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第九一二話 「山あり谷あり」

 「ここから先は山を巻くように道が伸びているコースだ。


 雪庇が落ちてきたり、最悪雪崩に巻き込まれることもありうるが、なにせ一本道だから、面倒な迷宮獣に当たると、基本、避けられないので厄介だな。


 いっそ谷に落としてしまうというのも作戦の一つだが、相手もそれをやってくるので、危険度は高い。


 途中、山の中の迷宮に入る入り口が何か所かあるが、上への階層のへの階段などはないため、結局この山道を通ることになる。」


ビャクが、そういいながら、谷の向こう側の山にとぐろを巻くように伸びている山道を指さした。


 一応、上級階層には平地部分もあり、改めて別の山を登るようにもなっているらしいが、基本的には一本道らしい。


 ぱっと見でわかるほど遠回りだし、なによりサナの魔法のお陰で、白クマのような敵がその山道で既に待ち構えているのが見えている。


 負けることはないだろうが、狭い山道で戦いたくはないのが正直なところだ。


 と、いうわけで、そろそろやってしまおう。


 淫スキル【淫魔】で、淫魔の身体になり、勇者特性【ビジュアライズ】で、淫魔法【夜遊び情報誌】の結果を皆にも見えるように表示する。


 もちろん、勇者装備の『変成の腕輪』で効果をブーストしたものだ。


 ビャクが急に私が亜人の女性の姿になったことに、谷から落ちそうになるくらいビックリしていたが、他言無用ということで、まだ内緒にしてもらう。


 さて、マップの状態からすると、現在いるのが迷宮的にいうと5階層の入り口。


 4階層が林間コースで、6階層は更に山道を上がったところにある平原と山の中の中の迷宮らしい。


 5階層はビャクのいうとおり、山道と山の中の迷宮で、迷宮の中には上の階への登り口は無いようだが、第6階層自体は第5階層の真上に位置するようだ。


 「……これはなんだ?」


 「そうですね、魔法の地図、ってところです。先の階層までの様子が載ってますが、間違いないですか?」


 地図といっても迷宮の形が形のため、3Dマップのようになっている地図を、回したり拡大したりして、ビャクに確認してもらう。


 「う、うむ、間違いない。

 と、いうか、俺でも知らないところまで載っているようにも見える。」


 第6階層となれば、普通、ランク2~4くらいの敵が出ても、おかしくない場所だ、プラチナの冒険者といえども、全部を知っていて当然ということはないだろう。


 安全な狩場さえ知っていれば良いのだから。


 「さて、ここから作戦タイムよ。

 みんな、遠慮なくアイディアをだしてね。」



▽▽▽▽▽



 ここでの作戦というのは、端的にいってしまえば迷宮のショートカットだ。


 淫魔法【淫具召喚】と【淫具操作】で谷の間にロープをかけたり、あるいは頭上のルートへ同じようにロープをかけ、一気にショートカットする、とか、その手のことをかんがえていたのだが、途中でビャクの待ったがかかった。


 なんでもそういうロープを切る習性のある迷宮獣が結構いるらしい。


 鳥型からモグラ型まで、数種類いるらしく、ショートカットは誰もが考えるが、失敗率が高く、おすすめはできないとのことだ。


 うーむ、ちょっとあてが外れてしまった。

 大人しく無双しながら進むか。


 と、思い直していた時、


 「短距離転移魔法じゃダメッスか?」


 と、小さく手を上げながらミツキがそう提案した。


 そういや、だいぶ前にサナが覚えていたっけな。


 魔力が十分にある迷宮のような場所でしか使えないが、20mほどの空間を転移できるゲートを開くものだ。

 

 「なるほど、それならいけるわね。

  サナ、大丈夫?」

 

 「魔法回復薬飲みながらなら大丈夫だと思います。」

 

 と、いうことは、結構魔力コストは高いんだな。

 

 「じゃ、最短距離で第6階層を抜けてしまいましょう。」

 

 

 ▽▽▽▽▽

 

 

 とりあえず、距離の近い谷の間を短距離転移魔法でショートカット。

 

 そのまま山道は登らず、山の中に同じく短距離転移魔法でショートカットした後、今度は座標修正した上で、上の階層へと短距離転移魔法でショートカット。

 

 これで第6階層。

 

 もう一度、『変成の腕輪』と【夜遊び情報誌】を使って、第7階層への地図を手に入れる。

 

 「第7階層は3つに分かれているみたいね。」


 まず一つはこの山の上、第5階層、第6階層の更に上に第7階層に属する部分がある。


 もう一つは、さっきビャクがいっていたような平地部分だ。

 第6階層の山道から向かえるようになっている。

 第6階層の平地より高台の平地部分が第7階層扱いになっているらしい。


 そして最後が、その平地の向こうにある山道と山の中の迷宮だ。


 そういう意味では、この第7階層は相当広い。


 「今度こそ大人しく歩いてくしかないッスかねー。」


 ミツキが3D地図を眺めながら、面倒くさそうにそう呟く。


 「この先っぽのは、にゃに?」


 どうやらチャチャはこの山の頂上にある構築物が気になるらしい。


 【ビジュアライズ】を操作して拡大してやる。


 「なにこれ?」


 「あー、これか。」


 ビャクが少し懐かしそうな顔で、それを眺めている。


 「知っているんですか?」


 「ああ、第8階層へのショートカットだ。

 いままでと同じくおすすめはしないがね。」

 サナです!


 今日は、たくさん役に立てて嬉しいです!

 

 ビャクさんの話だと、同じようなことをする探索者はいないわけじゃないらしいですが、どうしても魔力不足におちいりやすいので、あまり回数を使う組みはいないそうです。

 次回、第九一三話 「ショートカット」


 何時間どころか下手したら半日~1日分は、早く移動できているようです。


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