表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

902/979

第九〇一話 「お参りとお買い物」

 「あー、ずるいッス!」


 せっかく綺麗になったのだから、と、淫魔法【トリコフェリア】で、耳や尻尾を含めたチャチャのありとあらゆる毛先を整えていると、サオリさんとサナにドナドナされていっていたミツキが二人と一緒に戻って来た。


 淫魔法【トリコフェリア】は髪の毛、つまり髪型をコントロールする魔法、兼、回復力、つまり細胞の増殖自体をコントロールする魔法だ。


 あまり気にしていなかったが、髪を短くも出来るから、増殖だけじゃなくて減衰もさせられるんだろうな、これ。


 よく考えたらおっかない魔法だ。


 それはそうと、この魔法を使ってのお手入れ、特に耳のぽわぽわの手入れや尻尾の形などは、耳尾族にとっては、かなり魅力的らしい。


 前にやった時は、カリスマ美容師か凄腕整形外科のような扱いを受けていたような気がする。


 それくらい本来気を使うパーツらしい。


 「パパ、アタシも、アタシも!」


 「いや、そんなに焦らなくても、丁度チャチャのが終わったところだから、ミツキのもやってあげるよ。


 あ、サオリさん、一応、それっぽくなっていると思いますが、一度、サオリさんもチャチャのを見てやってください。」


 「うふふ、はいはい、わかりましたよ。」


 細かい女心や亜人族の常識は、新しく淫魔法を使えるようになったサオリさんに丸投げし、私はミツキの要望どおりのお手入れをすることになった。


 結局、その後は、サオリさんがサナの、私がサオリさんの髪の毛と角を手入れして、一同ご機嫌のまま夕食の膳についたのだが、思ったよりチャチャの手入れを手直しされていたので、地味に凹んでいたりする。


 よし、今が全員のベストの状態と、ちゃんと覚えておこう。



▽▽▽▽▽



 あしたはお参りからということで、あまり深酒にもならず、仲居のマソホちゃんが敷いてくれた布団に、2本多い川の字で横になる。


 出口側から見て、サナ、私、チャチャ、サオリさん、ミツキという順番だ。


 どちらかというとサオリさんの方が抱き心地が良いのか、チャチャもミツキも、この暑いのにサオリさんに抱きついて寝ている。


 そりゃ、私だって、野郎とサオリさんとなら、サオリさんに抱きつく方を選ぶわな。


 ならばならば、と、サナの方を向いて横向き寝をすると、待ってましたといわんばかりに、サナがキュッと抱きついてきた。


 そんなに量は飲んでいないものの、お酒が入り、軽く頬が赤く高揚しているのがわかる。


 「お父さーん。」


 そういいながら、甘えるように、いや誘惑するように胸元についばむようなキスを振らせるサナ。


 「二人きりになれるとこ、いこ?」


 上目遣いのその言葉に逆らえる男子がいるであろうか、いやいない(反語)


 こうしておそらくサナのたくらみどおり、私達二人は寝室を抜け出し、浴衣姿のまま居間の小上がりの方までやってきた。


 なぜかこちら側にも2組の布団が敷いてあるのは謎だが、まぁ、少なくてもマソホちゃんが気を利かせたか、あるいは頼んだかした結果だろう。


 先に小上がりに上り、こちらに振り向くサナの幼くも妖艶な顔が月明かりに照らされ、まるで見返り美人の絵画のように心を捉える。


 やがて、しゅるりしゅるりと帯を解く音が聞こえ、肩口からするっと浴衣がはだけ、

背中と微かに胸があらわになるが、浴衣自体はサナの肘にひっかかり、止まっている。


 今日1日、万全に手入れをした鬼族の美姫が、少し恥ずかしそうな顔をした瞬間、帯が完全に解け、音もなく足元に落ち、ふわっと肘から下の浴衣が広がった。


 その姿はまるで夜の蝶を思わせ、トクンと胸に火が入る。


 サナがそのまま腕を伸ばすと、それに合わせ浴衣が重力の抵抗に勝てず足元に落ち、サナのわずかに幼さを残した全身が月明かりに顕わになる。


 ああ、綺麗だ。


 一瞬、見とれていたと思う。

 数舜、美しさに感動していたと思う。

 だが、気づいた時には、その身体を腕の中へと抱きしめていた。


 「お父さん……。」


 後ろから抱きしめた私に対し、振り向くように背伸びをして口づけをするサナ。


 それがまるで合図だったように、お互いの胸に炎が灯った。



▽▽▽▽▽












▽▽▽▽▽



 「日が変わっちゃいましたね。」


 途中で場所を淫魔法【ラブホテル】で普通のラブホテルに繋げ、そこに場所を移してレベルの上がらない「レベル上げ」をしていたのだが、サナが満足そうにそういいながら、腕に抱きついてくる。


 「1日12回までがルールだっけ?」


 「えへへ、実はちょっと違うんです。

 あたし達が求めるのは1日12回まで、って、地母神様が妥協してくれました。」


 いつの間に、って、いつものアドバイスの時間にか。


 「そっか、じゃあ、」


 腕に抱きつくサナをそのまま抱き寄せ、その桜色の唇に口づける。


 「私が求める分には構わないんだな。」


 「お父さん、まだ求めてくれる?」


 口づけをされた唇を指でなぞりながら、そういって笑うサナ。


 「そうだな、ちょっと食べたりない感じだな。」


 「えへへ、食べて食べて」


 そういって抱きついてくるサナ。


 こうして、やっぱりいつものとおり、明日がお参りと買い物で早起きになるという日は、遅寝になってしまうサナであった。


 サナです。


 えへへ、いっぱい可愛がってもらっちゃった。


 レベルも上がったし、明日のお参りも楽しみ!


 次回、 第九〇二話 「お参りと魔法」


 地母神様復活までがんばるぞー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ