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第八一五話 「一休み」

 「ただいま。」

 「おかえりッス。」

 「おかえりにゃー。」


 「あれ?ミツキとチャチャだけ?」

 「そうッス。」

 「お留守番にゃー。」


 なんでも、サナやアエさんも四家への連絡員に駆り出され、子どもたちは旦那さんが引き連れて今晩は親戚の家へお泊りなのだそうな。


 これ、今晩、絶対重たい話をする流れだな。


 ちょっとうんざりしながらも、座卓の前に座ると、ミツキが麦茶を、チャチャが、

なんだこれ?ベーグルサンド?ハンバーガー?のような、料理を2つ皿に乗せて運んできた。


 「焼きたてほどじゃないッスけど、中々の出来ッスよ?」

 「このパンはチャチャが焼いたやつにゃ!」


 ベーグルみたいに穴が開いているのではなく、へこんでいるだけかこれ。


 中身はきゅうりとハムのサンドと、ベーコンとスクランブルエッグのサンドだ。


 「おお、上手に焼けてるね。

 さっそくいただこうか。」


 チャチャの頭を一撫でした後、まずはベーコンとスクランブルエッグのサンドにかぶりつく。


 ふむ、味付けはミツキ監修なのか、胡椒多めの濃い目辛口でガツンと美味しい。

 ビールとかにも合いそうだ。


 「これは美味いな。」


 「やったにゃー!」

 「いえーいッス!」


 チャチャとミツキがそういってハイタッチしている。


 このまま食べきってしまっても良いが、もう片方も食べ比べてみよう。


 ガブリと噛むと、きゅうりの風味をハムの風味が追いかけて来て、粒マスタードとマヨネーズがそれらの味を調えている。


 「うん、こっちもさっぱりとして美味しい。」

 「そっちはサナちー監修ッスけど、作ったのはチーちゃんッスよ。」


 と、いうことは、やっぱりあっちはミツキ監修なんだな。


 「凄いねチャチャ、両方美味しいよ。」


 「うにゃ~照れるにゃー。」


 身を捩じって照れているチャチャだが、凄く嬉しそうだ。


 「ミツキ、私の代わりに撫でてやって。」

 「了解ッス。」


 まるで食いしん坊のように、両手にそれぞれのサンドを持ってしまっているので、チャチャを撫でるのはミツキに任せ、チャチャのご飯でお腹と心を満たしていった。



▽▽▽▽▽



 「婿殿、頼みがある。」


 座敷牢から戻ったサビラギ様に声をかけられた。


 なんでも頼みというのは、マミ先生とヤコさん、そしてできればロマもこの里に、というかこの家に連れてきて欲しいとのことだった。


 淫魔法【ラブホテル】のことは、この3人なら知られても構わないので、なるべく早くとのお願いだ。


 「カレルラさんは連れてこなくていいんですか?」


 「カレルラも連れてきて一緒に話を聞かせた方が、ワシとしては話が早いのだが、今の四家にイズライトの話を聞かせるのに、新しく人族を入れると、もめる可能性がある。


 悪いがカレルラには、後から他の者経由で聞いてもらうこととしよう。」


 「わかりました。

 ミツキとチャチャは連れて行っても大丈夫ですか?」


 「ああ、問題ない。」


 なにやら、離れた場所でミナちゃんを励ますように話していたミツキとチャチャを呼び寄せる。


 っていうか、いつのまに仲良くなったんだろう?

 いや、二人共コミュ力強いから不思議ではないんだが。


 「それじゃ、さっそく行ってきます。

 二人共、エグザルの街まで、人を呼びにいくから、手伝って。」


 「了解ッス!」

 「わかったにゃー!」


 そういって敬礼をする二人。


 どこで覚えてくるんだこういうの。


 とりあえず、サビラギ様とミナちゃんと分かれ、また蔵の扉から淫魔法【ラブホテル】でいつもの別荘経由でエグザルの探索者ギルドまで戻って来た。


 「私はロマさんを探しに行ってくるから、二人はやしろまで行って、マミ先生とヤコさんがいるかどうか確認して、いたらサビラギ様の使いで来たと呼び出しておいて。


 いてもいなくても念話で連絡をくれると助かる。


 社へは迎えに行くから、そこで一緒に待機してもらっていい。」


 たぶん普段は待ち伏せで会うことが多いロマをこの時間帯に探すほうが時間かかりそうだしな。

 チャチャにゃ!


 なんだかサンド、上手に出来たにゃ!

 お昼にミナお姉ちゃんも美味しいっていってくれてたし、ちょっと自信ついたにゃ!


 次回、第八一六話 「スチールの探索者」


 妹たちに食べさせてあげるのが楽しみにゃね。

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