第八八四話 「神力の癒やし」
と、驚くのは後にして、はやく着替えないと、仲間内で普段でも戦闘時は全裸にならないので、みんな目のやり場に困っている。
まぁ、ロマは後ろから抱きつくというかセミみたいに飛びついてミツキが目隠しをしてくれているものの、まずは服だ。
淫魔法【コスチュームプレイ】で元の装備に戻りつつ、皆のもとに戻るが、依然としてサビラギ様は倒れたままだ。
「回復魔法は効かないんですか?」
「効いているー感触はーあるんですけどねー。」
おっとりとした話し方に反してマミ先生の表情には焦りが見える。
淫スキル【性病検査】でも体力は回復しているものの、マミ先生の使っている回復魔法のレベルに対して回復の伸びが悪い。
【神使化】していることになにか問題があるような気がするな。
無意識に他者からの魔法をレジストしているとか。
試しに淫魔法【精力回復】や【回春】で体力と気力を回復しようとかけてみるが、こっちの魔法の方はすんなりと受け入れられている。
神属性、いや、神属性(地)以外に耐性でもあるのかな?
体力、気力がある程度回復し、魔力も自動回復分が少し溜まりつつあるが、まだサビラギ様の意識は戻らず、一同に緊張が走る。
と、なれば、別アプローチだ。
通常の3本のゲージ、【体力】、【魔力】、【気力(精力)】に問題がないのなら、サビラギ様独自のゲージ【神力】が原因なのだろう。
これが少なくて動けない、あるいは元の姿に戻るのにもある程度の神力が必要とか、そのあたりが原因なような気がする。
で、あるならば、頼れるのは……。
「チャチャ。」
「あい?」
心配そうな顔をしてサビラギ様に寄り添うチャチャに声をかける。
「前にサビラギ様に【神使化】を習った時に、【神力】を回復する方法がなかったかい?」
「【神力】にゃ?えーと、えーと、えーと……」
チャチャが両方のこめかみに人差し指を当てて頭を揺らしながら、何かを思い出そうとしている。
「えーと、【神力】の回復方法はにゃかったけど、分ける方法ならあったにゃ。」
ビンゴ。
「よし、じゃ、それで、お婆ちゃんを助けよう!」
「!? はいにゃ!」
▽▽▽▽▽
サビラギ様に続いて、今度はチャチャが【神使化】を使う。
私とサビラギ様の前以外で使うのは初めてなので、本来ならサビラギ様にお伺いを立てておきたかったところなのだが、本人が気を失っている上に緊急事態なのでしょうがない。
と、いうのも、この階層が崩壊しかかっているのだ。
まるでブロックノイズのように空間が砕ける?という表現が近いのか、なんともいえない状態ではあるのだが、この広い空間でもそう長くは持ちそうにない。
上の階層に移動するのも手ではあるのだが、サビラギ様自体が動かしても大丈夫な状態か分からない今、チャチャにかけるしかなさそうだ。
「いくにゃ!【神使化】』にゃ!」
チャチャのその声に合わせ、胸元の聖印が白く光り、その輝きは黒地のワンピースを浸食していくかのような勢いと輝きで身体を包み込み、そのシルエットを露わにしていく。
グングンと背が伸び、身長も年齢もサオリさん以下、ミツキ以上くらいの印象に成長して、スレンダーな体型の女性へと姿を変えていく。
金糸を思わせるつややかな髪はそのままで、つむっている目に金色のアイラインが引かれた。
チャチャの肌が白いせいか、金色でもはっきりとラインが見えるが、よく見ると極細の黒で縁取りがされているのは以前と同じだ。
同じような描かれ方で、チャチャの両方の頬に3本ずつ、猫の髭というより外側から内側に引っかかれた傷跡にような形で縁取りされた金のラインが描かれ、唇は流石に同じような濃い色ではないが、色素の薄いチャチャの唇に、ラメとはまた違った感じで、金色のリップクリームをひいたように淡く金色が入っている。
手の爪も唇と同じような色合いに染まり、先は鋭くなってより猫に近い印象を受けるな。
少し大きくなった以外は、あまり変わらなかった猫耳をピクンピクンと動かして、手足の長さを確認しているうちに聖印の光がやみ、神使にして勇者チャチャが、ここに顕現した。
サオリです。
レインさんが急に全裸になったのでびっくりしましたが、無事、敵を倒せたようでなによりです。
でも、流石に全裸は……あ、ミツキちゃんがロマおじさまの目隠しをしてくれていたのですね。
次回、第八八五話 「神力」
それにしても、お母様、大丈夫でしょうか?




