表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

914/979

第九一三話 「ショートカット」

 実際にショートカットならば行ってみようということで、少し渋るビャクを連れながらその謎の建物へと向かった。


 と、いっても淫魔法【夜遊び情報誌】と単距離転移魔法との組み合わせで移動しているので、あっという間なのだが。


 その建物は、一言でいえば山小屋で、そこから下の平原、というか、平原を挟んだ反対側の山へと、頑丈なワイヤーがかかっている。


 もちろん、この吹雪によって凍ってしまい、氷でコーティングされているような状態だが、かなり重い物でも運べそうなワイヤーだ。


 「このワイヤーにロープでもかけて、両手で持ち、滑っていくことで、反対側の山へと向かうことが出来る。


 向こう側に降りてしまえば、第8階層への入り口もそんなに遠くない。


 遠くないのだが、山道でもいったが、鳥系の迷宮獣が襲ってくることがあるし、なにせ両手がふさがるので、危険この上ない。


 一応、落ちても平原の雪のおかげで死ぬようなことはないし、魔法の無詠唱使いがいれば何とかならないこともないが、凍えるほど寒い……のは大丈夫なのか、まぁ、それでも二度と乗りたいとは思わんな。」


 妙に実感のこもった説明に、たぶんサビラギ様辺りにでも乗せられたんだろうなぁ、と、ちょっと生暖かい気持ちになる。


 「まあ、ちょっと下ごしらえをすれば、なんとかなりますよ。」


 ここは淫スキル【淫具制作】の腕の見せ所だな。



▽▽▽▽▽



 と、その前に、せっかくの建物だ、扉をあけて淫魔法【ラブホテル】の出入り口を確保しておく。


 山小屋の中は一応、緊急避難所になっているのか、食料こそないが、竈はついており、一休みできるようにはなっている。


 木は迷宮内に入っているが、枯れ木は迷宮に食われてしまうので、薪になるようなものまでは期待できなさそうだ。


 天井が一部開放式になっているので、無理やり生木でも燃やしても、煙はなんとか出ていくかもしれないな、くらいなもので、地味に意地の悪いトラップだったりしたら嫌なので、特に中のものには触れないでおこう。


 「ご主人様、なんか変わったものあったッスか?」


 「いや、とくにこれといって、という感じね。雪が当たらない分、この中で準備をしてしまおうかしら?」


 「あー、じゃあ、アタシ、皆を呼んでくるッスね。」



▽▽▽▽▽



 準備といってもそう難しいものではない。


 淫魔法【緊縛の心得】で出せるベルト式のボンデージスーツをハーネス代わりにして、本来は身体を拘束する用の金具パーツに【淫具召喚】でベルトを通し、屋根にかかっているワイヤーにかける、といったものだ。


 一応、両手両足があくので、地上のように自由にとはいかないが、魔法を唱えたり、多少の武器の使用はなんとかなるだろう。


 問題は、降りていく順番だが……


 「え?!わたしが最初ですか?」


 「いざという時の壁役としては、サオリさんが最適だとおもうんです。」


 「それは……【金剛結界】もありますし、そうだと思いますが……。」


と、嫌々ながらサオリさんが先頭に、その次は魔法迎撃要員としてサナ、ミツキが続き、間に近接戦闘員のチャチャとビャク、殿しんがりは、またしても私が務めることになった。


 お仕事としては、ハーネス類の管理は勿論、飛んで襲ってくる敵を【緊縛の心得】や淫魔法【睡眠姦】で落とす役だな。


 前にハーピー相手に散々繰り返した戦法だ、たぶん大丈夫だろう。



▽▽▽▽▽



 「じゃ、じゃぁ、行きます。」


 緊張した趣きで、さおりさんが、たたらを踏む。

 まだ、覚悟は決まっていないようだ。


 「あまり列が伸びすぎると、前後からカバーが出来なくなるから、次々と続いてね。」


 そう、他のメンバーに声をかけている間に、「きゃぁああああああ……」というサオリさんの悲鳴が聞こえる。


 誰か押したな?


 「じゃ、次、行きますね。」


 サオリさんの後をワクワク顔のサナが続く。

 楽しそうね貴女。


 「どんどん行った方がいいッスね。」


 続いてミツキが滑り降りていく。


 ちょっとだけサオリさんとの間が広がり過ぎているので淫魔法【淫具操作】でベルトの角度を変えて、簡単なブレーキをかけ、等間隔で近距離になるように調整する。


 「俺たちは一緒にいってしまっても構わないのだろ?」


 遠距離武器を持たないビャクはチャチャをかかえながら、そういって配置につく。


 最悪、チャチャが【神使化】して魔法を撃つことになったとしても、この方が安全そうだから、いいか。


 「ええ、そのまま、二人でどうぞ。」

 「いってくるにゃー!」


 いや、戻ってはこなくていいんだ。


 で、最後が私。


 各人が2~3mの距離を保つようにベルトを調整しながら、速度も調整しているのだが、なにせ相手が凍り付いたワイヤーなので、最終的に結構なスピードになりそうだな。


 チャチャにゃ!


 かかさんは凄い声上げていったけど、なんか滑るの楽しそうにゃ!


 すごい遠くまでいけるんにゃよね?

 楽しみにゃ!


 次回、第九一四話 「群れ」


 それじゃ、いってくるにゃー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ