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第七話 「奴隷」

今回は主人公とは別視点となります。


 母の族長就任祝いにと少し遠くの街の温泉に行ったのはもう何か月も前。


 義父が生きていたころは度々いっていた小旅行も、その時は久しぶりだった。

 母と双子の姉との小旅行はとても楽しかった。


 あの時、露店の林檎飴につられて離れなければ……。


 背後から口元を布で押さえつけられ、変な臭いを嗅いだ瞬間からもう意識はなかった。

 目隠しをされた状態で耳に聞こえてくるのは、人さらいどもの人でなしの言葉。

 聞こえてくる内容だと私は人族のこどもと間違われて攫われたらしい。

 ほかにも何人かのこどもや女性が一緒らしい、すすり泣く声が聞こえていた。


 目隠しが取られたのは、馬車かなにかで運ばれ、なにか魔法をかけられた後だった。

 「それ」が隷属の魔法だったのを知るまでにはそんなに時間はかからなかった。


 攫った相手の顔を見るのもこの時が初めて。

 こんなに醜い瞳を見たのも初めてだった。

 まるで腐った蛙の卵のよう。


 契約の中にはこの人たちのことを誰にも話してはいけないという制限がされたと聞いた。

 試しに話してみろといわれ、試そうとした隣の子が嘔吐するのを楽しそうに見ている蛙男達。


 この後、別の場所で私達は自ら身売りした奴隷として売られるらしい。

 幸いにして価値が下がるという理由で身体に手を付けられることはなかった。

 手を付けても価値が下がらない娘は道中、人さらいたちの慰み者にはなっていたが。

 ぼんやりと人族の男は年中発情期だというのを思い出していた。


 自分にもし戦う力があったら。

 もっともっと力さえあれば、この蛙男達に抵抗出来たのだろうか?

 ほかの皆を助けられただろうか?

 今更どうしようもない「たられば」を考えながら馬車で揺られていった。

 

 その後、何日もの移動で何箇所もの町を経由した後、あたしたちは大きな街の奴隷商人のもとに売られた。


 奴隷商人のもとでは、人族の言葉や風習、礼儀を教え込まれた。

 人族の世界での生活が長かった祖母から聞いていたおかげで、あたしは比較的優等生だったと思う。

 数少ないながら白鬼族以外の亜族の子たちもいたので、お互い教えながら助け合いながら数か月が過ぎた。


 差別意識の高い人族の中で亜族の需要は低いらしい。

 最終的には一部の好事家の元か探索者相手の娼館、あるいは鉱山などに売られるのがほとんどだそうな。


 あたしを買ったのは、どうやら貴族らしい。

 しかも結構位が高めの。

 奴隷商人がものすごく恐縮していた。


 今晩の「変わった遊び」のためにあたしを買ったらしい。

 金貨20枚、質素に暮らせば1年は暮らせる金額があたしについた金額。

 そしてこの貴族が今晩遊ぶためだけに使えるお金。


 攫われた時に着ていた着物を返されたので久しぶりに袖を通す。

 これを着ていたのは凄く昔のことのように感じる。

 着物姿の私を見て、貴族は「これは味がある」といい喜んでいた。


 ここに売られた時のようにまた目隠しをされ、馬車で運ばれた。

 ここに連れられたときよりも上質な馬車のようで揺れ方が穏やかだった。

 何時間馬車に揺られただろう「着いた」との声のあと、またいつぞやのように薬を嗅がされ眠りに落ちた。

 誰かの肩に担がれたところまでは、なんとなく覚えている。


 次に目が覚めた時はもうこの部屋のベッドの上だった。


 あたしを買った貴族とは別の貴族風の男が3人で談笑していた。

 部屋の隅では執事服(?)を来た少年が椅子に座って硬直していた。

 あの子も買われて連れられてきたのだろうか?


 目を覚ました私に気づいたのか、あたしを買った貴族が近づいて来てこう言った。


 「命令だ。この部屋から逃げてはいけない。」


 身体が縮むような圧迫感。

 これが「奴隷への命令」

 逆らうと、いつぞやの子のように苦しむことになるのだろう。


 思わず自分を抱きしめるようにうずくまってしまった私を尻目に、貴族は談笑に戻っていった。


 「それで殿下の果実はこれから届くのですかな?」

 「届くというか引き寄せる。見ておれ、召喚魔法の神髄を見せてやろう」

 「「おお、それはそれは、流石は殿下」」


 魔法陣がかかれた台座の上に何かを備え、魔法の詠唱を始める殿下と呼ばれる男。

 魔力が渦巻き、部屋の中の空気も大きく震え渦を巻く。


 「ああ、なにか想像外のモノが現れる」直観でそう感じた私はとっさにベッドの中に潜り込んだ。

 逃げられないのなら、せめて隠れなきゃ。


 【感覚強化】を使うまでもなくビリビリと肌で感じる強大な魔力。

 その魔力に当てられ、私は気を失った。



キーワード回収まで相当かかりそうです。

長い目で見ていただけると幸いです。

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