し、柄を掴むサオリさん。

 しかしながら、それでも光剣はサオリさんの肩口に向かって進もうとしていく。


 だがサオリさんの筋力のステータスの方が高い。

 光剣は勢いを失い、肩口に剣先が触った瞬間、その勢いを消した。


 ふむ、目標達成で効果消失か。


 『サオリさん、その光剣で勇者を切ることができますか?』

 『やってみます。』


 薙刀を短めに持ち直し、双剣使いのような動きで勇者に向かっていくサオリさん。


 勇者は更に【ソードダンサー】を撃って来るが、今度はピンポイントの【金剛】を使ってそれをサオリさんは撃ち落としていき、薙刀の大振りをおとりに勇者の足元を光剣で薙ぎ払った。


 『傷は極めて浅い』

 が、たしかに攻撃は通った。


 『よし、大体わかった。』

 『私にも分かりました。』


 【ソードダンサー】が飛んでくるデメリットを享受しながらも、サオリさんが間合いをとり、薙刀を地面に突き刺す。


 「ん?なんだ降参か?」


 「全ての答えは私の中にあったのですね。」


 勇者の言葉をガン無視して、胸の前で手を合わせるサオリさん。

 と、思った瞬間、左右に思いっきり腕を開く。


 その腕の間に残されたのは、薙刀。

 正確にいうと薙刀状に形作られれた【金剛結界】だ。


 サオリさんは、それを手に取り、何度か振りながら、バランスを確かめる。


 「なんだ?それがお前のとっておきか?」


 勇者が煽るがサオリさんは意にも返さない。」


 「サオリ・サオトメ、改めて参ります。」

 ミツキッス。


 アタシにもわかったッスよ。


 要は磁石みたいに目的箇所に引き合ったり、逆に反射したりする物理系スキルなんすね。


 だからスキルで出したエネルギー系や、たぶん、魔法系も通じないって感じだと思うッス。


 次回、第九四四話 「決闘Ⅳ」


 これ、防御は辛いッスけど、アタシでもなんとかなるかも?


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― 新着の感想 ―
[一言] サオリさんにはとことん幸せになって欲しいですねぇ..
[一言] 名前ほど圧倒的なスキルじゃないね!ゲス勇者くん残念!
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