第八五三話 「隠居」
「お母様は別、というか別次元ですが、もっと物理的に力のあるものが族長になるのが本来の亜人族のならわしですし、新しい血とそれがもたらす強さこそがサオトメ家の存在意義ですので、そういう意味では伯母様も、わたしも、そして、ミナも族長としては不当な存在でした。」
なにしろ、その影響で、あの本来傍若無人のお母様でさえ、里では四家に相当気を使っているくらいですしね。と、サオリさんは言葉を結ぶ。
言われてみればサビラギ様、外での印象と里の中での印象はかなり違うというか、里ではかなり腰が低い。
本人は強大な力を持っていても、先代からの流れや、次代へのつながりのことを考えれば、そうそう他の家に強くは出れないものなのだろう。
今の実際の強さはともかく、「腹病みのサオリ」と蔑まれていたサオリさんと、13歳という若輩者のミナちゃんでは、確かに「弱い族長」といわれてもしかたなく、それでは付いてこない者たちもいるのであろう。
サビラギ様が自分の寿命を気にしていたのは、この島全体のことだけではなく、この里でのことも心配していたのだろうな。
うーん、一段落したら、ミナちゃんのパワーレベリングも考えておいた方が、サビラギ様やサオリさんのメンタル的に良いような気がする。
もちろん、いつもの「レベル上げ」以外の方法でだ。
「首都、トラージへ向かう関係で、お母様もわたし達も、しばらく里を空けますし、その感、ミナ一人では不安に思うことも多いとはおもいますが、幸い、サナブリ様もお元気になられたようですので、もしもの場合は、そちらを頼るように、と話をして帰って来たところです。」
そういってまた湯呑を傾け、ホッとまた息を吐くサオリさん。
表情は若干不安げというか、罪悪感なのか、少し辛そうな顔をしている。
本来は自分が担う仕事を、娘に丸投げをしてしまっている状態だ、そう思うのも仕方がないのだろう。
「サビラギ様から聞いたのですが、ミナちゃんは転生者で、26の歳の時に、こちらの世界に転生し、その時点で既にサオリさんの一つ下、そこから13年の年月を過ごしているのだから、精神年齢は39歳。
孫がいてもおかしくない歳だといってましたよ?
だから厳しく当たるのだと。
だからサオリさんも、あまり気負うことはないと想います。」
里の風習で床入りして来た時に、それこそ「レベル上げ」で、レベルも24まで上がってるしな。
一般的に考えれば、13歳の割に24レベルというのは相当レベルが高いはずで、一目置かれるというか、今後も強くなる可能性や、2度目の人生な分、本人なりに器用にものをこなしている分、サオリさんが心配するほどミナちゃんの未来は暗くないと思う。
今回の遠征中はともかく、普段はサビラギ様や、サオリさんも近くにいるわけだしな。
って、どこかでサオリさんの強さを見せつけておいた方が、長期的な里の運営的には安定するのか。
うむ、遠征から帰ってきたら、少しその辺りも考えておこう。
「そうか、そうですよね。
それじゃ、わたしも、ゆっくり隠居生活をおくっちゃおうかしら?」
そういって、ぽてっと、頭を私の肩に預けてくるサオリさん。
「しばらくはサビラギ様に振り回されそうですが、族長の件については、サオリさんは肩の荷を下ろして、これからは自分の好きなこと、やりたいことをやっても良いと想いますよ?」
「そうですねぇ……。」
目を閉じ、そっとうつむき、頭だけではなく身体も私に預けてくるサオリさん。
密着してくる柔らかい身体が少し汗ばんできて、その体臭とサオリさんの髪の毛から香る大人の女性の匂いとともに、鼻というか、全身を刺激してくる。
「急にそういわれても、すぐには浮かびませんが、一つだけ、ありました。」
「なんです?」
上目遣いに私を見つめるサオリさんの目に艶っぽい雰囲気が灯る。
「族長の家の女としてではなく、一人の女として、レン君の赤ちゃん、生みたいなぁ。」
▽▽▽▽▽
>サオリは淫魔の契りにより主を倒した
>590ポイントの経験値を得た
>ランク差ボーナスとして1,000ポイントの経験値を得た
>レベル47になった。
>レンは淫魔の契りにより眷属を倒した
>20ポイントの経験値を得た
>サオリは淫魔の契りにより主を倒した
>460ポイントの経験値を得た
>ランク差ボーナスとして1,000ポイントの経験値を得た
>レンは淫魔の契りにより眷属を倒した
>20ポイントの経験値を得た
>サオリは淫魔の契りにより主を倒した
>460ポイントの経験値を得た
>ランク差ボーナスとして1,000ポイントの経験値を得た
▽▽▽▽▽
「もちろん、正妻のサナの後で構いませんからね?」
と、小悪魔チックな笑顔で微笑むサオリさん。
こういう時の普段とのギャップがズルい。
「あ、でも、30を迎える前には生んでおきたいかも?」
え?、サオリ27歳さん、それって結構、はやく孕ませろって遠回しにいってません?
サオリです。
ご奉仕しすぎって怒られちゃいました。
もう前みたいに熱心にしなくても、地母神様が望む数まではそう遠くはないそうです。
次回、第八五四話 「淫スキルの成果」
レン君の情けない顔、好きなんですけどね?
むしろ中に出して貰う数の方が少ないみたいなので、次も今回以上に甘えちゃおうと思います。




