第八五六話 「検証結果」
「た、たべすぎたにゃぁ……。」
「ううう……つい、つられて食べ過ぎたッス……。」
「あら、ミツキちゃん、普通に箸伸ばしていたじゃない。」
みんなで「ごちそうさま」をした後、一気に仰向けにぶっ倒れたチャチャとミツキにツッコんでいるサオリさんだって、いつにない量を食べている。
私は途中でお腹の紐を緩めていたのを見逃したりはしないのだ。
「でも、美味しかったにゃぁ!」
「いや、美味しすぎッスよ。予想以上ッス。」
「本当に美味しかったわね。」
三者三様の格好と動きで膨れたお腹を撫でる三人。
「お父さんはどうでした?」
「もちろん、美味しかったよ。チャチャやミツキほどじゃないけど、ちょっと食べ過ぎたくらいだ。」
「えへへ、なら良かった。」
嬉しそうに花が咲いたような笑みを返すサナ。
まあ、まだその格好は裸エプロンのままなのだが。
「ねねさん、お片付けのお手伝いしたいにゃけど、チャチャまだ動けそうにないにゃ……。」
「あー、アタシもちょっとまだ無理っぽいッス。」
台所組のチャチャとその補佐ミツキがそう、いかにもこの美味しいご飯のお礼をしたいというような感情を込めながら手伝いたいが、動くとせっかく美味しく食べた分が出てしまいそうな感をありありと出している。
「それなら今日は、私が運ぶくらいは手伝おう。
それくらいならいいだろう?サナ。」
「んー、うん。じゃ、今日はお父さんに手伝って貰おうかな?」
おお、めずらしくサナのお台所への許しが出た。
今回は大皿に小鉢、茶碗蒸しセットに、お椀に茶碗、味が混ざらないようにか小皿が多めに、コップが人数分と、流石にサナ一人で一気に片付けるのには、大変な量だ。
娘たちと同じく私としても美味しい料理のお礼はしたいので、是非手伝わせて貰おう。
▽▽▽▽▽
「そっか、お父さんだったら、そういう運び方も出来るんだ。」
「サナ達だってアイテムバッグの魔法覚えたんだから、似たようなことは出来るはずだよ?」
「そういえばそうだった。」
ひょいひょいひょいとテーブルの上の食器をメニューの中のアイテム欄に仕舞い、サナを促して淫魔法【ラブホテル】で繋げたいつもの別荘へと誘う。
食器の量が多いので、離れの水桶から落ちる水を使うよりは、別荘の水道を使ったほうが洗うのが楽だろうという判断だ。
それになにより、別荘には食器用洗剤とスポンジが常備されているので、本気で洗い物をするなら、どう考えてもこちらの方が速いし綺麗だろう。
サナの指示する順で台所のシンクの横に食器を出していき、サナが間髪入れずそれを泡にまみれたスポンジで綺麗にし、シンクの中のスペースへと積み上げていく。
ある一定の量になったら、それをサナが水道ですすぎ、濡れた食器はそのまま私が受け取り、水分と食器を分けてメニューのアイテム欄へとしまっていく。
一応、これは私のアイディアだ。
本来なら、水切りかごに食器を並べていくのだが、乾くのを待たないで済むので、こっちの方が手っ取り早い。
メニューのアイテム欄にしまうとはいったが、実際にこっちにしまっているのは水分だけで、食器自体は、さっき話題にでたアイテムバックのスペースに作った食器フォルダに収納している。
これならば、後からサナ側のアイテムバックからも取り出せるはずだ。
淫スキルのお陰で【調理】スキルが4相当になっているサナと、元々淫魔ランクが5なので、淫スキル【裸エプロン】の効果で【調理】スキルが5相当になっている私の組み合わせだ、あっという間に食器の片付けも終わってしまった。
ちなみに私がチャチャやミツキのように食べすぎなかったのも、この高い【調理】スキルで対抗できたからだったりする。
「お父さん、ありがとうございます。」
ペースが速かったのか、うっすらと汗をかき、高揚したサナの顔がちょっと色っぽいin裸エプロン。
「あー、サナ。
お父さんの方は一つ謝らなきゃならないことがあるんだ。」
「ん?なんですか?」
不思議そうな顔をして小首をかしげるサナ。
身長差があるので、流石にサナの胸が控えめであっても、この角度からなら、谷間になろうとしている空間が見える。見えてしまう。
「淫スキル【裸エプロン】は、【調理】スキルとして使うだけなら、別に脱がなくてもいいんだ。
脱いだほうが良いのは魔法の効果を上げたい時だけ。
あと、そんな色っぽい格好をしているとだな、」
「え?えっ?」
「襲われてもしょうがないというものなのだ。」
「えーっ?!」
▽▽▽▽▽
しまった、「レベル上げ」も兼ねてのつもりだったが、そういえば今日の早朝、サナにたっぷり念を入れて起こされたので、サナの今日の分の「レベル上げ」は終わってるんだった。
普通に性欲だけで致してしまって、非常に反省しているのだが、「お父さんが自分から抱いてくれるなら、たまには着ちゃおうっかなー。」と、サナがご機嫌なので、まぁ、良しとしよう。
いやいや、こういうところからモラルは崩れていくのだ、自重、自重。
サオリです。
本当に今日のお料理は美味しかったですね。
赤角亭のお料理にも下手をしたら匹敵すると思います。
私もその淫スキルというのを覚えれば、似たようなことが出来るようになるのでしょうか?
次回、第八五七話 「性技と淫スキル」
レン君の話だと、そう遠くない話らしいんですが……。




