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第八四〇話 「謁見を終えて」

 「あ、そういえば、最後に、アイテムバッグの魔法の話をしておくわね。」


 ガッツポーズから直立の姿勢に戻り、胸元くらいの高さに人差し指で軽く円を描くように動かす。


 そうすると、その円が白く切り取られたように空間に穴が空いた。


 「こんなふうに、頭の中で『アイテムバッグ』と唱えるか、口に出しながら、その入口を作るの。


 やってみて。」


 地母神様に促され、私も含め、全員が同じように真似をする。


 おお、出来た出来た。


 「前にも話したけど、容量は自分のランクに応じて、ランク0で自分の体重の1/2の重さから。


 あとは、ランクが上がるたびに倍々と増えていく感じよ。


 眷属はそれぞれのマジックバックの容量と空間を持っているけど、主たるレインだけは、全員の空間に干渉することができるわ。


 眷属の荷物を異空間から直接回収したり、あるいは自分の荷物を直接配分したりってことね。


 って、これも前話したわね。


 えーと、後は、うーん、レインしか意味が分からないだろうけど、主は共有フォルダ的なものを作ることができるわ。


 簡単にいえば、さっきの逆で、眷属から主のマジックバック空間に干渉できる部分を作れるということね。」


 なにげに地母神様、飛ばされた先の知識使いこなしているな。


 「なら共有する荷物は私の共有フォルダに、プライベートな荷物はそれぞれのマジックバック空間に、という感じですね。」


 「そうね、この空間に手を入れると中に何が入っているか頭に浮かぶし、頭を入れれば見ることも出来るけど、中に入ろうとしちゃ駄目よ?


 生き物は入れられない空間だから、身体全部は入らないけど、万が一ということもあるからね?


 頭に浮かんだ状態で中に入れたものを選ぶと、中に入れた物に触ることが出来るから、そのまま引っ張りだせばいいわ。


 逆に入れるときは、そのままポイッと投げ入れても大丈夫。」


 そんな雑な。


 「共有はともかく、フォルダを作ることは眷属でも出来るから、それに整理した方が使いやすいとは思うわよ?


 ちなみにフォルダについては、後でレインに聞いてね。」


 さらっと丸投げされた。


 そうこうしているうちに、地母神様の姿に、まるで受信状態の悪いテレビのようにノイズがかかる。


 「そろそろ時間切れみたいね。

 マジックバッグの魔法については、習うより慣れろで色々試してみるのが一番よ。


 じゃ、最後に……



 では、また会えるのを楽しみに待っているわ。


 眷属の子達が頑張ってくれるのは嬉しいけど、無理しちゃ駄目よ?

 じゃあね。」


 そういって笑顔で手を振る地母神様。


 最後の間は、たぶん前回同様、個別にサナ達眷属に何か個人的なアドバイスをしたのだろう。


 ノイズがかかりながらも、そのまま台座の上の魔法陣に吸い込まれる、というか足元から沈んでいく地母神様。


 今回は真横にいるので、なかなかシュールな光景だ。


 地母神様が消え去ったのを確認して、祭壇を降り、皆んなの所に戻ったくらいのタイミングで、また、四方の壁、いや空間にヒビが入り、そして音もなく割れた。


 離れの店舗前、その広場に戻ってきたのだ。


 「ふぅ、何度お会いしても緊張してしまいますね。」

 「うん。」


 サオリさんとサナの二人は、元々地母神様に直接お仕えていた種族ということもあって、思うところもあるのだろう。


 そうでないミツキだって、今回は口答えに近い声掛けをしてしまったためか、今は緊張の糸が切れて、がっくり肩を落としている。


 元気なのはチャチャくらいだな。


 と、そのチャチャと目があった。


 「ととさん、お願いがあるにゃ。」


 珍しいな、チャチャがお願いなんて。

 そんなことを思いながら、チャチャの頭を撫でながら、「なんだい?お願いって?」と聞いてみると意外な言葉が出てきた。


 「お婆ちゃんの所に連れて行って欲しいにゃ。」


 お婆ちゃんって、サビラギ様のところに?

 サナです。


 地母神様に、あたしには期待しているとのお言葉を頂いてしまいました。


 これからも頑張ります!


 って、頑張り過ぎちゃ駄目なんだっけ?


 次回、第八四一話 「神殿の報告」


 地母神様にとっては、時間自体の感覚が違うので、あたし達の時間の感覚で急ぐことはないというお話でしたけど……どうしても気が早ってしまいますよね。

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