第八五一話 「特訓を終えて」
その後、2~3の注意事項と、ちょっとした相談を受けた後、サビラギ様とは別れることになった。
と、いうか、淫魔法【ラブホテル】を早乙女家に繋げて送っただけだが。
流石にサビラギ様といえども、気疲れしたようで帰ったら、もう寝るようなことをいっていたが、なぜか表情が晴れやかだったのが印象的だった。
サビラギ様にとっては、実験動物扱いといえるほどの儀式を経て身につけた【神使化】だったが、チャチャが【神使化】を使えることになったことにより、この世でたった一人の異形では無くなった事とかが心の孤独を軽くしたのかもしれない。
『勇者を倒すためではなく、神使チャチャを導くために、ワシはこの力を先に授かった。
そう考えてみたいものじゃ。』
そういって愛おしそうにチャチャの頭を撫でていたサビラギ様が、本当にそう思えたのであれば、私も頼んで良かったと心から思う。
さて、チャチャは余程疲れたのか、相変わらず子猫の姿で抱っこされている。
チャチャは普段の長い金髪のイメージから、猫になるなら茶トラかな?と思っていたが、種族が白猫族というだけあって、真っ白な身体をしている。
その代わり、まだ寝ているので、はっきりとは言えないが、目は金色だったような気がする。
それはさておき、サビラギ様のスパルタ方針で思ったより時間はかからなかったものの、それなりの時間になっているはずなので、このままチャチャを抱っこしたまま、離れへと戻ろう。
▽▽▽▽▽
「ただい……ま?!」
「あ、お父さん、おかえりなさい。」
いや、おかえりなさいはいいけど、なんで、サナさん、裸エプロンなの?
「あれ?ちーちゃんはどうしたんですか?」
「いや、サナのその格好がどうした?」
恥ずかしがる様子もなく、チャチャの姿が見えない事を気にするサナだが、それどころじゃない。
っていうか、チャチャが寝ていて良かった。
「えーと、検証中。らしいです。」
「検証中?」
「そうッスよ。」
私達の声を聞きつけてきたのか、ひょこっとミツキが扉の隙間から顔を出してきた。
「パパにはこれッス。」
「ん?飲み薬?」
「気力回復剤を作って見たッス。飲んで感想が聞きたいッスよ。」
手渡された小瓶を淫スキル【淫具鑑定】で鑑定すると、たしかに初級気力回復剤だ。
蓋を開けて飲み干してみるが、効果もちゃんと発動するし、味も悪くない。
普通に売れそうなレベルだな。
「ずいぶん上手に作ったねミツキ。本職みたいだ。」
「そこッス、アタシ、スキル【錬金術】を覚えたッスよ。」
なんだと?
▽▽▽▽▽
ミツキの話を掻い摘んで話すとこういう話だった。
端的にいってしまえば、淫スキルという新しい力を得たのだから、その検証をしていたらしいのだ。
ミツキが注目したのは、まずスキル【性技】のランクを淫魔ランクとみなす淫スキル【淫魔】
それから医療知識スキルの【婦人科】、そして、制作スキルの【淫具制作】だ。
ここまで聞けば話は分かる。
私の場合、アイテム欄の中で調合をしてしまうが、ミツキはこれらのスキルを組み合わせた上で、真っ当な方法で気力回復剤を作ってみたのだろう。
気力回復剤は初歩の薬の中では意外と作るのが難しい薬なので、結果、【錬金術】が鍛えられ、数々の淫スキルがそれの成功率と成長率を底上げした結果、今回のように【錬金術】のスキルを得ることが出来たのだろう。
「本当に薬師になれちゃったな。」
「さすがにスキル使いすぎでヘトヘトッスけどね。」
パッシブスキルの【婦人科】や、アクティブスキルだがスイッチを入れる感じの【淫魔】はともかく、【淫具制作】は普通に気力使うしな。
それでも私のように全部アイテム欄でやってしまうよりは、気力の減りは少なかっただろう。
肩を落としてヘトヘト感をアピールするミツキに淫魔法【精力回復】をかけて回復してやる。
「ってことは……」
「そうッス。サナちーには、同じく【淫魔】と淫スキル【裸エプロン】を使って、【調理】スキルを上げる実験をして貰っているッス。」
ありのままを受け入れるサナと違って、ミツキは力と知識に貪欲というか、色々考えてるなぁ。
ぷりんとエプロンからハミ出た、剥いた後の水蜜桃のような白くてエロく、可愛らしいサナのお尻を見ながら、そんなことを考えてしまった。
うん、確かにいつもに比べて、自分ながら手際が良くなっているような気がします。
調味料の量も必要な量が手にとるように分かるし、火の強さや水の量、全てに感覚が鋭くなっているような感触です。
次回、第八五二話 「裸エプロン」
ミツキちゃんにいわれて、あえていつもと同じ料理を作ってみてますけど、これ、味としては別物に出来上がりそう……。




