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第七五七話 「地母神の勇者」

 「まずは、対魔王に関する能力ね。


 んーなんていえばいいのかしら?本人のランクにもよるんだけど、与えるダメージが大きくなって、うけるダメージが少なくなる。って言い方で分かる?」


 ちょっと不安そうに言葉を選びながらそう語る地母神様。


 魔王に対してゲームでいうところの特効と特防がつく、ということなのだろう。

 いかにも勇者っぽい能力だ。


 「あと、それとは別に全ステータスが1ランクアップした上で、ランクアップした時の状態になるわ。」


 地母神様は、こちら、というか私に合わせてゲーム用語で説明することにしたようだ。

 全ステータスアップということは、人間の身体の私なら、オールCがオールBに、淫魔の身体の私なら、【筋力】、【耐久力】、【精神力】、【感覚】、【敏捷】、【器用】の順で、CBAA+CA+の能力が、えーと、どうなるんだ?


 まあ、普通に考えて一回り強くなるのだろう。


 「加えて、運搬者ポーターのように、アイテムバッグの魔法が使えるようになるわね。


 容量は自分のランクに応じてだけど、ランク0で自分の体重の1/2の重さから。

 あとは、ランクが上がるたびに倍々と増えていく感じよ。」


 と、いうことは、今、ランク4だから、体重の8倍までか。


 私の持っているメニューのアイテム欄から考えると微量だが、この能力があるとないとでは迷宮での収穫効率や旅での荷物軽減が段違いなので、かなり重要な特殊能力だ。


 「この世界に召喚された者は誰でも勇者になれる、と、いうわけではないけれど、貴方の場合は、これらの能力が眷属にも適用されるわよ?」


 種族特性【眷属化】と淫スキル【ナルシスト】の効果のせいかな?


 あれ?と、なると強さはもとより、アイテムバッグの魔法がめちゃくちゃ便利だ。

 特に食材関係と現金関係。


 「ただ、これらの能力は、あくまでも『淫魔の契り』の指輪を付けている者だけが対象だからね?


 はずしたら能力はリセットされちゃうし、保管している荷物は全部、主たる貴方に戻って来て、入り切らない分は異空間に飲まれてしまうわ。


 ちなみに眷属の荷物を異空間から直接回収したり、あるいは自分の荷物を直接配分したりということも出来るわね。」


 おお、これは相当便利だ。


 「次にデメリットの方だけど……神の眷属同士の間で、相性が発生してしまうわ。


 多くは人族である天父神の勇者は、地母神の眷属である亜人族に強く、地母神の勇者は海母神の眷属である亜人族に強く、海母神の勇者は人族を始めとした天父神の眷属に強い。

 と、いっても対魔王ほど謙虚じゃないけど。」


 個人の能力で考えると、眷属同士というか、実質勇者同士の相性だな、これ。

 って、あれ?


 「この場合の天父神様の勇者というくくりは、宙転神様の勇者も含まれますか?」


 「含まれるわよ?


 元々、宙転神に対して、人族の勇者は対亜人族への勢力に対抗するための存在という夜天神の触れ込みがスタートだから。」


 ああ、天父神というよりそらを含む天属性勇者との三すくみなんだな。


 「私の身体が人族の状態でもそれは有効ですか?」


 前に人騒ぎあった『大地の加護』の事を考えると、淫魔の身体の私は地母神様の眷属扱いなのは間違いなさそうだが、人の身体の方はどうだろう?


 「人族の身体であっても、地母神の勇者として帰依きえするのだから同じよ。」


 まあ、そうですよね。


 そう考えると、地母神系亜人族なのに勇者2人も倒したサビラギ様、改めて凄いな。


 「あとはそうね、ある意味これが異世界からの勇者にとって重要なのかもしれないけど、この世界の神のことわりに捕らわれて、魔王を倒し切るまで元の世界に帰れなくなるわ。」


 え?!


 「元の世界に戻る方法があるんですか?」


 そう、そもそもそこだ。


 「呼ぶ方法があるなら帰る方法だってあるわよ。

 召喚術式の逆呪いで、必要となる魔力も倍以上かかるけど、理論上は不可能じゃないわ。


 ただ、勇者と魔王との関係という理が、この世界へのくさびになるから、簡単ではないわね。


 魔王がこの世界から全員いなくなっている状態になれば、勇者も時を経て勇者の能力を失うから、その時なら可能ね。」


 む?逆にいうと、今現在、他の国の勇者が能力を失ってないということは、


 「あら?やっぱり頭が回るほうなのね。


 そうよ、今現在もこの世界には魔王が降臨しているわ。

 いえ、降臨し続けているといった方が正しいかしら?


 地母神様はそういって口元を歪めた。



 サオリです。


 お母様ってやっぱり凄いんですね。


 それにしても、レン君、元の世界に帰る方法があったら帰っちゃうのでしょうか?

 それだけが、ちょっと不安です。


 次回、第七五八話 「魔王」


 今、魔王が存在するといっても、少なくても十二新興街では、そんな話を聞いたことはないのだけれど……、ということは、もしかして?

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