第八八五話 「神力」
「綺麗……。」
「ッスね……。」
「本当にそうね。」
「あれがチャチャの【神使化】か。」
「ふぅん……。」
「凄いーですー、姐さんほどではなくてもー、地母神様の神力がー、溢れているようですー。」
「関心してる場合じゃないべ、早く姐さんを回復させて脱出するべよ。」
皆んなが【神使化】したチャチャを見て口々に感想を述べているが、実際にはヤコさんの言う通りだ、部屋の崩壊スピードから考えると急いだほうがいい。
「チャチャ、まずは、なにをどうやるか教えて?」
「あいにゃ!」
的を得ないようで的を得ているチャチャの話を総合すると、要は聖印自体を重ね合わせ、そこから息を吹き込むようなイメージで【神力】を譲渡するのだそうだ。
【神使化】した今、二人の聖印の位置は胸の真ん中。
つまり端的にいうと半裸前提となる。
「ミツキ、ロマさんを。」
「わかってる、わざわざ言われなくても見んよ。
ちゃんと、別のところを見張っとる」
ロマからの返事と同時に、淫魔法【脱衣の心得】で、チャチャのワンピースの上半身と、サビラギ様の上半身の装備を脱がす。
チャチャはともかく、サビラギ様の方は、脱がす時にパン!と弾けるような音がして、身体が少し膨張しているのが見て取れた。
そういえば、【神使化】ランク5以上はサイズ的に装備に問題が出るとか言っていたっけ。
苦しそうにしているのは、その分の圧迫感も含んでいるのかもしれない。
そう思い、改めて【脱衣の心得】でサビラギ様を全裸にすると、少し顔色が良くなったような気がする。
「チャチャ、まずは聖印同士を合わせて。」
「あい。」
チャチャがサビラギ様の腰のあたりに跨がり、その、ささやかな胸をサビラギ様の豊かな胸に重ね合わせていく。
B~C VS E~Fといったところだろうか?
いや、そうじゃなくて。
お互いの胸が歪み、聖印同士が密着した状態を確かめたところで、さらにチャチャに声をかける。
「いい?まずはゆっくり吹き入れるのよ?頑張りすぎてチャチャが倒れたら、皆んなも心配するからね?」
「わかったにゃ。」
真剣な顔で頷いた後、密着度を高めるためか、身体を固定するためか、サビラギ様の両手を握るチャチャ。
相手が仰向けに寝ているせいで、やりづらそうだが、変に支えて異物扱いされて効果に影響があっても困るし、壁によしかからせても、その壁自体がどうなるか怪しい今、チャチャには自力で頑張って貰うしか無い。
念のため淫スキル【サディスト】で二人の【神力】ゲージをモニターしながら、チャチャにタイミングを促す。
「【神力共有】にゃ。」
おそらくスキル名と思われる言葉とともに、ゆるやかにチャチャの【神力】ゲージが減っていき、逆にサビラギ様のゲージが少しずつだが回復していっている。
チャチャとサビラギ様では【神力】ゲージの絶対量が違うせいで、その増減量は均一ではないが、少しずつスピードが上がっていっているのがわかる。
「いい調子よチャチャ、あとそのまま、5つほど数えるくらい続けて。」
「にゃ!」
真剣そのものの顔で、簡単に返事をし、【神力】を注いでいくチャチャ。
みるみるサビラギ様の呼吸が落ち着いていき、サビラギ様の【神力】が3割程度、チャチャの【神力】が半分前後くらい減ったところで、サビラギ様が意識を取り戻した。
「ん、んー……奴は?あの根の化け物みたいな奴はどうなった?」
「星の根なら、なんとか倒しました。事後承諾になってしまいますが、魔王の種も。」
それを聞いて周りを見渡すサビラギ様。
あわせて自分が全裸なのに気づいたようだ。
「【神力共有】か、ありがとうな、チャチャ。お陰で助かった。」
「お婆ちゃん、良かったにゃぁ。」
半べそをかきながら、上半身を起こしたサビラギ様に抱きつくチャチャ。
元の姿だと微笑ましい光景なのだろうが、全裸に跨る半裸の女性同士が抱きついている絵面なので、【神使化】の神々しさがなければ、エロティックな様子にも見てとれてしまうだろう。
嘘。
チャチャとサビラギ様にそういう感情を持ちたくはないのだが、普通に綺麗でエロイわ。
チャチャにゃ!
お婆ちゃんから、いっぱい教えて貰ったから思い出すまで時間がかかったにゃ。
こういうこともあるから、そういうときは、こうするって、ちゃんと聞いて覚えておいて良かったにゃぁ。
次回、第八八六話 「脱出」
あ、もうちょっとしたら【神使化】が時間切れで終わっちゃいそうにゃ。




