第七八四話 「再び大聖神国街へ」
あんなに夜遅かったというのに、次の朝は元気にみんなを起こして回るサナは流石だなと、いつも思う。
ちなみにチャチャも一緒に回っているのだが、チャチャの場合は迷宮で運動しまくった後に腹いっぱい食べての就寝からの早起きなので、またちょっと毛色が違う。
私はというと、昨夜の「レベル上げ」で、寝るのが遅かったことによる眠気に加えて、左右からミツキとサオリさんに抱きつかれて、ハリのある感触と柔らかな感触を味わっているため、色々な意味で起きたくない。
既に隆々と起きてしまっている身体の一部はともかくとして。
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大聖神国街で食べる予定の朝食はともかくとして、朝には水分を取っておいた方が良い、ということで、居間でみんなでゆっくりとお茶を楽しんでいる。
昨晩、水分を失うようなことを重ね重ねしているため、ほどよい温度で入れられたお茶が身に染みる。
人心地ついた後、効果時間延長のため、改めて種族特性【擬人化】を、みんなにかけ、髪型や服装を色々調整した後、淫魔法【ラブホテル】のショートカットで大聖神国街へと向かった。
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「なんか小綺麗ッスね。」
「そうねぇ。」
ミツキやサオリさんの感想のとおり、大聖神国街の探索者ギルドは、白が基調になっている上に掃除、いや、奉仕活動なのかな?が行き届いているため、特にエグザルの探索者ギルドからすると格段に清潔で奇麗だ。
まあ、探索者ギルドなんていうものは、本来、一旗当てにくる人間が集まる施設なので、どちらかというと、ここのギルドの方がおかしいといえばおかしいのだが。
建物の作りは、それほど大きくは変わらない。
2階の宿泊施設スペースから1階の受付や飲食ブースへとみんなを連れて降りてゆく。
「せっかくだから、先に探索者登録もしていこうか。」
「はい。」
隣のサナから明るい返事が帰ってくる。
機嫌が良いように見えるが、このギルドの清潔感が気に入ったりしているのだろうか?
一応、探索者登録をしておくのは、ケイジョウが迷宮内にいる場合を想定してのことだ。
攫うとなると、迷宮内で闇から闇に葬らせて、いや、葬ったら駄目だな、闇から闇に拉致らせて貰うのが一番、手っ取り早く騒ぎになりづらい。
街中で実行するよりは、遥かに足が付きづらいだろう。
デメリットといえば、ケイジョウに仲間がいた場合、戦闘になる可能性が高いということだが、ここ連日の「レベル上げ」の成果を考えれば、たとえゴールドの探索者相手でも、そうそう遅れはとらないだろう。
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種族特性【擬人化】で種族だけじゃなく、淫スキル【パネルマジック】で、レベルやスキルの偽装工作もしている結果、特に問題なく、探索者の登録ができた。
むしろ高レベルパーティーとして歓迎されたくらいだ。
ちなみに以前偽装工作をした時のように、レベルはサオリさんが33、私が26、サナとミツキが21としたが、チャチャだけ14から20に変更してある。
単純に全員シルバークラスという方が聞こえが良いからだ。
「早速探索していかれますか?」という係員なのかシスターなのか分かりづらい女性の問いかけはやんわりと断って、当初目的の観光のため、探索者ギルドを後にした。
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「外からみると教会みたいな建物ですね。」
「趣味の悪い看板は立ってるッスけどね。」
ギルドから出て建物を振り返ったサナとミツキからそんな声が上がる。
ミツキが言っているのは 『当ギルドは教会の信者、もしくは人族、あるいはその従者のみのご利用となります。』という正直すぎる看板の事だろう。
私も最初見た時は、正直過ぎてびっくりしたものだ。
「流石に少しお腹が空いてきましたね。」
珍しくサオリさんから、そんな声が上がる。
いや、たぶん手を繋いでいるチャチャのお腹の虫でも鳴ったのを聞いたのだろう。
エグザルほど雑踏とはしていないが、さすがに探索者ギルドが近いせいか、出見世が立ち並んでいる。
何か簡単に食べれそうなものでも見繕って、まずはお腹を軽く膨らまそう。
チャチャにゃ!
今日はみんなでおでかけなのにゃ。
観光?っていうのは、美味しいもの食べて、楽しいものや綺麗なもの見るって、チャチャ、温泉で覚えたから楽しみなのにゃ!
次回、第七八五話 「大聖神国街観光」
でも、ちょっと、お腹空いてきちゃったにゃぁ。




