表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

823/979

第八二二話 「儀式の日」

 「それではおやすみなさい。」

 「はい、おやすみなさいー。」


 酔いつぶれたミナちゃんに肩を貸しながら、そのミナちゃんの手を持って振るアエさん。


 地味に二人とも結構酔っぱらってるようだ。


 私達も早乙女家を後にし、淫魔法【ラブホテル】でいつもの別荘へと引き上げる。


 「明日は、アタシとチーちゃんで朝ご飯作るから、サナちーはゆっくりしていていいッスよ。」


 「まかせるにゃ!」


 久しぶりあるいは初めて姉妹で飲んだのかもしれない、ベロベロに酔っぱらったサオリさんとサナを見て、そう宣言するミツキと小さなガッツポーズを見せるチャチャ。


 二人はほとんど飲んでいないようだ。


 あと、もしも朝早くに誰かが離れに訪ねてきてもいいように、二人は離れの和室で寝ると、別荘を出て行った。


 朝ご飯の支度の準備もあるのだろうと思い、送り出して居間へと帰ってくると、サオリさんとサナがおらず、風呂場の方から二人の声がする。


 軽く汗を流してから寝たいという気持ちは分からないでもないが、大丈夫だろうか?と、思いつつ、奥の寝室に二人用の布団を敷き、居間側の寝室に自分用の布団を敷いて横になる。


 種族特性【性病破棄】で酔いを消してしまえば明日の朝が楽なのだが、このまま酔いのまどろみに任せて眠りにつく欲望に負け、そのまま、眠りにつく。


 たとえ二日酔いになったとしても、その時、酒毒を消せばいいんだしな。


 明日は奴隷解放の儀式の日で、なにかとバタバタするだろうから、さっさと寝てしまおう。



▽▽▽▽▽



 「パパ、パパ。」


 まどろんでいる私を揺らしながら、そう声をかけられる。


 「……んあ?ミツキ?

 どうした?もしかして夜這い?」


 「違うッスよ!

 いや、サナちーとかママさんとかと真っ最中だったら、明日にするつもりだったんスけど、パパ一人みたいだったから声かけたんス。」


 ああ、正直なところ、酔ったサオリさん本命、対抗サナ、大穴二人がかりで、夜這いされそうな気がしてたので、思わずミツキにもそう聞いてしまったのだが、どうやらミツキには違う用事があるらしい。


 「なにかあった?」


 「食材バッグッスよ食材バッグ。

 明日の朝ごはんの材料、たぶん冷蔵庫に移し替えてないッスよね?」


 食材バッグは文字通り食材の入ったカバンで、肉用とか、野菜用とか何種類かのものがあり、普段は私のメニューのアイテム欄に仕舞ってある。


 普段なら、これを淫魔法【ラブホテル】で、この別荘に繋げ、入室した時に、アイテム欄から出してサナに預け、必要な分を冷蔵庫に入れ、使わないかった分はバッグごと回収するという、結構面倒なことを毎日したりしている。


 離れが使えるようになってからは、常温保存ができる根菜などは、そちらの台所などで保管しているが、生ものなど生鮮食料品はこうしないと日持ちがしないので、面倒だが、しかたなくそうしているのだ。


 その代わり、元の世界と変わらない、どころか、それ以上美味しいご飯が食べれているので文句はない。


 まぁ、元嫁の亡くなる前は、精神を病んでいて、ほとんど料理なんて作らなかったし、私が代わりに作ろうとすると、嫌みかとキレられたりしたという状態なので1年近くまともな手料理なんて食べてなかったので、なおさらありがたく感じているのだが。


 それはそうと、


 「そういや、今日はサナもサオリさんも早々に風呂に入って寝てしまったようだから、食材バッグ、私が持ったままだな。」


 「やっぱりそうッスか。

 ひょっとしたらサナちーが適当に冷蔵庫へ食材入れてくれてるかもとは思ったッスけど、念のため来て良かったッス。」


 布団に寝転がったままの私の顔を覗き込みながら、そういってほっとした顔を見せるミツキ。


 「チャチャは一緒じゃないのかい?」


 「チーちゃんは、もうグッスリ寝ちゃってるッスよ。

 アタシも眠りかけてたんスけど、ふと思い出して起きてきたんス。

 パパも朝早く起こされるよりは、寝る前の方が良いッスよね?」


 「そうだな。

 それじゃ、とりあえず台所へいくか。」


 「はいッス。」


 ミツキに手を貸して貰いながら身を起こし、そのまま台所へ向かい、冷蔵庫前にある食卓テーブルに食材バッグを次々と出していく。


 ちなみにこの食卓テーブルだが、4人用なので実は食事の際には、ほとんど使ったことがない。

 

 居間にある一回り大きい座卓まで料理を運んで、というのが大体のパターンだ。


 ただ、こうして食材バッグを置いたり、盛り付け作業をする時などには重宝しているらしい。


 並べられた食材バッグの中から、明日のメニューを想像しながらなのか、何回か天を仰ぎながらも食材を取り出し、冷蔵庫の中へと収めていくミツキ。


 途中からは、完全に方向性が決まったのか、手際よく手を動かしながら、私に話しかけて来た。

 ミツキッス。


 今晩のパパ当番は決めてなかったんスけど、ママさんが酔ってその気になって、パパと、とか、勢いと使命感でサナちーも一緒に、とか、パパに声をかけられない状態も十分にありえたので、珍しく一人で寝ていてくれて助かったッス。


 次回、第八二三話 「ミツキと夜這いと求める気持ち」


 逆にいうとアタシが夜這いするチャンスでもあるんスけど……うーん。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ