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第九二一話 「魔王とレベル」

 さて、淫魔法【ラブホテル】でのショートカットの前に、いつもの別荘で現状確認だ。


 期待した雪崩での魔物一掃による経験値だが、およそ500程度の経験値で、残念ながら、これでは誰のレベルも上がらなかった。


 これでは、と、いうのは、実は私と、そして何故かチャチャのレベルが5上がっているからだ。


 しかもこれレベル上限ごと上がってるな?


 これによって、私がレベル65、チャチャがレベル55になった。


 どうやら魔王との問答というか会話が戦闘の一部扱いになっているらしく、魔王を倒したら問答無用でレベル上限とレベルが5上がるルールのようだ。


 サビラギ様の強さの源泉が分かってきたような気がするな。


 おそらくだが、魔王が言っていたように同じシステムというのであれば、勇者を倒してもおそらく同じ現象が起こりそうだな。


 とりあえず、怪我らしい怪我ももうないし、少し温まって身なりも冒険者なりに整ったので、ショートカットでギルドマスターの元へと向かおう。


 おっと、一応、淫魔の姿から男の姿に戻っておかないとな。


▽▽▽▽▽



 「戻ったか!どうだった!」


 ギルドマスターの部屋に入るなり、ソファーから飛び起き、こちらに向かってくるビャク。


 顔が怖い怖い。あと近い。


 「魔王並びに魔族は消滅、スタンピート予備軍だった平原の魔物も処理済みです。

 明日には普通の迷宮に戻っていると思いますよ。」


 紆余曲折はあったものの、結果だけを端的に報告する。


 方法については一応秘密としたが、魔王の魔素核は証拠としてビャクに提出した。


 と、いうのも、雪崩作戦は下手に真似をされると巻き込まれる探索者が発生すると思ったからだ。


 私達の場合は、マップを見ながら探索者がいないことを確認してから実行しているが、他の人にはそれは無理だろうし、何より魔素核やカプセルを諦めなきゃならないのはあるが、経験値稼ぎとしては美味しすぎるので、方法を知られると絶対実行するやからが現れ、死亡事故の元になるだろうしな。


 そんな端的な報告でも、勇者が二人もいて、レベル50オーバーもついているとすれば、さもありなん、と、ビャクは納得したらしく、それ以上は追及してこなかったが、その代わりとして、魔王の魔素核はしばらく預からせて欲しいというので、これを了承して、手打ちとなった。


 なったのだが。



▽▽▽▽▽



 「ギルドマスター 白金虎プラチナタイガービャクだ。

 先の迅速な避難、見事であった。


 おかげで勇者達も獅子奮迅の働きができ、魔王を倒し、スタンピートをも防ぐという偉業を成し遂げることができた。


 明日からは迷宮も落ち着くとの見込みだ、今晩はたっぷりと飲んで、今日助かった命を寿ことほぎ、明日への英気を養ってほしい。」


 ビャクが探索者ギルドの2階からアジテーションよろしく、そう宣言すると、探索者ギルドが割れんばかりに盛り上がる。


 「ギルドマスター、何割引きだー!?」


 「んんんんんんーーーーー、5割引きだ!!」


 「さすがマスター、太っ腹!」


 「ただし、飲み代だけだぞ!」


 階下の探索者の言葉に、しばし迷った様子だったビャクだが、ここは今後の士気を上げるためか、飲み代の値引きを宣言した。


 まぁ、飲めば食べたくもなるだろうし、料理の方で元は取るつもりなんだろう。


 そういうことなら、尻馬に乗らせて貰おう。


 「では、残り5割は、私のおごりということでどうでしょう!」


 階下の探索者達の声に負けないよう、大声でそう提案する。


>淫スキル【嬌声】を得た


 久しぶりに来たな変なスキル。


 雑にいうと声をコントロールして【交渉】や【性技】にボーナスを得るスキルだ。

 ちなみに女性の身体で使う方が当然効果は大きい。


 これからするのは【交渉】といえば【交渉】だからちょうどいい。


 もう半分は何者かが出すといっているということは、今日は、ただ酒が飲める?!


 その事実が【嬌声】によってブーストした【交渉】によって、探索者達の心をつかみ、場が一瞬静かになる。


 その瞬間を見計らい、


 「皆さん初めまして、アサーキ共和国の新勇者、レン・キュノミスと申します。


 本日は初めての公務でしたが、皆さんの迅速な避難のお陰で、無事、事なきを得ることができました。


 これはその感謝の気持ちと、これからもよろしくというご挨拶の気持ちです。


 是非、大いに飲み、騒いでください。」


 【嬌声】のせいか、音高らかに響いた私の声は、一拍の沈黙の後、


 「勇者レン万歳!」

 「勇者一行万歳!」

 「サイコー!今日は飲ませてもらうぜー!」


 などなど、賞賛の声が上がる。

 多少現金なところはあるが、それはそれで構わない。


 とりあえず、ビャクの話によると、人族に対して比較的排他的なこのウルーシの迷宮で、一応人族の私が支持を得るためだ、多少の出費は構わないだろう。


 この先、亜人族のための勇者、という立場を確立させていかなくてはならないのだからな。

 サオリです。


 この人数の飲み代となると、結構な金額になりそうですけど……。


 レン君のお財布、大丈夫でしょうか?


 次回、第九二二話 「宴の後で」


 もしも寂しくなったら、皆でお手伝いしなきゃですね。


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