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第七九三話 「大聖神国街潜入」

 さて、先日と同じように淫魔法【ラブホテル】を使って、探索者ギルド2階の宿泊スペースから大聖神国街へと潜入する。


 メニューから調べると距離や方向的にケイジョウはどうやら今日も迷宮にいるようだ。

 ひょっとしたら居続けなのかもしれない。


 昨日はスルーさせて貰った係員なのかシスターなのか分かりづらい女性に話しかけ、迷宮へと目指すが、どうしても癖で掲示板の方を眺めてしまう。


 もうそんなにお金には困ってはいないのだが、癖みたいなものと、掲示板を見ることにより本来迷宮にいるモンスターの傾向がなんとなく分かるからだ。


 と、いっても、


 「なんかよく分かんない感じッスね。」

 「なんとかモドキってのが多いみたい。」

 「星ってなんにゃ?」


 と、三人娘から見ても良く分からない敵の名前が並んでいるようだ。


 ま、とりあえず入ってみればわかるさ。



▽▽▽▽▽



 エグザルの迷宮をおもわせる厳重な階層警備を越え、迷宮の入り口に来ると、そこには大聖神国街らしい白壁の迷宮が……と、いう感じを想像していたのだが、


 「真っ黒にゃ。」

 「でも中には光があるみたいですよ?」


 チャチャのいうとおり、黒曜石のような大きな壁に大きな穴が開いており、サオリさんのいうとおり、そこから光が見える。


 見えるのだが、エグザルの迷宮のように壁全体が淡く光っている、というタイプではなさそうだ。


 「とりあえずいこ?」

 「そうッス、流石に第1層でアタシ達がどうにかなることはないッスよ。」


 サナやミツキのいうとおりだ、まずは中に入ってみよう。

 一応、念のためアイテム欄の灯りを確認しておく。


 サナと初めて出会った部屋から失敬した魔法のランプだ。

 意外と使う機会が多いんだよなこれ。



▽▽▽▽▽



 大聖神国の迷宮のイメージを一言でいうなら、プラネタリウムだ。


 壁に星々が輝いており、それが迷宮の明かり代わりになっている。


 たまに大きな惑星や月、たまに恒星などもあり付近を照らしているものの、基本的には今までの迷宮に比べると薄暗い。


 「夜空みたいッスね。」

 「キレイにゃー。」

 「あ、流れ星まで。」

 「不思議な感じですね。」


 と、4人とも昨日に引き続きほぼ観光気分だ。


 とりあえず、その間に私は『変成の腕輪』と淫魔法【夜遊び情報誌】で地下2階までのマップを手にいれるが、通路が結構複雑というか、血管や神経を思わせるような曲線的なつくりになっているので、これ真面目にマッピングするなら大変だろうな、と、ふと思ってしまった。


 ざっくり見た限り、少なくても地下2階までの間にケイジョウはいなさそうなので、サクサクと下の階層を目指していこう。



▽▽▽▽▽



 「また飛び三角にゃ!」

 「挟み三角も来てるから気を付けるッスよ!」


 現在いるのは地下5階層。

 ここの迷宮はエグザルの新迷宮の雰囲気に近いらしく、階層ごとの敵のレベル差が大きい。


 たとえばエグザルの旧迷宮ならこの階層はランク1だけ、とか、ランク1と2だけ、とか、ある程度ランク差が揃っているので、ある意味力量に合わせて降りていけるのだが、ここの迷宮やエグザルの新迷宮は、ランクが低い敵も出続ける上に、数ランク上の敵も現れるという、初見殺しに近いモンスターの出方をするのだ。


 しかもランクが低かったはずの敵の中に突然変異でランクが高い奴が混じっていたりもする。


 今いる地下5階層はランク1から3までの敵が混在する階層で、レベル36のケイジョウがいるなら、せいぜいこれくらいの深さまでだろうと思って来たものの、未だ見つからない。


 「ととさん、はい。」

 「はい、ありがとう。」


 そんなことを考えているうちに、ミツキとチャチャが飛び三角を、サオリさんとサナが挟み三角を撃破して、その後、魔素核を拾い集めていたチャチャがそれを渡してきたのでいつものように預かる。


 「なんか変な形の敵ばかりですね。」

 「この世の物じゃないみたいなのもいますしねぇ。」


 サナやサオリさんがいうとおり、この迷宮の敵は、ちょっと今まで戦った相手とは雰囲気が違う。


 今までの相手は、明確なモチーフがあった。

 それは動物だったり、昆虫だったり、魚や甲殻類だったり、植物だったり、ようは、この世界にいる生き物、あるいはそれに近い形の敵が迷宮には現れていたのだ。


 ところがこの迷宮はちょっと違う。


 強いて言えば一番近いのは昆虫型だが、ぬるぬるとした円錐の根元に短い触手が生えている生き物が謎の推進力で飛んでくる飛び三角や、同じく肉質的な二組の金床がバウンドをするかのようにこちらを挟みこんでくる挟み三角や、しいて言えばアメフラシに似た色と姿をして空を飛び、ビームをうってくる奴やら、サオリさんのいうとおりこの世の物ではないような形状のものばかりなのだ。


 そうだな、一言で言ってしまえば宇宙怪獣みたい。というのが自分の中で一番しっくりくる。


 あるいは、人体の中の白血球や抗体を醜悪に具現化させたような、というか、まあ、端的にいえば気持ち悪いのだ。


 チャチャにゃ!


 なんか変なところで、キレイだったのは最初だけだったにゃ。


 なんかぬるぬるしたのとかぐにゃぐにゃしたのとがガチガチしたのとか、美味しくなさそうな敵ばっかりなのにゃ。


 次回、第七九四話 「ケイジョウという男」


 でも壁のキラキラはキレイにゃね。

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