第八八二話 「星の根」
【神使化】第7位階 【赫身】
サビラギ様の身体、といっても肌が出ているのは顔と角だけだが、真っ赤に染まり、そこに隈取りにも似た白い模様が浮き上がり、角にもお互い緩やかな螺旋を描くように、赤と白の模様が天に向って伸びる。
身体の色に反するように髪の毛は真っ白に輝き、よりその身体の赤さを強調しているようだ。
身体のサイズ自体は変わらないか、少し大きくなっているのか、心持ち革鎧が、きつそうに見えなくはないが、全身から迸る神気によってそう感じるのかもしれない。
手に持つのは、いわゆる『七支刀』。
両刃づくりの1本の剣の両側に互い違いに小枝のように剣を3本づつ派生された特異な形をした剣だ。
それぞれの剣先に、光、炎、雷、風、水、氷、そしてたぶん土の属性が宿っているのが鑑定しなくても見て取れる。
「本気で行く、皆、防御に備えよ。」
そういってサビラギ様が刀を構えた瞬間、淫スキル【マゾヒスト】がその太刀筋と効果範囲を警鐘してくる。
壁から伸びた星の根の長さはおよそ5m。
ガラスケースとそれに沿うようにいる私からは4mほど離れており、サビラギ様の斬撃は壁の根本から10センチづつくらいの間隔で、バナナカッターよろしく7つの斬撃が同時に星の根を伐採する攻撃らしい。
威力を察してか、遠くのサナ達から私に防御魔法が飛んでくる。
「【金剛結界】七枝刀七葉斬!、今、奉る!」
サビラギ様の神気を伴った裂帛の気合とともに7枚の斬撃が飛び、星の根を根本からスライスしていく。
「やったにゃ!」
まて、チャチャ、それは失敗フラグだ!
サビラギ様の攻撃は見事に星の根を伐採したが、一瞬の間を置いて、まるで映像が早戻るように元の形へと戻っていく。
と、同時に、サビラギ様が倒れた。
咄嗟に淫スキル【性病検査】で鑑定すると、体力、魔力、気力、そして追加ゲージの神力が著しく減っている。
呪いのような反撃を受けたというよりは、力を使い果たした、という雰囲気だ。
逆に星の根の方は、見た目ダメージが無いように見えるものの、実際には相当のダメージを受けている。
が、その体力ゲージが異常なのだ。
その数字、およそ2000。
それに加えて、追加体力ゲージが10本というデタラメ加減。
ちなみに淫魔の姿の私で1300ちょっとで、追加体力ゲージが1本といえば、そのデタラメ加減が分かるだろうか?
そのデタラメな体力ゲージのうち、1撃で7本の追加体力ゲージを持っていったサビラギ様の攻撃もまた、デタラメな攻撃力ではあるが、倒すに至らなかったのもまた事実。
と、いうことは、ここから先は勇者の初仕事の時間だ。
▽▽▽▽▽
地母神様の勇者として直接本神から帰依した私も、そしてチャチャも当然、神属性を持っている。
厳密にいうと神属性(地)なので、実は星の根の神属性(天)には相性が悪く、神属性(海)には相性がいい。
ちなみに神属性(海)は神属性(天)に相性が良いので、ここで三つ巴状態になっているというわけだ。
それがそのまま、勇者同士の相性に直結するのだが、同じ条件のサビラギ様が7本持っていったのであれば、残り3本、いや、本体ゲージをいれて4本は、なんとか削り切れるはずだ。
というか、サビラギ様が削ってくれたこのタイミングを逃したら、星の根を倒すのは無理だろう。
治りはしたものの、サビラギ様の攻撃が相当痛かったのか、身を捩るイモムシのように身体を、大きく振り回す星の根だったが、その端先は相変わらずガラスケースの方、つまり、私の方に向かってきている。
ここは覚悟を決めてやるしかない。
▽▽▽▽▽
「デカいさつまいもを正面から見ているみたいだな。」
そんな不謹慎なことを考えながらも、淫魔法【コスチュームプレイ】を解き、全裸となる。
その上で、種族特性【淫魔の羽根】で羽根を生やし、飛行能力+淫魔ランクを2アップ。
全裸なので、淫魔ランクに依存する調理スキル兼、露出度に応じて魔法使用の際にボーナスがつくスキル淫スキル【裸エプロン】も発動。
そのまま、飛行して、なるべくガラスケースから遠い位置で星の根の上にしがみ付くように跨る。
よし、全裸で密着のため、精技の成功率を淫魔ランクに応じて上げる種族スキル【テクニシャン】はもちろん、特定のスキルの成功率に淫魔ランク分のボーナスを得る淫スキル【騎乗位】も発動している。
一定の距離内で恥骨の位置が対象より高い位置にある場合、という条件なのによく発動したな。
星の根の恥骨ってどこだ?
いや、それに相当する繁殖補佐器官より上だったというガバガバ判定なんだとは思うが。
性別判定はないようなので、淫魔ランクに応じてボーナスを得る種族スキル【フェロモン】は、今回はお預けだ。
そして今、必殺の、
「【真・ドレイン】!!」
サナです。
お婆ちゃん大丈夫!?
マミ先生が見てくれているから心配は無いと思うけど、それにしても、お婆ちゃんで倒せない敵に、相対しているお父さんも心配です。
次回、第八八三話 「勇者の力」
あっ、今、お父さんの力が流れ込んできました。




