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第八十八話 「兎人族」


 ミツキはバストもヒップも80代前半だが身長がそう高くないのと、アンダーバストが細いから結構メリハリボディだぞ?

 それでもボリューム足りないとか基準がおかしい。


 「ガッチリした体型に特盛&キュッ&特盛ってのが白人族的にジャスティスで、本来兎人族もだいたいそんな感じなんッス。白人族ほどガッチリではないッスけど。

 でもアタシのスタイルは父親の青鬼族寄りで背も伸びなかったッスね。」


 「屋台のおかみさんみたいに青鬼族は男女ともに細身が多いんですよ。」

 「なるほど。」


 遺伝的体型が種族的特徴や需要と逆方向に向いちゃってるんだな。

 そういやサナもそうなのかもしれない。

 サナ自体は小柄で細身だけど、たしか白鬼族は太マッチョが美しい系だから本来そっち側の体型なんだろう。


 サナは白鬼族の希少種らしいので、そっちが原因の可能性もあるが、ともあれ美醜の価値観は種族ごとに違うが大枠の需要は人数の多い白人族がベースとなっている感じなのか。


 「私はサナもミツキも可愛いと思うし魅力的に感じるけど、白人族は趣味が雑なんだな。」

 そういってサナを後ろから包むように抱く。


 「えへへー。」

 「…やっぱりパパさん鬼殺しッス。

 あと、さっきパパさんは褒めてくれたッスが肌ッスね。あと髪の毛の色。」


 「肌は色白至上主義で小麦色の肌は好みが分かれるって前にサナに教えてもらったからわかるけど、髪の毛も?

 ミツキの髪、ブロンドというか蜂蜜色で綺麗なのに。サナの黒髪みたいにキューティクルもつやつやだし。」

 そう言いつつ、ついついサナのつややかな黒髪を撫でてしまう。


 「『きゅーてぃくる』ってのがなんの事だかわからないッスが、褒められていることだけはわかるッス。

 っていうか照れるからいちいち褒めて来るのやめて欲しいッス。」

 なんかミツキの顔が赤い。

 やっぱり普段褒められ慣れていないっぽい。


 「肌はそのとおりッス。髪の毛の色自体はそう悪くはないはずッスが肌の色との対比で暗く見えるのが残念ポイントらしいッス。

 髪の毛がプラチナブロンドまで明るいと、この肌の色でも需要があるらしいッス。」


 淫魔の身体の私がそっち方向だな。

 体型的にも白人族からの需要がありそうだ。

 ありがたくもなんともないけど。


 「それから言葉づかいというか訛りがあるのも駄目ッスね。

 今話している鬼族語でも南部訛りが出てると思うッスが、これ発音の関係で大陸共通言語でも出ちゃうッス。

 なので見た目と合わないというかこれじゃない感がハンパないそうッス。」


 その「ッス」っての南部訛りだったのか。

 っていうか今は鬼族語で会話してるんだな。

 スキル頼りだから分からなかった。


 「あと、何より人気の兎人族と聞いて来たら、茶兎族だったという残念感ってのが一番大きいと思うッス。普通、兎人族といえば、黒兎族か白兎族、もしくは垂兎族ッスから。」


 「どう違うんだい?」

 「雑にいうと白人族の外見に黒耳が黒兎族で、白耳が白兎族。

 どちらかの色で耳が垂れているのが垂兎族で、耳が垂れてなくて肌が色黒なのがアタシ達茶兎族ッス。」


 「なるほど。」

 「たぶん人族に一番人気がある亜人が金髪碧眼の兎人族です。」

 「体型の話と同じでアタシは青鬼族の血が入っているのでそうでもないッスけど、本来兎人族はもっと顔の彫りも深いッスよ。だから二重の意味で残念だと思うんス。」


 「全然可愛いのに。」

 「ねー。」

 「だからそれ照れるからやめてくださいッス。

 茶兎族以外の兎人族は魔人族という呼び名が出来る原因の一つになるくらい良く言えば人族の人気の、悪く言えば欲望の対象なんスから茶兎族なら残念がるのはしょうがないッス。」


 そういえば前にサナに聞いたな。

 「人族は自分たち以外の種族をその姿から魔物の一部だと『魔族』だと蔑むように呼ぶようになって、そう呼ばれた側も逆に『魔人族』を名乗った。だっけ?」

 サナに向かってそう聞いてみると、うんうんと頷かれた。


 「それにしても呼び名が出来る原因って?」

 「魔族の話はサナちーから聞いてるンスね。で、なんでそんな事いうようになったかというと、兎人族を人扱いしない方が人族に都合が良かったからッス。

 いわゆる『兎狩り事件』ッス。」


 「兎狩り?」

 「そうッス。性奴隷にするために兎人族が人族に狩られる事件というか時代ッス。それくらい人族の性癖に兎人族はドストライクなんス。人族といっても主に白人族ッスけど、兎人族が『魔族』ってことにしておくと色々と都合が良かったんだと思うッス。」


 「狩って奴隷にしても正義感や良心や信仰心も傷まないとか?」

 「そうッス。」


 ひどい話だ。

 それこそ奴隷狩りのポジションなんだな。

 そういや今まで黒人族という呼び方も聞いたこと無いが、そっちもなんか悪い予感しかしない。


 「それに対して他の種族が立ち上がって一致団結して名乗ったのが『魔人族』という呼び名だったんですよ。」

 サナが補足してくれた。


 「そんなこともあって、基本、兎人族は少数種族ッス。

 奴隷じゃない兎人族は少ない。っていった方が正しいかもしれないッスけどね。

 今の奴隷制度が出来る前から代々奴隷という立場ッス。

 逆にいうと人族の好みから外れた茶兎族の奴隷は少ないッス。」


 茶兎族は不幸中の幸いという訳でもないが兎人族はコメントに困る凄惨な歴史だな。


 「なんかここまで話しておいてなんスけど、残念兎と呼ばれ慣れてはいるッスが自分で自分を貶したり、褒められたりで複雑な心境ッス。

 なんスかこれ。イジメッスか?パパさん女の子をイジメて楽しい系の人ッスか?Sな人ッスか?

 身請けされるのちょっと不安になって来たんスけど、サナちーその辺りどうッスか?」

 「べっとの上だとそんな感じかも?」

 お願いやめて。

 人をベッドヤクザみたいいうのやめて。

 っていうかイジメてないってば。もちろんベッドでも。


 「この後、娼館でミツキの身請けをする際に必要な情報収集だよ。

 持ち金が潤沢とはいえないから場合によっては値切らなきゃならない場合もあるかもしれない。

 そうなると一般的なミツキの価値を知っておかないと交渉にならないからね。」

 ジト目ってるミツキにそう説明すると、ミツキは手をポンと叩いてコクコクと頷く。


 「なるほどッス!そういうことならどんどんディスって良いッス。交渉事ならアタシにも考えがあるッスから今のうちに打ち合わせしちゃおうッス。」


 そういやミツキはスキル【交渉】持ちだったな。

 本人も乗り気だし大いに参考にさせて貰おう。


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