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第七五五話 「夜天神」

 「あれ、でも、私の時、というか、その姿の地母神様の時のように、この世界に召喚して貰うという手もあるのではないですか?」


 「そうよ、ちょうど今が、それに近い状態ね。


 ただ、それには召喚者である貴方やその眷属、そしてその力や親和性が高いことが通り道を強化する条件となるわ。


 夜天の姉さんに頼り切りというのも、気が引けるしね。」


 地母神様のいう夜天の姉さんというのは、夜と月を司る神様の夜天神のことだろう。

 話によると、こちらも性別はないのだが、女神よりの神格らしい。


 月の満ち欠けを空の穴に見立てて、世界に穴を開けるという権能ももっており、勇者召喚という儀式魔法自体は、実は夜天神のお力によるものなのだそうな。


 夜天神は三柱の神様達に協力的で、多次元に飛ばされた地母神様の通り道をつくるべく、次元に穴を開ける勇者召喚の技術をもたらしたらしい。


 最初、宙転神には、人族に対抗する対亜人族への勢力として、別の世界から力あるものを呼んであげるわ。と、声を掛け、その実、星の根を核として生まれる魔王が迷宮を制圧し、地上を支配するのを妨げるための勇者を召喚する技術を普及させるきっかけを作っているのだから、夜天の姉さんは凄いわね。


 と、地母神様はべた褒めだ。


 まあ、そりゃ、地上を支配されて一番困るのは地母神様だろうし、感謝してもしきれないだろう。


 とにかく、魔王は宙転神側の存在で、十二新興街+大聖神国街の迷宮全てに魔王が存在したら、地上は支配され、宙転神がこの世界の天と地を統べることになるので、少なくても亜人族はピンチ。と、思ってくれれば良いとのことだ。


 さすがに14箇所、いや、エグザルにもう1つあるから15箇所か、それ全部で一気に魔王が現るってことは無いだろうから大丈夫だろう。と、ちょっと安心した表情を読んだのか、


 「一度魔王という花が咲いたら、そこは落ちたも同然だからね?」と、釘を刺された。

 って、事はエグザルの街、もう駄目じゃん。


 あそこ初めの魔王と、サビラギ様が倒した魔王で、2回、おそらく新旧両方の迷宮で魔王が出ているはずだ。


 あとはネネの街もそうか。


 迷宮から魔力を吸い取り、勇者を召喚する力に当て、魔王の発生を抑制するという術式も夜天神の天啓で、天才召喚術師に授けたらしいのだけれども、今ひとつ普及しきってないのよねぇ。


 と、地母神様は頭を捻っているけど、それ、たぶん、私を召喚したネローネ帝国第13王子ネブル・アリサリッサ・ネローネ殿下の事だと思います。


 死んでます。


 っていうか、たぶん地母神様が願いを叶える代わる対価として生命力絞って殺してます。


 という話を畏れながらさせてもらうと、え?マジ?しくった……という顔に手のひらを当て、落ち込んでいた。


 「と、とにかく、最初の質問、地母神たる私の現状とそれに伴う貴方達への影響に対する答えは時間的にここまでね。


 そういって、まあ、しかたがないか、という顔で一度話を打ち切ろうとする地母神様だったが、一つだけお互いのために欲しい情報があったので、ダメ元で聞いてみる。


 「ちなみに迷宮に魔王を発生させない方法ってあるのですか?」


 「あー、それは確かに教えておいた方がいいわね。」



▽▽▽▽▽



 まず、直接的な方法として、魔王のつぼみを刈り取ること。


 具体的な礼をあげると、迷宮最深部にいる魔王候補の魔族が魔王として覚醒仕切る前に倒すというもので、ネネの街でサビラギ様がやったのがこれに当たるのだそうな。


 これをすれば、しばらく魔王は生まれない。


 逆に間接的な方法としては、迷宮の魔力をガンガン使うこと。


 迷宮の魔力を使った勇者召喚もそうだが、単純に迷宮の魔物がリポップする時に迷宮の魔力を使うので、要は迷宮が探索者で賑わい、常に魔物が狩られ続けていれば、魔王を育てるための魔力が不足する、という理屈だ。


 同じ理屈で、迷宮を巨大な力で破壊すると、それを治そうとして迷宮自身が大量の魔力を使おうとするので、方法としてはありなのだが、迷宮を壊せるほどの力はそうそうないので、現実的ではないだろうとのことだ。


 ただ、魔王が発生し、育つための濃い魔力と星の根は迷宮の深い場所にあるため、そういう深い階層の魔物を狩るのが一番効率が良く、そのための人を集めるための方法が、十二新興街という街なのだそうな。


 「人は欲しい物が迷宮から手に入るのであれば、無理をしてでもそれを手にしようとするだろう?」と地母神様は語る。


 宙転神が大聖神国街を作ったように、三柱の神様も既存の街や迷宮を使いながらも十二新興街を作ったという認識で良さそうだ。


 実際には迷宮の作成合戦と乗っ取り合戦なようだが。

 サナです。

 里には、


 『迷宮は欲するものを与える。

 故に迷宮に眠る時は、里に必要なものを願いながら眠るのだ。』


 という言い伝えがあるんですけど、地母神様が「人は欲しい物が迷宮から手に入るのであれば、無理をしてでもそれを手にしようとするだろう?」と、おっしゃるのなら、言い伝えは本当なんですね。


 次回、第七五六話 「サナの授法」


 あれ?願いが叶うということは、迷宮は地母神様と繋がってるのかな?

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