第七五〇話 「淫魔の眷属」
「サナ、ちょっとここに座って。」
「はい。」
淫魔法【ラブホテル】で、いつもの別荘に繋げた後、居間のソファーにサナを掛けさせ、今度は淫スキル【性病検査】ではなく、淫スキル【ナルシスト】を通じて眷属化したサナのステータスを眺める。
こちらの方がより詳しくサナの状態を確認できるはずだ。
「あの、お父さん?あたし発情期じゃないんですか?」
「んー、どうやら違うっぽいな。」
仮に発情期を迎えているなら、その発情臭が周りの発情を誘発してしまうので、こうして急遽、別荘に隔離したのだが、どうやらサナが感じる感覚が似ているだけで、別の症状のようだ。
「少し前、チャチャを保護した後すぐくらいの話だけど、私には今までの『レベル上げ』の回数が分かるって話したの覚えてる?」
「ああ、ありましたね。ミツキちゃんの扱いが悪くて怒った覚えがあります。」
「そういやそうだった。」
サナはその時、自分が行為のトップ回数だったことより、サオリさんに比べミツキの回数が若干少なかったことに、もっとミツキを構えと腹を立ててたのであった。
まあ、その後、追加の『レベル上げ』で回数調整させられたわけだが。
う、今現在の回数を見せたら、またサナに怒られそうだ。
ミツキとの『レベル上げ』回数が、お尻での回数はともかく、それ以外がちょうど1回ずつサオリさんの方が多い。
ほぼ昨晩分だなこれ。
全体回数では、5回ほどミツキの方が勝っているけど、正直に話すとまたサナに怒られそうだ。
それはさておき、過去の『レベル上げ』時のログや、【ナルシスト】での表示を確認したところ、
>サナの淫魔の契りによる膣内での主の討伐数が100を超えています。
>種族特性【淫スキル】を習得させますか?
と、いう、色々な意味で、ちょっと目を疑いたくなるようなログを見つけてしまったのだ。
サナに出会って、まだ2ヶ月たってないのに……。
ざっくりそこだけで1日に2回ペースだ。
いや、発情期を含んでいるせいだろう、たぶん。
「どうも、その回数がサナの体調に影響しているみたいなんだ。」
「そうなんですか。」
ログが出たのは、タイミング的に『レベル上げ』の最中ではなく、日を跨いだ時らしい。
現在のサナは、いわゆる種族特性を習得させるためのゲージが満タンな状態で、習得させ、ゲージをリセットするまで、サナの主観で発情中に近い状態と、いうわけらしい。
ただ、種族特性【淫スキル】の習得は、どこでもできるというわけではなく、『神殿』が必要なのだそうな。
なんだ神殿って……、あれ?前に似たようなことを、どこかで思ったような気が……。
ああ、そうだ、エグザルの娼館でだ。
えーと、ログログ……
>十分な淫気が充満しています。
>神殿の建設が可能です。
>建設にはランクに応じた魔力が必要です。
これか。
対応する能力は、種族特性【神殿】だな。
えーと、どれどれ……
『堕ちた地母神と交神するための神殿を作成することが出来る。神殿の作成のためには……』
堕ちた地母神が何を指すかはひとまず置いておいて、う、こんな材料なのに、地味に手持ちで神殿を作成するための材料が足りていそうだ。
▽▽▽▽▽
神殿、といっても、実際に建物が建つわけではなく、一定時間交神が出来るフィールドを作成する。といったものらしい。
帰依の儀式や授法の儀式みたいな感じだろうか?
必要な材料は十分な淫気、つまりエロい空気、あるいは、一定量以上の量の体液、要は性行為に伴う副産物みたいなものだ。
空気はともかく、『レベル上げ』の後始末に淫魔法【腸内洗浄】を使ってカプセル化したり、アイテム欄に仕舞う形で掃除する習慣があるため、体液の方は潤沢に在庫があったりする。
サナの体調も気になるし、とりあえず使ってみるか。
チャチャにゃ。
ととさん、ねねさん連れていっちゃったけど、にゃにかあったのかにゃ?
かかさんもわからないのにゃ?
次回、第七五一話 「神殿」
うにゃ、具合でも悪いのかにゃぁ?心配だにゃぁ。




